過日、イタリアに行ってきました。イタリアにゆかりのある映画を物色していると、「インフェルノ」という作品に出合いました。そこそこ楽しみました。
でこの度日本に手術に帰ってきて、映画で見たことはあったダ・ヴィンチ・コードの本を偶然読んでみると、あれ?ラングドン教授? なんか聞き覚えがある。
ということでこれら両者がダン・ブラウン氏のシリーズものであることが判明。
因みに、インフェルノもダ・ヴィンチ・コードも、旅行の予習みたいな感じで映画を見たものですが、後者のダ・ヴィンチ・コードは圧倒的に本が良い!パリやロンドンに行く方にはお勧め!
他のラングドンシリーズ(書籍)のも俄然、興味が湧いてきました。
はじめに
ダン・ブラウン氏によるラングドン教授シリーズ2作目。映画化も果し、大ヒットした作品。
講演でパリに滞在しているラングドン教授は、疲れ果てたホテルから呼び出しを受ける。それはその日会う予定だったルーブル美術館のソニエール館長の殺人事件について、警察からの援助要請であった。しかし、どうやらその殺人について容疑をかけられていることがルーブルで徐々にわかるなか、窮地を救ったのは殺された館長の孫娘のソフィー(警察)。
宗教象徴学者のラングドン教授はソフィーの話、館長の殺害現場等々から徐々に事件の真相に迫っていく。
キリスト教関連の蘊蓄がいい
いやあ、実に面白かった。
何が面白いかというと、歴史や宗教に関しての蘊蓄が詰まっているところ。ダビデの星(上の三角形と下向きの三角形を重ねたもの)は剣(=男性)、杯(=女性)の象徴であるとか。
また巷では陰謀論で片付けられてしまいそうな話(マグダラのマリアとイエスは結婚し子どもを設けていた、テンプル騎士団は聖杯を探すためにパレスチナ地方まで十字軍とともに下って行った等々)も証左も併せて詳細に説明。
関連書が読みたくなってきます。
歴史についての慧眼
また、歴史は勝者が作ってゆく(要するにカトリック。またカトリックが異端という名の下でで他の流派を排除し隠蔽してゆく)ということをラングドン教授にも語らせ、そこが作品に通底する一つのテーマとして描かれています。
つまり、イエスとマグダラのマリアが婚姻し直系の子孫が実際に存在するとするシオン修道会(ルーブル美術館のソニエール館長が属していた)は本来は異端であり、圧力をかけられる立場にあった。これは本来のカトリックがカトリック世界を維持するためには都合が悪いということです。
換言すれば、歴史とは決して事実とは限らないということ。むしろ権力者にとっての都合のよいストーリである可能性も大いにあるのです。そのことをラングドン教授に鮮やかに語らせます。
それ以外にもキリスト教も土着の宗教との習合を経て成立していったことを物語の節々で語っていたことが印象的でした(具体例忘れました)。
おわりに
ということでダン・ブラウン氏の作品は、書籍としては初めて読みました。
オッサンになってから世界史を勉強し、旧約も勉強し、実は新約は手つかずだったのです泣
新約を通読したらまた戻って来たいと思います。新約の内容が分かる方にはきっと面白いと思います。
またダ・ヴィンチの絵画が好きな方、ルーブル等フランスへ行く方はパリの描写についてかなり楽しめると思います。
評価 ☆☆☆☆
2024/04/24
本作でテンプル騎士団が大いにフィーチャーされていました。興味がある方はこちらを。