皆さんこんにちは。
先週引っ越しを完了しました。
引っ越し後困ったのは、スーパーマーケットでイマイチぴんと来る店が近くにないこと。まあ東南アジアの生鮮食品のレベルは日本と比すると雲泥の差がありますが、それでも日本人基準でまあ受け入れられるところ、はまああります。
しかし、厳しめなところですらちょっと近所にない!
ではなぜそんなところに越したかというと、家内がそこがいい、といったから笑
これまで東京、大阪、名古屋と転勤してきましたが、いずれも家内の「引き」の良さのような運で素敵な住宅に住むことができました。
今回はどうでしょうかねえ・・・。
はじめに
てっきりノウハウ系の話だと思って手に取ったのですが、ノベルです。意外(失礼!)と面白く、ズンズンと読み進め、2時間程度で読了となりました。
分量も書きぶりも「ライト」なノベルなのですが、現代の息苦しさを鮮やかに映し出していると思います。
こんなはなし
ブラック企業に勤め、ボロボロになりながらも自分を更に追い込み葛藤する五十嵐。
とある日の出勤時、謎の男ヤマモトに出会う。
その明るく飄々とした彼との出会いを境に、彼の心境は徐々に変化してゆき・・・
現実はそこまでスンナリじゃあないけど
とにかくブラック企業での営業の辛さがひしひしと伝わってくる作品でした。
メインの五十嵐君はそこそこ優秀なのに、就活で失敗したおかげでブラック企業に勤め、今や胃薬が手放せない状況。
スーパーパワハラ部長の陰湿な言葉攻めで多くの社員が退職に追い込まれるなか、彼としてはいち早く偉くなって、そうした雰囲気を変えたい、と願っている。
・・・
これを読んで30過ぎてから証券会社でリテール営業デビューをしたことを思い出しました。とにかく外債を売る、株式を損切りさせ新たな銘柄を買わせる。相続でも保険金でもなんでも、1000万単位で投資信託を買わせる。おばあちゃんの貯金から孫名義で保険を千万単位でかけさせる。
こういうのがデキる社員の英雄的営業活動でしたが、当然普通の人はそんなにやすやすと悪魔?に魂を売ることはできず、あるいは病み、あるいは退職していく人々が多かった職場でした。
上に行けば行くほど、その上司から個室に呼ばれる回数が増え、そしてその後怒号。あるいは椅子をける音。あるいはその両方。その後げんなりした顔で退室してくる社員と上司。
私はその点、まったくの役立たず社員でしたので、本作五十嵐氏の会社の様子はもう、ちょっと気持ち悪さを思い返すほどでした。
本作ではヤマモトという天使のようなキャラが人々を続々と救ったからよかった。でも実際にはそういう人は滅多にいないでしょう。
私も30半ば過ぎで追い込まれ、もうエイヤで家内の実家の東南アジアへ逃げるように移住。それもまた当初は辛かったけど証券会社よりはましだった。
いずれにせよ、本作のようにキレイな展開は現実ではそうそう望めないな、と思った次第。
おわりに
ということで北川氏の作品を初めてよみました。
なんというか、一服の清涼剤のような読み口でした。
同じような境遇の方、沢山おられると思います。厳しくブラックな職場。作中のような手助けをしてくれる人は実際には多くはないと思います。だから何とか逃げ出しましょう。生きていければ何とかなるものです。
何とかしたい気力もなくなるまえに、読んで欲しい本です。
そういえば本作は前編があるようです。ご興味ある方は前編も是非。
評価 ☆☆☆
2024/12/05