海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

2024-01-01から1年間の記事一覧

おおらかなルネサンス期のイタリア。でも不貞は見つかると死刑だよ |『愛の年代記』塩野七生

皆さん、こんにちは。 今年は日本へ一時帰国するというのもあり、「よし、塩野氏のローマ人の物語を大人買いして読破してみるか!?」と思いつつの帰国。ところが手術だなんだとバタバタしている間に時は過ぎ、途中まで買った本(20巻くらいまで?)は積読本…

死を前にして、あなたは何を思うか |『WEHN BREATH BECOMES AIR』PAUL KALANITHI

うちの娘の高校入試(帰国)でのこと。 英語インタビューで、「最近読んだ印象的な本は?」と聞かれ、挙げたのが本書とか。どや顔でリコメンドしたそうです。曰く「5回は繰り返し読んだ」そう。 その後、私のスピーチクラブで他のメンバー(三十代)が本書に…

発達心理学のビジネス応用版 |『なぜ部下とうまくいかないのか』加藤洋平

皆さん、こんにちは。 昨年うっかりできてしまった部下、しかも知り合いを採用したのですが、思ったより仕事が出来ず、なかなかにイライラします。大抵毎日キれています(天に唾するかの所業ですが…)。 ここ三カ月ほどリモートで仕事をしているため、更に連…

「要は」を提供できる良書。本当の教科書とセットでどうぞ |『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』山﨑圭一

皆さん、こんにちは。 だらだらと続けている一時帰国も(入院が目的ではありましたが)そろそろ終わりとなります。来週にはやっと居所に戻れることになりました。 さて、今回は母の積読文庫より本書を拝借。看板にやや誇張があるように思えましたが(笑)な…

狂気の淵に光る理性の綱渡り。そのまま生きよ。 |『何もかもが憂鬱な夜に』中村文則

中村氏の作品はこれで四作目。約三カ月ぶりの再見となります。 氏の作品はノワールで陰鬱な作風が特徴ですが、これまで読んだ「掏摸」「王国」「去年の冬、きみと別れ」と比較しても本作「何もかもが憂鬱な夜に」は、まあ暗いこと。 ただ、いろんな意味で結…

マクロの解説はなかなか珍しい |『Outlook ビジネスメール効率化&自動化の教科書』伊賀上真左彦

皆さん、こんにちは。 ひと月に2冊程度を目標に、自分の業務の効率化につながるような書籍を読む努力をしています。 これは、業界知識や関連業法の確認であったり、昨年うっかりできてしまった部下の育て方だったり、あるいは今回取り上げるようなテクニカル…

モーセ、約束の地を前に死す |『七十人訳ギリシア語聖書』申命記、訳:秦剛平

はじめに モーセ五書を順々に読み進めてきて、これが最後の申命記。 創世記、出エジプト記は内容に動き・アクションがあったものの、レビ記、民数記はルール集っぽくて少し冗長でつまらない印象でした。 そして本申命記は、半分アクション・半分ルール集の折…

もはやロビンフッド!?痛快な四人組に拍手 |『陽気なギャングは三つ数えろ』伊坂幸太郎

皆さん、こんにちは。 陽気なギャングシリーズ(っなんて言うのかどうか…)第三弾をようやく手にしました。 第二弾まで読み返したときは4月でまだ入院中でしたが、こうして家で読書ができること、誠に有難い限りです。 第二弾を読んでいるときに作品について…

押しつけがましくないエッセイ |『歩きながら考える』ヤマザキマリ

皆さん、こんにちは。 先週末に、外科に行ってきました。 20年前に右膝の前十字靭帯の断裂後、再建手術をしたのですが、最近しゃがんだりヨガで90以上膝を曲げると膝が外れることが有るんですよ。。。 病気やケガばかりで嫌ですが、3時間ほど待たされる間に…

相続テクニック+相続争い回避の策 |『損しない!まるわかり相続大全』秋山清成

今年で83となった父親。 先日床屋行くと数カ月ぶりに外出し、4時間くらい徘徊して帰宅。 また、ここ数週間は急激な食欲と甘党デビュー(これまでスイーツ嫌い)に至り、食後に果物やスイーツの置き場をうろついたり、夜中おきて冷蔵庫を漁ったり…ってこれが…

猫のトムとサレ男公務員「僕」が国を救う!? |『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎

皆さん、こんにちは。 突然ですが、本当にタイトルのつけ方が無粋でセンスがなくって申し訳ないです。 作品は実に面白かったのですが、吹けば飛ぶようなわずかなセンスでタイトルをつけて、こうなりました。 そろそろAIを使わなきゃですかね。 ただ私、つい…

常野物語だけど、どちらかというと青春小説か

皆さん、こんにちは。 週末に同じ学年の高校の部活仲間の墓参りに行ってきました。 そいつが逝って、もう四人しか部活仲間がいないのですが、気づくと皆、なかなか色々だなあと。 亡くなった奴は子どもと嫁さんを残して自死。コロナ中ということもあったけど…

戦前戦中の朝鮮半島での一日本人のオーラル・ヒストリー |『私が朝鮮半島でしたこと 1928年-1946年』松尾茂

皆さんこんにちは。 本作は以前からwish listに入っていたものです。 Amazonで中古のものを買ったら、カバー無しの本が送られてきました。 文句を言うのも面倒で、結局そのまま読みました。内容は良かったですけどね。 右翼的発言に辟易 巷やネットで嫌韓論…

