皆さん、こんにちは。
税金というのは興味深い分野だと思います。
そこから、第二の人生を見据えて税理士の勉強でもしようかなと考えたことも一瞬ありました。がChat GTPに聞くと、勉強量が半端ないみたいなので、即否決。始める前から挫折。
でもやはり税金というのはある程度は知っておいた方がいいと感じます。
もちろんこれは個人として課される所得税ほか、課税されるからには控除できるものは適用したいというのもあります。相続税など、今後巻き込まれる可能性があるイベントごとへの備えもあります。
もう一つは今の業務の計数サマリーに関してです。経費としての予算交渉、拠点の収益性を計測する部分で、租税公課がどのような影響があるかということです。印紙税、サービス税、それ以外にもネットの利益に課される法人税、そこに至るまでに課される税金って結構あるものです。
直接的に関連するかは未定ですが、移転価格とか、グローバル・ミニマム課税とか、そうした税に関するランドスケープを理解しておきたいと思い手に取ったのが本冊です。ドンピシャではなかったけど、まあまあいい本に出合えたと思います。
それでは本題に参ります。
筆者について
諸富徹氏は1968年大阪府生まれ。同志社大学卒業、京都大学大学院博士課程修了(博士・経済学)。京都大学大学院経済学研究科教授。専門は財政学、環境経済学。主著に『租税は社会を変えられるか』『日本の財政をどう立て直すか』『グリーン・ニューディール』などがある。
デジタル多国籍企業が貧乏人をさらに貧しくする
本作ですが、かなり面白かったです。
税金の本ではあります。いわゆるGAFAなどのデジタル多国籍企業への課税をどのようにして可能にするか、というのが端的なお題目。
これを論ずるにあたって、本来の課税というのは国ごとに行われ、そしてPEという恒久的な施設があることを前提として収益に対して課税していたと。
ところが多国籍企業は重税を逃れるように本社を低税率国に移し、当初の国と移動先との国とで指導料とか、ブランド代とかintangibleな形のない財をやり取りして当該国での収益を低くし課税逃れに走るようになった。移動先の国では低税率で大儲け、当初の国では低収益で課税額も少ないと。また当初の国で経費として計上されるブランド代や指導料は比較対象があまりないため、課税当局も判断が難しいらしい。
更にはGAFAなどのデジタルジャイアントはインターネットを通じて世界中から収益が上がるにも関わらずそれらの国に恒久的施設もないことから、これまでの文脈では各国は彼らに課税することが難しい。
こうした状況が、各国の租税競争を起こし(うちは法人税安いですよー、みなさん来てくださいねー)、そこでは所得税などの直接税を軽く(企業や富裕層が逃げないように)、間接税を重くするという逆進性を助長することになったと論じます。つまり貧乏人はより税金に苦しむようになるということです。こうして所得の再分配が効かなくなります。
これをどうにかするために、一国での課税ではなく、世界政府みたいな大きな括りでGAFAのようなデジタル多国籍企業に立ち向かおう、少なくとも国・課税主体も多国籍企業と同じ土俵で戦わないとだめだ、というお話ですね。
コロナ、EUなどを経た先にあるもの
まあ、考えるまでもなく、各国の思惑がバラバラなので、ワールドワイドでグーグルに課税しましょうとか言ってもこれは課税額の配分などで揉めるのは必須。売り上げ按分だとか、幾つかの案が出ていましたが、どれも難しそう。
さて、突然ですが、コロナなど疫病対策・ワクチンに関連して、国際公共財という考えがあるそうです。
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対価を払わないからといって消費から排除されない
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他の消費者が消費しているからといって自らの消費が排除されるわけではない(149)
コロナワクチンは、とりわけアフリカの国々は危うく消費から排除されかけたわけですが(金がないからね)、ここで国際的な公共財の費用を世界で負担するべきという考えが見直されるわけです。これに先駆け、フランスでは国際便の乗客に国際連帯税をかけ、エコノミーは安く、ファーストクラスは高くしたそう。
これは直接的な答えではないものの、そもそも税金というのが所得の再分配の性格を有すことから、一番のお金持ちで課税逃れをしている多国籍企業を国際的な網の目で取っ捕まえたいと考えているのが見て取れました。
ただやはり実施するとしたら国際的な連携が必要ですよね。このあたりがグローバルミニマム課税につながるのでしょうか。
国家の行く末と課税
さて、考えてしまうのは、課税主体としての国家はもう時代遅れになるかもしれない、ということ。多国籍企業があるのならば、多国籍連携国家も想定するべきなのでしょう。
その一例としてEUが挙げられているわけですが、今のところは国家というこれまでの考えが強すぎてEUは一枚岩でもないですね。
全世界政府とかできたら、富裕層は租税回避のために火星にでも逃げてしまうのでしょうか。
今は戯言ですが、なくはないかもしれない、と感じます。
おわりに
ということで、国際的な課税に関する本でした。
個人としてはなるべく税金は安くしたい、と考えていましたが、現実には多国籍企業のお陰で(政治家のせい?)どの国も間接税優位、つまり持たざる者への負担が大きくなっているのが現状のようです。
税金を安くしたいと思うのは心情ですが、安いだけでは駄目かも・安いだけってのはちょっと違う、と感じました。トランプ氏が関税云々いっていますが、あれだってGAFAは大喜びかもしれませんね。GAFAなどデジタル企業への国際的課税の網の目がじわじわと狭まろうとしていたなかで、紐帯は緩み国家は分断された様相です。
税金とは、政治や国家を考えるうえでは大きな論点かと思います。そうしたことに興味がある方は是非ご一読を。
評価 ☆☆☆☆
2025/07/11

