海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

英国郷紳の雰囲気と、のどかな田園描写、そしてお屋敷はホラー状態 |『The Little Stranger』Sarah Waters

皆さん、こんにちは。

今年もあっという間に5か月目に突入。というかもうじき半分です。・・・時間が過ぎるのは早いですね。

で、今更じんわり思い出す自分のYear Resolution(一年の決意表明)。実は昨年末に結構沢山洋書を購入したこともあり、「よし今年は月に二冊洋書を読もう。フィクション一冊とノンフィクション一冊ずつだ!」とこっそり今年の手帳に決意表明してありました。

で、これが今年読破した洋書第一冊目。ってか遅くねって話であります。

日本に一時帰国すると洋書を読む気がどこかに行ってしまうんだよなあ、という言い訳。

 

ということで本題に参ります。

作家紹介

筆者Sarah Waters は1966年生まれの英国の作家さん。1998年に「Tipping the Velvet」でデビュー。2006年に「The Night Watch」にてMan Booker Prizeに輝く。

本作、「The Little Stranger」は2009年の作品でMan Booker Prizeのshort-listed作品に選ばれました。

 

選書の理由

洋書はいつも新古品のお店にてオンラインで購入します。ジャンルとしては、近年はAgatha Christie, Jeffrey Archer, ないしはMan booker関連かPulitzer受賞作品を選んで購入しています。

で昨年末に、節税対策(という程稼いでいませんが)もあり、大量に洋書を買ったのですが、なぜか本作だけビニールでカバーされていなかった!(洋書はすぐに黄ばむので大体ビニールでパックされている)

ならば劣化してシミが出てくる前に読みたいなあ、と手に取った次第。って、そこまで書く必要もないチョイスの理由ですみません。

 

あらすじ

本作は、とある医師Dr. Faradayの視点で描かれています。

時代は第二次世界大戦後数年。彼の両親はThe Hundredsというお屋敷に住むAyres一家に仕える使用人夫婦であり、彼はその環境から苦学して医師になりました。

子ども時代にThe Hundredsに潜り込んだ記憶もありながら、今度は医師としてそこへ戻ってきたわけです。そこでかかりつけ医としてMrs. Ayres、その娘のCaroline, および息子のRoderickとの交流を深めてゆき、かかりつけ医以上の存在になってゆきます。

但し、かつての郷紳(ジェントリ)としてのAyres一家は相当落ちぶれており、土地を何とか維持するだけで精いっぱいで、それすら厳しい。その割にMrs.Ayres は格式ばった生活習慣にはこだわりがある、といった具合。

 

そしてこのお屋敷で、少しずつ奇妙なことが起こり始めます。

初めは、若い召使いのBettyに異変が。そして次に家長として頑張るRoderickが精神を病んでゆきます。家には原因不明の焦げ跡が発見され、ぼやもおきます。最終的にRoderickは精神病院送りになります。

さらに不幸がMrs. Ayresを襲い、最後にCarolineもが不幸に襲われます。

 

医師であるDr. FaradayはAyres一家がしきりに唱えた亡霊説を一切信じませんでしたが、真実は。。。

 

印象1:長い

で、大まかな印象ですが、先ずもって長い。

結局、足掛け5カ月もかけて読んでしまいましたが、全部で499ページ!acknowledgementsを入れると501ページ。

ですので、決して詰まらないわけではないのですが、もうどうにもこうにも「長い」という感想でありました。

 

印象2:グレートギャツビー風 + ややホラー

内容ですが、端的に申し上げると、グレートギャツビー風?と少し思いました。といってグレートギャツビーも読んで数十年経ち、あんまり覚えていませんが。。。

 

落ちぶれつつもジェントリとしての誇りを保持するAyres一家と、苦労して階級を上げた元貧乏人Dr. Faradayの繰り広げる会話が、なんともすかした感じで良かったです。ひとつ階級が上の人たちが喋る気取った感じ。

 

Ayres一家の不調をDr. Faradayは「あの世のもの」「ポルターガイスト」的なものとは決して捉えない一方、Ayres一家はどんどん追い詰められてゆきます。その寄り添わないスタンスが最終的に実りそうだったDr. Faraday とCarolineの仲をも引き裂いていきます。

 

それらの距離感の変遷・高揚・失望もDr. Faradayの視点で淡々と冷静に書かれているのが印象的でありました。

 

このDr. Faradayの態度、そこを折れないとモテないよー、と心の中で思いました笑。私もかつてそうでしたが、「正しい」にこだわると、男女間、こと夫婦間はうまくいかない気がします。正しさにこだわらず、「あなたのいう事が一番」といってあげなくちゃ。余計なお世話ですが。まとにかくDr. Faradayは目に見えないものは信じないタイプの方。イギリス経験論発祥の地ですからねえ。

 

英語

やや難しく感じました。英国の田舎風景の描写、お屋敷の作りの説明などにちょっと見知らぬ単語が使われていた気がします。以下、今後使ってみたい知らなかった単語たち。

Forlorn (adj)わびしい・寂れた、blunder(v)不覚を取る、elusive(adj)捉えがたい、cracked(adj)頭のおかしい、be taken aback(idiom) 不意を突かれる、folly(n)愚行、at one’s wit’s end万策尽き果ててて、non-commital(adj)態度をはっきりさせない、等々。

 

おわりに

ということで、今年一発目の洋書の読了でした。

英国の気取った雰囲気をにじませる会話や、のどかな田園風景の描写には非常に味があるなあと感じました。

 

なお、最後の締めのセリフがとても気になるのですが、いまいち理解しきれず、ここまで来ての(500ページ!)不完全燃焼。。。

 

今後はもう少しペースを上げて洋書を今後読んでいきたいなと考えています。

 

評価 ☆☆☆

2025/05/04

 

翻訳も出ている模様。

 

Man Booker関連は以下をこれまで読みました。

lifewithbooks.hateblo.jp

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