はじめに:老後が心配な人に読んで欲しい
老後2000万円問題、あるいは年金不払い・逓減の恐れ等、老後の問題に関する話題は巷間かまびすしい限りであります。
しかし、実際はどうなの?というと、ファクターが多すぎてようわからん、となってしまいがちです。もちろん、絡まった糸を解けば分かるのですが、日常で忙しい多くの方には難しい。
そのよく見えない老後の解像度を、本書はかなり上げてくれると思います。
先ずは収支を把握
私が一番良かったなと思うのはやはり、第一部定年後の仕事「15の事実」。
とりわけ定年後の収入と支出のデータを年齢別にグラフで示している点。
ざくざくザックリ言えば、65歳以降の2人以上世帯の平均収入は25万円程度、平均支出は32万円程度、とのこと。
支出の細目も出ていますが、一番大きなものはその他。つまり家賃でも医療費でも食費でもないと。加えて個々人で費用の性向が異なることを考えるならば、より減らすことは当然ながら可能。加えて年を経るごとにこの平均支出32万は逓減し、80代で25万強まで減るそう。
一方収入ですが、主に年金になることが予想できますね。公的年金の平均給付は19万円程度だとのことです。ですからグロスの平均25万と公的年金等の19万の差し引きがバイト等の稼ぎとなります。
月10万のバイトでいける!?
うちのようにキャリアの途中で海外に移住してしまうと、基礎年金は任意加入可能ですが、厚生年金は当然加入できません。ですので給付も少ないので上記の限りではないです。
とは言え、上記から分かるのは、「平均なみ」に生活するのならば月々10万弱のバイト(しかも二人以上世帯、両輪駆動なら一人5万)で概ね貯金を減らさず生きていけることになります。
もちろんこれに加えて資産がある方は緩やかに使ってゆくことで労働から解放されることになります。
これなら、なんとかいけそうな気がする、って思えてきませんか?
老後の生き甲斐
なお本書の後段では、生き甲斐としての労働に焦点を当て、40代・50代から「いつまでも出世レースに居れない」ことの現実を見る旨を促すことが再三繰り返されます。
窓際を自称する私も、反面はルサンチマンの塊であり、このあたりはどうしたものかと苦慮するものであります。頑張りたい!偉くなりたい!褒められたい!これが本音。
しかし筆者は、出世コースからおりて、この一種の諦め・諦念が得られたのちは、より「小さい」仕事・単純労働・エッセンシャルワークに生きがいを見出せる可能性が高いということでした。
性欲も食欲も落ちたけど、そのあたりの自己顕示欲はまだ落ち切っていないなあ、と感じる今日この頃。
DIE WITH ZEROと読み合わせる
加えてですが、お金の心配は実はそこまで起きないかもしれない、と個人的には本書を読んで安心しました。もちろん、まだまだ全く気が抜けませんが。
むしろ問題は、じゃあ今を・今以降をどう生きるか、ということ。どのように定年後に備えるか。
そこでやはり参考になるのは、この前読んだ『DIE WITH ZERO』です。お金を使い切るということにも増して、必要以上に稼ぐよりも、貴重な今を楽しむためにお金を使う・経験をするべし、と説いていました。
坂本氏による本書でも、飽くまで健康を維持できた人々の定年後の勤労を描いている、という話もありました。『DIE WITH ZERO』でも自分・家族・親友などがいつ健康を害するか分からないと。
だからこその今であり、健康に配慮することもスタートさせるのだ、という事になります。そして今、やりたいことをやる、という事になります。
仕事に取り組む意味
となると私なぞはマジで仕事をやる気が失せてしまうのです。
昇進や大きな責任を持つことは状況的にほぼない。現在の業務に関する難関資格のチャレンジも考えましたが、日本全体で65歳以上の95%以上は会社に残ったりしないことを考えると、そして定年後もちょびちょび稼げばよいことを考えると、前向きな取り組み姿勢も出来かねます。
ということで、やっと50になろうかという事ですが、現在やる気ダダ下がりで本人困っています。本が読めまくっているのもそれが一端であります。困った。
おわりに
ということで、定年後の労働についての本でした。
個人的にはお金についての心配は結構取れました。
残りは、これからの人生をどう生きるか。それを考えるのがこの一年ですが、大きなこと(会社を買う、難関資格に挑む等)をするのはタイパ的に無駄な気もしており、悩むところです。
近々、ジャーナリング、ブレインダンピングをして気持ちを改めて整理したいと思います。
評価 ☆☆☆☆
2025/04/20

