昨年末、当地の税制で書籍が所得税の課税対象額から控除されることを理由に、新古品の本屋で洋書をドカ買いしました。
ひゃー、思い出すだけでも嬉しい! 読むより買う時の方が刺激が強いですね。それを発売年代順に並べちゃったりして、古い順に読むという算段です。
で、トップバッターはこちらの戯曲です。なかなか面白かった。
はじめに
米国の俳優・戯曲家サム・シェパードの作品。1979年のピュリッツァー賞(戯曲部門)受賞。
三幕構成で、ト書きも含めて120ページの極々短い作品。だけど上演すると2.5時間くらいかかるらしい。
っというか、そもそもピュリッツァー賞がたくさん部門があるってのを知りませんでした。いや確かに写真とかが取り上げられているのは知っていましたが、なんと、報道、芸術、文学、フィクション関連、の4部門もあるそう。更にその下に多くのカテゴリがあって、もう良く分からん。
私が今回読んだのは、
ピュリッツアー賞>文学戯曲>戯曲、のカテゴリで受賞したとのこと。
なお今回読んだのは改訂版ということで改定前後で相応に異なるものになっているらしいです。
シュールで不条理な展開。あらすじとともに。
正直言うと、いまいち良く分からなかった。
でもそれでは埒があかんので軽くあらすじを。
登場人物は老夫婦のDodge(酒飲み)とHalie(狂暴)の夫婦、その子どものTildenとBradley(片足)が一家。そこにTildenの孫のVinceとその彼女のShellyが先ぶれなしに訪れてくる、というもの。
第一幕はリビングに寝転ぶDodgeと階上にいるHalieとのいがみ合いがメイン。日曜の朝。Dodgeの咳が止まらず、Halieが薬を飲めだとか酒飲んでんじゃねえとか文句を言う。
そのさなか、雨の中、Tildenが大量のとうもろこしを抱えて帰宅。既に作付けはとっくの昔にやめたのに、どういうわけかTildenはとうもろこしを持って帰ってきて、そして皮をむき始める。このあたりは事実関係が分からず、読み進めていてちょっと気持ち悪い。
なお、幕の最後にHalieは教会へ行き、次男のBradleyが帰宅。寝ているおやじ(Dodge)の髪の毛をBradleyが散髪する。
第二幕のメインは孫たち。
久々の再会を楽しみにしていたVince。そして彼女のShellyにも家族を紹介しようと思って来訪したところ、祖父のDodgeは孫のVinceを識別しない。加えて、あろうことか孫の彼女Shellyに色目を使ったりやや卑猥めな汚い言葉遣いをする。
その矢先に戻ってきたTilden、さらにはBradleyすらVinceを認識しない。
困ったのはVince。必死に過去の思い出を語ったりするが、DodgeもTildenもBradleyも誰も分かってくれない。挙句、彼女のShellyも切れ始める。
Dodgeは酒くれ酒くれうるさいので、酒を飲めば何か思い出すはずと、這う這うの体でVinceは買い物へと外出する。
第三幕は全員集合。
いつの間にか、一日が経過。前日Vinceは帰らず、教会にいったままのHalie(おばあちゃん)も帰らず。
月曜朝、ShellyとDodgeが会話をしているなかでHalieと神父のFather Dewisが帰宅。そしてHalieはShellyを見て驚く。誰なのあなたは、みたいな。すれ違う問答の途中でVinceも帰宅。Halieは孫のVinceを認識するが、空気は変わらずチグハグで噛み合わない。
Shellyが家族を知りたいというと、急にDodgeが正気になって、語り出す。もともとは乳牛を飼育し、ミシガン湖をいっぱいにするほどの牛乳がとれた酪農家だった。子どもたちも元気に大人になった。ところがHalieが突然妊娠した。6年間も寝室を分けて生活していたのに。
生まれた赤ん坊をTildenがあやしたりしていたが、結局Dodgeがその赤ん坊を溺死させ、埋めたと告白。
ここから物語はカオスと化し、Vinceは半狂乱に。そしてShellyは愛想をつかして出てゆき物語の幕は閉じる。
結局何なのか
こうして振り返ると、家族崩壊の話かな、と感じます。その崩壊は奥さんの浮気だったと。
ちなみに、子ども二人は舞台に出てきますが、もう1人亡くなった子ども?がいるようでAnselという子どもの名ををHalieが連呼しています。このあたりの関係はうまく読み取れず。
Amazonのレビューなどを見ると、この「Buried Child」はHalieとTildenの子どもであり、それがVinceなのだと書かれていたりしましたが、それもまた読み取れず。
とはいえ、本作はト書きがとても丁寧で舞台の進行や状況・情景はイメージしやすかったと思います。
英語
英語は難しくないです。普通の小説以上に難しい言葉はありませんでした。
全体が短いので気合を入れれば数日で読めます。ただ、一幕のなかに区切りがないので一幕40ページくらいはまとめて読まないと意味が分からなくなるかもしれませんね。
おわりに
ということで、米国の戯曲、それもピュリッツァー賞の作品でした。
機会があれば、そして安ければ、実際に劇場で見てみたいですねえ。
演劇好きな人にはおすすめ。
評価 ☆☆☆
2024/12/29
日本語、ありました。しっかり直訳。



