海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

美しいいじめられっ子は、イケメン男子に救われるのが良い! |『おちくぼ姫』田辺聖子

皆さん、こんにちは。

 

基本的には流行りものは好きではありません。

偏屈なのもありますが、その一過性の盛り上がり方が気に食わない笑

 

ということで、読書の基本は、日本の〇〇賞のようなタイトルには基本、飛びつかず。読むとしても頃合い(中古の値段?)をはかって手に取るのが日常。

 

ところが今回手に取った本作、本屋大賞受賞作です。2023年受賞だから割かし近い。それでも手に取ったのはかの田辺聖子さん作品だったから。てか内容は古典。てか田辺さんってもう亡くなっているし。どういうこと?

 

よくよく見ると発掘部門とある。調べてみると、こういうこと。

「発掘部門」、ジャンルを問わず、20〇〇年11月30日以前(おやじ注:調査開始から一年前)に刊行された作品のなかで、時代を超えて残る本や、今読み返しても面白いと思う本をエントリー書店員が一人1冊選びました。さらにその中から、これは!と共感した1冊を実行委員会が選出し「超発掘本!」として発表しました。

 

いやあ、こういうの好きです。温故知新、いいじゃないですか。そして読後の感想として、かなり良かった!!面白かった!

 

ということで本題に参ります。

 

それは高校生以来

田辺聖子さんの作品を読むのはめちゃくちゃ久しぶり。

高校生の時、古典対策(飽くまで試験用)に源氏物語の現代語訳を読んで以来。

そして今回のこの作品、初出は1979年だそう。でも古さを感じさせない!というか舞台が古いしね。

なお田辺聖子さんは2019年に91歳で逝去されました。

 

和製シンデレラ・ストーリー

本作、一言で言うと、裏表紙側の帯にある通り、『和製シンデレラ・ストーリー』。

 

天皇の血筋なのに、母親に早くに死なれ、父親の連れ子として継母にきつく当たられる「おちくぼ姫」。唯一の味方は乳きょうだい(乳母の子ども)で、その子も身分は高くないため継母のおちくぼ姫への攻撃をかばいきれない。

その中で、ふとしたことから今を(政治的に)ときめくイケメン貴族に見初められ、あわやのところで駆け落ち(人さらい?)を成功させ、夫婦ともに超ハッピーな感じに。最終的には継母にも復讐をした後に仲直りをするというもの。

 

めでたし、めでたし、と。

 

どこまでも自然な古典訳、そして説明のさりげなさ

やはり出色なのは、その優しい筆致。

所謂現代語訳ではなく、訳しつつ、慣習の説明や状況説明も自然に挿入されており非常に読みやすい。原典タイトルは『落窪物語』だそうですが、原典からの乖離を考慮してか本作タイトルは『おちくぼ姫』。原典に忠実ではないことで、逆に風味はソフトでマイルド、うま味マシマシになっているのだろうと思います。

 

あと、ストーリー展開とツイストの要素にも注目です。

一夫多妻が普通であった当時にあって、モノガミー思考のイケメンにゲットされる。そういう、現実ではあり難いことが起こる。だからこそ、美しい物語として際立ちます。

また、本当にいやーな継母が最終的に懲らしめられる。しかも、主人公のおちくぼ姫はそれを望んでおらず、むしろ周囲の気が済まずにそれが行われる。そのおしとやかな性格・やさしさも、やはり有り難いことではないでしょうか?

そうした『あったらいいなあ』が夢見られる素敵なお話だったと思います。

 

おわりに

ということで田辺さんの古典作品でした。

古典、いいですね。教科書で学ぶのとこうして文庫で手に取るのとでは全く違います。ここに現代の作家の技を見た気がします。

今後はこうした古典の現代訳を読み返したくなりました。源氏物語とか、枕草子とか。原典に当たる勇気はありませんが笑 やっぱり日本人ですしね、知っておきたいですよね。本当に読むか分からんけどいつか読みたいです。

 

評価 ☆☆☆☆

2025/06/26

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