海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

世間的安牌コースを捨て、元ヤクザとのフィーリング婚をキめる女。荒ぶるなあ。 |『心に龍をちりばめて』白石一文

あらすじ

小柳美帆はエリート記者・黒川丈二との結婚を目前に控え、故郷・福岡で幼馴染の仲間優司と再会する。中学時代、「お前のためならいつでも死んでやる」と語った優司は、今や龍の刺青を背負う元やくざ。過去と運命に導かれるように、理屈を超えた絆が二人の心を結び、出生にまつわる深い秘密や愛憎を乗り越えて、本当の運命の相手を見つけていく物語。

 

荒ぶるのはむしろ主人公美帆

この装丁でこのタイトルなので、もうバイオレンスと性とが交錯するような荒ぶる作品と思って望みました。

 

しかし、予想外の大人しさ。

むしろほんわか系の雰囲気すら感じました。

 

振り返ると、この龍の心をもつのはヤクザとして出てくる優司ではなく、主人公の美帆の方ですね。

フリーの料理編集者としてかなりよい収入を得つつ、司法試験合格した東大卒の記者丈二との婚約を破棄し、地元の元ヤクザと最終的に結ばれるという、あ、ネタバレですが、そういう流れですから。

婚約者の両親との会食で突然キレ出した美帆は龍といういうより、憑き物がついたかのような描かれ方でした。

 

美帆の家庭環境の複雑さ、東京と福岡のギャップ(白石氏の作品には福岡は頻出ですね)、料理記者の一見きらびやかで実はハードな世界、丈二のこすい行動を美帆が冷静に読み切る様子など、他にも多くの楽しめるポイントがちりばめられていたと思います。

 

おわりに

ということで白石氏の作品を久しぶりに読みました。

ひと癖ある恋愛風景を描くのが白石作品の特徴と勝手に思っていますが、本作は女性が主人公であり、その点がこれまで読んだ作品と印象が違った原因なのかな。わかりませんが、一味ちがう雰囲気でした。

 

イレギュラーな恋愛風景、と聞いて興味が湧いた方なら読んでみてもよいと思います。

 

評価 ☆☆☆

2025/06/13

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