筆者ご紹介
窪美澄氏は2010年に『ふがいない僕は空を見た』でデビュー。2022年の『夜に星を放つ』で167回直木賞受賞。そのほか各種文学賞受賞。
本作は2014年に発表された作品。
選書の理由
以前窪氏の作品『晴天の迷いクジラ』を読んで、余りにも自分のテイストと合わず、以降敬遠していた作家さんです。
で、老化の効果か、いい感じに前回読んだ作品も忘れてきて、再度チャレンジ?しようと購買に至ったものです(同じタイトルを買わなくって良かった)。
やはり、最近よく名前を聞くので、そらあ何か持っているんだろう、以前読んだものは「はずれ」なだけで、きっと「あたり」もあるはずだ、と手を伸ばしました。
なかなかよい。こんな話
結論からすれば、なかなかよかった。
ジャンルはまあ恋愛小説です。
構成は、7章で連作チックになっています。章ごとに視点が変わり、読み進めるに従い全体像が立体的に浮かび上がるという構造。
登場人物は、みひろ、圭祐・裕太の兄弟がメインキャラ。彼らの視点が入れ替わりつつ物語が進行します。
話の筋としては、簡単にいえば、やや薄幸なみひろを兄弟で取り合う、とまあこんな感じ。下町の小さい商店街という狭いコミュニティの中で、みひろの家はもちろん、二人の兄弟の家にも不和やらなんやら噂やらがある中、みひろと二人の兄弟が恋愛模様を描いてゆく、というもの。
狭いコミュニティの息苦しさ、そんな閉鎖性にも関わらず人は恋する生き物だということが良く分かる作品です。
そして家族として、家の中の不和を受け止めていく。その修羅場と受容のありようもじっくりと描かれていました。
くっついても、別れても、あるいは元の鞘に戻っても、家族はなかなか大変。そしてコミュニティが狭ければ狭いほど、外野もうるさい。それをどうやって受け止め、受け流すかは、やはり個々の家族次第ということですね。
おわりに
ということで窪さんの作品は二作目でした。
恋愛小説というカテゴリのようですが、私としては恋のライバルとなった圭祐・裕太の兄弟を含めた家族の様子に焦点を当てて読んでいました。この家族が今後どうなるのか、と。
その点では、家族小説といっても良いかもしれないかもしれませんね。続編が出たりしたら是非読んでみたい。
きょうだいで同じ人が好きになったことが有る人、友人と同じ人が好きになったことが有る人などにはおすすめ出来るかもしれません。
評価 ☆☆☆
2025/04/21

