海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

ノルウェイの森とは違う、別の形の『究極の純愛』 |『1Q84』村上春樹

皆さん、こんにちは。

 

再読と物忘れについて。

今回読んだ作品、実に10年以上ぶりに読み直しました。

しかも、私には珍しく、当時(文庫だけど)新品で買ったもののよう。

 

で、恐ろしいことですが、物語の筋をほっとんど忘れているという事実。冒頭に青豆、天吾とか書いてあっても全く記憶が甦らず。

数章読んで青豆は思い出しました(ああ、結構ヤッちゃう人ね)。もう数章読んで天吾(NHKの息子ね)も思い出しました。

 

そしてそれ以外の箇所についても読みながら『そうそう、そうだったー』と思う所と、『いやいや、ここは読めていなかったなあ』という所がありました。

 

いずれにせよ、十数年前に読んだときは心身余裕がない時期に読んだと思います(読書は社会人になってから皆無に)。しかし今回は相応にじっくりと読むことが出来ました。良かったです。気づきもありました。

 

概要

本作『1Q84』は村上春樹氏が2009年と2010年に発表した長編小説で、全3巻構成。1984年からずれた異世界1Q84年」を舞台に、ジム・インストラクター(兼暗殺者)の青豆と塾講師(兼作家志望)の天吾が運命に導かれ再会を目指すもの。宗教団体や謎の「リトル・ピープル」などが登場し、現実と幻想が交錯する愛と運命の物語。

 

キャラについて思う事

なんだか本作、キャラの作り・彩りが他の作品より豊富かつ精緻であったと感じました。

 

一番感じたのは天吾。

天吾は、これまでの村上作品でいうところの「僕」に当たると思います。

たいてい「僕」は文筆・広告関連、或いは飲食関連を生業にしつつ、音楽好き・思想や文学をそらんじ、気怠く生きつつも(あるいは彼なりに模索をしつつ)女性と交わりつつ、そして世の中のフシギと対峙し、最終的に大団円を迎える、みたいな感じでした。そんな彼ですが、不思議とどういう背格好かとか、そういうのは記述がなかったんですよね。まあそれはそれで味がありました。自分を重ねて読むこともできました。

 

でも今回の天吾は家族構成、身体的特徴(柔道耳!)、大柄でスポーツも数学的センスも(実際は音楽センスも)あり、とにかく器用であることなど、非常に細かい設定であったと思います。よくも悪くも、自分を投影するキャラではなく、外から眺めるべき主人公でありました。

 

もう1人の主人公青豆はややラフな作りこみで、彼女の家族の話は余り描かれず、むしろ柳屋敷の女主人やタマルなど、遊び友達の中野あゆみなど、周囲の際立ったキャラとともに物語を彩り深いものにしていたと思います。

 

もう1人、やはり出色のキャラは牛河でしょう。本作で一番印象深いトリックスター(という程ではない!?)だったかと。実は司法試験合格者とか医者の家の子だとか。こういうのは初めて読んだときに記憶に残りませんでした。

でも彼のこと、他の作品でどっかで読んだ気がしたけどどこで見たんだろうと、気になって仕方なく、googleで検索したら『ねじまき鳥クロニクル』 (1994)で出ていました。そうそう、「僕」の元を離れた奥様の兄の綿谷ノボルの秘書としてでした。

 

その他、ふかえりの育ての親の戎野先生、編集者の小松など、かなりエッジのたったキャラが自然な形でそのポジションを占めていたと思います。

 

あと、17歳で文学賞を受賞したふかえり、あれは綿矢りささんが高校生で芥川賞を受賞したことの影響じゃないかとか、さきがけ・あけぼのってのもオウムの影響じゃないかとか、諸々想像させるところがありましたね。

 

1Q84というタイトル

もう一つ。終わり近くまで殆ど考えませんでしたが、タイトルについて。

本タイトル、もちろんかのディストピア小説の『1984』を承けたものでありますが、本作は「9」「Q」になっており、一種のパラレルワールドへ迷い込んだという設定です。実際にはパラレルではないとの説明がありましたが。

 

で、天吾と青豆は会えそうで会えないすれ違いを、結構延々と、最後の最後まで繰り返すのですが、最終巻の第三巻に至ってまだ会えないところで、私気づきました。

そう、この物語は年末までに終わらねばならない。なぜならば、タイトルがそうだから。85年を跨がないように、タイトルが84年となっている。

実は第一巻は4-6月、第二巻`は7-9月、第三巻は10-12月とサブタイトルが振られています。そしてキチンをけりをつけるべく、収束していったことに感心した次第です。

 

上手く表現できませんが、何というか、タイトルの制約を内容に反映させた?ような作りが面白いと思いました。

 

おわりに

ということで村上作品でした。いやー長かった。読むのに10日間弱かかりました。

 

ところで、私の初めて読んだ村上作品は『ノルウェイの森』(1987)でした。そして帯には『究極の純愛』とか何とか書いてあったと記憶します。そこから20年を経て上梓された本作、これもまた『究極の純愛』と呼んでも良い作品であったと思います。

堪能致しました。

 

評価 ☆☆☆☆

2025/07/06

 

上記で挙げたノルウェイの森ねじまき鳥クロニクル、どちらも面白かったです。

lifewithbooks.hateblo.jp

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