はじめに
これまで旧約聖書で読み進めてきたものの、なんというか、印象は概ね神話的世界観、でありました。
しかしながら、列王記以降は世界史の中でも古代史に該当する部分との重なりが見られ、その点で突飛な英雄伝の風合いは影を潜めたといえると思います。
以下、今回読んだエズラ記、ネヘミヤ記、エステル記について概観します。
エズラ記、結論は良く分からん
キュロス王によってバビロン捕囚が解かれ、ユダヤの民がエルサレムへ帰還したときのお話。
エルサレムへ皆が帰還し、さあ神殿を再構築しようというときにエルサレムの他の民族に邪魔され、告訴されます。で、スサにいるアルタクセルクセス王から「どうなっとんじゃ?」と詰められるのがメインシーンでしょうか。後にアルタクセルクセス王は工事の中止を命じ、その命はペルシアのダレイオス王まで続きます。
このダレイオスの代になり、またぞろユダヤの民はこっそりと、そして着実に工事をすすめ、そして見つかります。ダレイオス王に「おまえら誰の断りでもって、そんなもん作っとんじゃボケ」と詰められますが、「いやいやいや、ずーいぶん前にキュロス王からOK貰ってます」と返します。
これを見ますとアルタクセルクセス→ダレイオス、なのですが、文章では突如としてエズラという男(士師?)が出てきて、しかもそれはアルタクセルクセス王の治世とあります。このあたりからもう理解とっちらけ。
彼がイスラエルで、異民族と結婚した奴を断罪、離婚せよと迫り、純血主義を訴えます。それもながながと。ここもメインパートでしょう。
なんというか、国際結婚をした私からすると結構ビミョーな章でした。
ネヘミヤ記、エルサレム城壁構築の話、だけ!?
ネヘミヤ記はもう少し分かりやすいです。
何しろ冒頭に彼の一人称での語りである旨が明記されています。
では何が書かれていたかというと、エルサレムの城壁構築の話。
え?それだけ?と思いますが、それだけです。え?どういう意味なんだろ?と位置づけを考えましたが、当然分かるべくもなし。。。
エステル記、今回の中では一番面白い
エステル記は一番物語性に富んでいます。
舞台はスサ、クセルクセスの治世。ちなみに同一人物なら、クセルクセスは第三次ペルシア戦争でギリシアへ渡り、アテネを制圧しています。
そんなクセルクセス王の妃ワシュティは王様がパーティーで妃を自慢したかったのに、虫の居所が悪いのか、王様のお願いを無視、パーティーに出ませんでした。
ぶちぎれの王様は側近に相談し、妃を首に。で、次はもっとよさめな妃を探そうやと色々探して候補に挙がったのが、ユダヤのみなしごのエステル。育ての親モルデカイは彼女に出自のことはしゃべるなと念をおすと、エステルはどうにかうまくやり何と妃に。
そんな中で王の側近ハマンは「ユダヤむかつくんで皆殺しにしていいっすか?」と王に問うと、多忙な王は「いいから、適当にやっといて」と軽く応諾。ユダヤは次々と殺戮されてゆきます。
困ったのはユダヤで、モルデカイはエステル妃に「いやー、マジで頼む。王様にあれやめさせてよ」と頼みます。
結局このハマンは失脚し、ハマンの住居にモルデカイが住むようになります。
ちなみにユダヤはその後、(やられたことへの)反撃を許されるのですが、どうも2倍がえし、3倍がえしに見えます。おあいこ、とか、お互い様、とか、そういう精神はあるのかなあ。。。本だけ読むとマジ怖い民族です。
おわりに
まだまだ終わりませんね、旧約。
つぎはヨブ記に入ります。
評価 ☆☆☆
2024/09/29