皆さん、こんにちは。
独り言ですが、どうやら今後年に3、4回、各一か月くらいの長さで一時帰国をするようになりそうです。
実は、私が勤める会社では自宅勤務が週二日できるという内部制度になっています。ただ結構緩い制度なので拠点長がOKを言えば(加えて業務に支障を来さないのであれば)例外的な取り扱いが許されます。
脳梗塞の手術を受けに日本に三カ月帰った時も例外を適用させていただきました。
で直属の上司には申し訳ないのですが、父親の認知症と過食がヤバい感じなっていることを伝え、年に3、4回、一か月くらい自宅勤務(from日本)を打診したところ「問題ないと思います」との返答。
日本人ローカル社員の恨みつらみは色々ありますが、このときばかりは年下の上司に感謝。
そうした状況で読んだのが本作。
はじめに
本作、かなりためになりました。
内容は端的にいうと、阪大名誉教授による認知症患者への声掛け言いかえフレーズ集、かな。
認知症は「病気」
推薦の言葉を書いている池田さんの言葉に「認知症を受け入れる」訓練をしようというのがありました。
そもそも認知症というのは脳の病気だと。老化が不可逆的で、死も避けられないもの、としてそれを受け入れねばならないということなら、認知症も然り。私はそう解しました。そしてそのトーンで言いかえ小ネタパラフレーズが続いていきます。
患者に寄り添う発言へのチェンジ
多くのフレーズは、事実を述べて諭すことを×とし、認知症患者の印象に沿う発言を〇とします。
例えば、うちの父親は過食なのですが、そういう患者への声掛けとして
×:さっき食べたばっかりでしょ
〇:お茶でも入れようか
という例示となっていました。
本書の良きところは、認知症患者のその認知機能は低下していても、感情ははっきりと残っている、ということを述べている点。患者は周囲の認知がしづらいので何を怒られているのか分からないけど、その怒られていることに腹を立てる、ということです。この言いかえですと、お茶を入れる→食べたことを認知させる(食後のお茶)、という方向性です。
ゆえに、患者の感情を逆撫でではなく、「順撫で」しようというのが骨子だと思います。
もちろん、過食の場合はそれをよりはっきり認知してもらうために食器をそのままにしておく等のテクニックも例示されております。
実社会でも応用が効きそう
でですが、これってビジネスでもつかそうな気がしました。
特に、すぐになんちゃらハラスメントと呼ばれる日本社会においては応用が利きそうに感じました。
例えばCase4「できないことをできると言い張る(電気製品とかリモコンとか)」の例。
×:しっかりしてよ!
〇:押す順番に番号をつけておいたよ
認知症患者の心「ボタンがたくさんあって覚えられないけど、できないところを見られたくない」
誤解を恐れずに言えば、職場でのOJTなどはかくのごとくになるべきなのかもしれません。つまりみんなきっちりやりたいのにできなくて悩んでいる、という前提です。
私はそこまでempathyが備わっていないので、唯一の部下にも一つミスをしたらwhy, why, whyと結構詰めてしまいます(だってメモも取らないしミスを繰り返すんだもん)。これが日本人だったら私の禅問答みたいな会話は訴えられているかもしれません。。。
ただ、本書のような心持ちで部下に接するのならば(もちろんempathyしっかりが前提)、部下育成も良い方向に行くようなきがします。
おわりに
私の我儘も父親が汗水流して稼いだ金のおかげでした。あと何年続くか分かりませんが、彼が穏やかに過ごせるよう、親元への訪問頻度を増したいと思います。
本書は折々再読し、家内にも読んでもらう予定です。
評価 ☆☆☆
2024/07/23