はじめに
江戸の時代小説というと、池波正太郎氏、宮部みゆき氏などが有名だと思います。その中で、ここ数年、耳遠い私のところでも畠中氏の名前がアンテナに引っかかるようになってきました。
畠中恵氏は、シリーズものを中心に時代小説を多く手掛け、とうとう私も昨年、幾つか人情モノを読ませていただきました。
で、今回はお得意の妖怪小編を読ませて頂きました。
つくもがみ、とは
タイトルにもある、つくもがみ。
漢字だと付喪神、と書きます。これは、100年を超えるモノに、あやかし(妖)がつくというもの。言わば妖怪を宿したアンティークです。何か事故物件みたい。
妖怪と人間と事件
舞台は東京深川の小道具屋兼損料屋、そこを取り仕切るのが親を亡くした若い姉弟(のような)二人。ちなみに損料屋というのは今でいう所のレンタル屋です。火事が多く、物を持ちたがらない江戸の庶民。「ここぞ」という時のために損料屋はアンティークな品をお客さんに有償で貸すというもの。
で、このつくもがみ、喋ります。そして動きます。
ただし、つくもがみと人との境界線があります。それは決して会話しない(答えない)ということ。
故に、つくもがみ達の世間話を人間二人が聞き、アクションを起こす。あるいは、今後の計画を独り言のようにつくもがみに語り掛けるようにする、とか。損料屋の二人は、つくもがみ(の憑いたアンティーク)をお客に貸出し情報収集なんかをするわけです。
こうして江戸の事件に色々と首を突っ込みつつ、つくもがみを駆使して解決を図ったり、内実を知る、というパターンです。
本作で5つの小編で構成されており、連続もののテレビ時代劇のような読み口でした。
おわりに
ということで一年ぶりの畠中作品でした。
結局根っこは、情の機微が描かれるのだと思います。加えて、舞台装置(江戸、妖怪)みたいなものが更に味を増す、ということなのかあと。失ったものを懐かしむ現代人にはそこがいいのかな、と推察しています笑
時代劇やオールドテイストが好きなかたには堪らないエンターテイメント小説かと思います。
今後もぼちぼちこうした作品も読んでみたいと思います。
評価 ☆☆☆
2025/04/08

