皆さん、こんにちは。
9月もはや終わりですね。
私事ですが、9月は色々ありました。子どもたちがこちらを訪れたり、親族が亡くなり葬式に出たり、とある駐在家族とホームパーティーみたいなのをしたり、マラソン大会に出場したり、高校時代のバンド仲間がこちらに旅行にきてアテンドしたり、ケニアに旅行したときにできたインド人の知り合いがこちらに来たので飲茶に連れて行ったりとか。
普段家内と二人で閉じた生活をしているので(会社に行ってもそこまで喋らないので)、もうこういうイレギュラーな来客とか訪問があると、調子が崩れます。喋りすぎて喉が枯れる泣
まあ滅多にないこと故、喜んでもらえることを目指して頑張りましたが。
普段は月末だとタスクをこなせなかった後悔や焦りをより多く感じるのですが、今月だけはアドホックなタスクをこなせた充実感しかないです笑
結果、読書量も減りましたけど。
それでは本題に入ります。
ひとこと
沼田まほかる氏の作品はこれで二作品目。
以前『九月が永遠に続けば』(2005)を読み、そのつるつるとした(喉ごし、ならぬ)「読みごし」に偉く感心したのでした。
で、今回の作品『彼女がその名を知らない鳥たち』(2006)、作風は相変わらずのいやーな感じ。前回の作品対比だとミステリー感は弱まりましたが、むずがゆい感覚はむしろパワーアップ。何とも言えない読後感でありました。
因みに10年ほど前に読んで以来の再読となりました。
虐待女と被虐待おじさんの愛憎
で、内容ですが、何とも言いづらい笑
藤田香織氏の解説では、メインのキャラクター二人を、いみじくも『愛せない男と共感できない女』と表現。
そう、本作は、かつて別れた男を忘れられない女十和子と、その内縁の夫陣治の話。
陣治は貧しい家庭出身ながら、高卒で一流建設会社に入社。しかし粗野で卑しい性格・物言いにより、取引先からも蔑まれていた。
そんな取引先にいた十和子と、陣治は最終的に同棲に漕ぎつける。
十和子は陣治をいたぶることで、意中の男性と別れて傷ついた精神のバランスを保ち、陣治は陣治で一回り以上若い十和子をつなぎとめる・共に生きることで下降を描く人生ゲームに意味を見出す。
その二人の奇妙に依存しあうような同棲生活は、十和子の更なる不義により加速するかに見えますが、物語は驚きの終末を迎えます。
おわりに
ということで沼田氏の作品はこれで二作目でした。
十和子の分裂気味の精神描写は、背筋に冷や汗を感じるかのごとくのリアルさがありました。筆者は超遅咲きの作家さんですが、色々あったからの描写なのかも、と感じました。Wikipediaによると、若くして結婚、のち離婚、そして出家、さらに起業と倒産を経験とか。
イヤミスならぬイヤ純文学とでも言った作品ですが、男女関係の極北を見たかのような作品であったと思います。
蒼井優さんと阿部サダヲさんのキャスティングで映画化もされています。こちらもどのように映像化されたか気になるところです。
評価 ☆☆☆
2025/09/28

![彼女がその名を知らない鳥たち [DVD] 彼女がその名を知らない鳥たち [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/51VgbVkatSL._SL500_.jpg)
