皆さん、こんにちは。
我ながら懲りないなあと思うのは、自分なりにいまいちフィットしないと感じる作家さんでも結構別作を読んでみたりする、ということです。
そんな作家さんが数人ほどいらっしゃいます。
では原田マハさんはどうかというと、美術系はとってもタイプ。ただ非美術系はどうもしっくりこない(お好きな方々には本当に申し訳ないです)。
今回は可愛いわんこの写真がカバーの本作。結果は。。。
という事で本題に参ります。
ひとこと
残念ながら、個人的にはイマイチ、でした。
どんな話かといえば、身勝手な若い女の話。いやこれはちょっと端折り過ぎか。
ざっとこんな内容
雑誌編集者として多忙ながら絶賛売り出し中で今後も上を狙えそうな藍。彼女は、とある取材で知り合った方から『旬』を過ぎたゴールデンレトリバーを衝動的に譲ってもらう。ペット可の物件に住まうため、同棲していた彼氏と共に渋谷から調布へと引っ越す。
彼氏は自由業+リモートで家でのんびり犬とともに暮らし、家庭を守る。一方藍は激務の編集者として毎日へとへとになりつつ片道一時間半以上を日々通勤する。
そのうち彼氏や専業主婦の犬トモらに、どうにもイラついてきてしまった藍。彼氏と別れ、追い出し、犬を世話しつつ激務に耐える日々。
散歩や排せつもままならない愛犬リラは、粗相をたびたびし、病を得て最終的には死んでしまうが、その経過で鬼編集長と理解し合え、アシスタントとの紐帯も強まり、そして元カレとも(別れたままであるが)一定の理解をしあえた、という感じの話。
仕事を取り、彼氏と犬を切る
限られた時間、一日24時間しかないこの時間をどのように配分するか、という話は、古今東西、誰をも悩ます問いの一つであります。
映画やドラマでも、仕事一筋で家庭を顧みない男性が不治の病にかかった妻のために180度スタンスを変えるというのもよくある話です。
で、本作の主人公の藍の場合、30そこそこでこれからという時、彼氏と犬と仕事という三つのファクターを整理したいと思い立つ。この三つの中で、先ずは仕事を取った。仕事を取ったからにはもう犬は面倒を見れないので、犬と彼氏を切ったわけだが、彼氏と出て行った車から愛犬リラが飛びだして戻ってきたことからドラマチックに犬の面倒を見る宣言。
もちろんいつでもきちんと面倒は見れるべくもなく(激務だもん)、犬も疲弊してゆき、自身も疲弊し、最終的に犬は死んでしまう。
仕事と犬の命の二元論じゃないけど…
どうにもモヤモヤが残るのは、やはり命を預かるということの責任をどこまで問うてよいのかが良く分からなかったから。
仕事は大事。仕事をしないと生きていけない。
では、もしリラみたいに朝から晩まで留守番させられるのが幼稚園児くらいだったらどうか。飛躍しすぎを承知でいえば、そのような母親は非難を浴びてしまうでしょう。ネグレクトだとか。
では外でしか排せつさせないようにしつけたこの犬、犬だったら人間と違い閉じ込めっぱなしでもよいのか。
All or nothing の二項対立は稚拙な議論になりかねませんし、ましてやストーリー上は犬の死因はがんであったわけで、家での長時間の留守番は直接的な原因ではなかったのですが、どうにも個人的には読後の後味はよろしくありませんでした。
おわりに
ということで原田氏の非美術系小説でした。
本当はキャリアに燃える女性の、悲劇に負けない、逆境に立ち向かうという青春小説なのかもしれず、私は大分間違った読み方をした可能性は有ります。
語り口は読みやすくライトなので、読書が苦手な方にもおすすめ出来るかもしれません。
評価 ☆☆☆
2025/07/23

