概要
湊かなえの『往復書簡』は、手紙のやり取りを通して過去の事件の真相が明らかになる短編集。「十年後の卒業文集」「二十年後の宿題」「十五年後の補習」の三編で構成され、それぞれ異なる登場人物が、封印していた記憶や、知られざる事実と向き合っていく。人間関係の闇や葛藤、そして微かな希望が描かれる。
「徐々に分かる」構成、どれも不安定な読み心地が気持ちよい?
一か月ぶりの湊作品でしたが、なかなか面白かったです。
どれも湊テイストが濃厚な短篇集だったと思います。
トップを飾る「十年後の卒業文集」は、高校時代の部活の仲間の結婚式に端を発する。
海外在住で一時帰国中につき日本のケータイがないという「悦ちゃん」が、過去に部活仲間内であった事件を手紙を通じて暴露してゆく、というもの。手紙の往復が続くにつれ、徐々に譲らない自我がむくむくと表れて、女の罵り合いになりそうなところがイイですね笑 湊さんらしい。最後にツイストがあり、え?そうなるの?と読者をうっちゃるのも湊流、ですよね。
「二十年後の宿題」は私が本作で一番気に入った作品。
小学校教諭が引退後に、かつて見ていた教え子の行く末を案じ、別の教え子(その子もたまたま教師)を頼りに、気になるかつての教え子6人に手紙を渡して近況を聞いてきて欲しい、と頼む。この現教師の教え子が一人また一人とかつての教え子に会い、その状況を先生に手紙で報告するのですが、これまたインタビューというか面会が進むにつれて、かつて起きた事件が異なる角度から明らかになります。
これもまた、最後にツイストがあります。が、むしろハッピーエンドな終わり方ですね。ベタですが好きな終わり方。
そして最後の「十五年後の補習」は、単身赴任の夫を待つ妻の手紙から始まる。一見スウィートな雰囲気で始まるも、そもそもこのカップルは中学生の時からの馴染みで、とある事件をきっかけにこの妻は当時の記憶を一部失っていることが明らかに。当初は海外での状況を綴る夫に対し、甘い言葉で返す妻であったが、徐々に話は過去の忘れていた記憶になり。。。
この妙にイヤーな感じが湊さんらしいかな、と思います。
本作に収録されている短篇すべてに共通しますが、物語の進捗と事実の小出し感がイイですね。事実が見えてくるまでのウズウズ感がたまりません。特に私は勘がいい方ではないので、じらされるように遅々と物語が展開するたびに、えーどうなるのー?と軽く悶えモード?でありました。
おわりに
ということで一か月半ぶりの湊作品でした。
相変わらずエンタメ性の高い作風でした。一日あればサクっと読めてしまいます。ミステリー系が好きな方にはおすすめ出来るかもしれません。
評価 ☆☆☆
2025/05/22