麻之助シリーズ第二弾。結婚しても相変わらずの名探偵ぶり!? |『こいしり』畠中恵

皆様、こんにちは。 最近忙しくて、アホ、クソ、死ね等、子どもに注意する義理を損なうような言葉を吐き捨てつつ仕事をしております。 リモートなので、起きたら仕事、ずーっと仕事、気づくと夜ご飯、みたいな生活。期限ものが多く朝ごはん抜き、昼ご飯抜き…

吉野氏の半生で見る戦前・戦中のアメリカ・ドイツ・日本 |『私が最も尊敬する外交官』佐藤優

佐藤氏の作品は結構好きです。 その博学に裏打ちされた諜報インテリジェンスの話、外交の話等は、私の知らない映画のような世界。知らない世界だけど、厳然として存在する、熾烈な世界。 そんな佐藤氏にあって他の著作で言及があったのがこの吉野文六氏。 吉…

ひっそりと穏やかに暮らす超能力者たちの憂鬱 |『光の帝国 常野物語』恩田陸

はじめに 幅広い作風を持つ恩田氏ですが、本作を読んである思いに至りました。 「この人は怪奇系が得意かも」 氏の作品は20作以上読んでいますが、超常系のエッセンスが入っているのは結構ツボります。そして本作もそうでありました。 つくり ザックリ言うと…

奇人編集者の定が奏でる「生」への肯定のリズム |『ふくわらい』西加奈子

ゴールデン・ウイークですね。 退院してから、私の父親が初の徘徊の旅に出たり、叔母が亡くなったりと、アラフィフとして老後の入り口を堪能しています。 子どもの学費のプレッシャー、嫁の更年期プレッシャー(機嫌悪いのと姑との折り合い悪いのと)、そし…

民の人数数え。してその意味合いは?? |『七十人訳ギリシア語聖書』民数記、訳:秦剛平

民数記とは 民数記という名であるが、確かに神が部族の数を数え上げるという点ではその名にふさわしいのかもしれません。 とは言え、その間の記述はつまらないことこの上なく、だれだれの息子のだれだれ以下男子云々名とかいうのが延々と続きます。 因みに秦…

絶品!人情系推理エンタメ |『まんまこと』畠中恵

時代小説…これまでオヤジ・中年の読み物、と思っていました(てかドンピシャの中年オヤジでありますが)。とはいえ、某ブログで畠中さんの作品が面白いという話を目にして以来、私のwish-listに入っていました。 で、この度、「♪本を売るなら、」の中古屋さ…

キリスト教宗教史をバックにスケールの大きいミステリを描く |『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン 訳:越前敏哉

過日、イタリアに行ってきました。イタリアにゆかりのある映画を物色していると、「インフェルノ」という作品に出合いました。そこそこ楽しみました。 でこの度日本に手術に帰ってきて、映画で見たことはあったダ・ヴィンチ・コードの本を偶然読んでみると、…

死ぬと分かるのなら、その日あなたは何をするか? |『THEY BOTH DIE AT THE END』ADAM SILVERA

皆さんこんにちは。 娘が居所にいるとき、ふと娘の洋書(YA系)を読むことが何度かありました。そうした作品につきAMAZONの評価とかも併せて読んでいるうちに、AMAZONに色々な洋書のRecommendationが出てくるようになりました。そのうちの一作が本作。表紙のデ…

シニシズム、あるいは偽善者の欺瞞を描く |『死者の奢り・飼育』大江健三郎

はじめに・思い出 大江健三郎氏の初期の作品。表題作の「飼育」にて芥川賞を受賞。 本作も再読するのはかれこれ30年ぶりくらい。大江健三郎氏といえば私が大学に入った1994年にノーベル文学賞を受賞した方。 名前は知っていたものの読んだこともなく、同賞受…

ユダヤ教ルールブック!? |『七十人訳ギリシア語聖書』レビ記、訳:秦剛平

レビ記=ルールブック!? さて、昨年から始めている聖書読んでみようキャンペーンですが、今度は旧約聖書のレビ記を読了しました。 レビ記はモーセ五書のひとつですが、ひとことで言えば、ルールブック的記述の網羅が印象的でした。 ルールの内容 今付箋の…

小川洋子氏の幻想的世界 with 動物 |『いつも彼らはどこかに』小川洋子

はじめに 小川洋子さんによる動物がテーマの短編集。2013年発行ですからちょい前のものです。 タイトルと主人公について 作りとしては短編集となっています。相変わらず不思議な物語を綴ります。 タイトルに動物が絡みますが、物語は時として重層的に進みま…

余程のマニアではない限り、かなり役に立つ |『アウトルック最速仕事術』森新

はじめに 突然ですが、私はメールというものが嫌いです。 仕事の内容では、諸々の個人的合理化を積み重ね、やり方を変え、順序を入れ替え、マクロを作り、自分の仕事量は上司には教えられない位減りました。 ただ、メールだけはそうなりづらいのです。 役員…

洒脱な半藤氏の語りが光る |『歴史と人生』半藤一利

はじめに 齢90にて2021年に逝去された半藤氏。 いつかはその著作を読んでみたいと思っていました。そしてこの度某中古本屋で裏表紙も見ず、タイトルだけで購入した次第です。ちなみに本作は著者が88歳の時に出版したものだそう。すごいですよね。 第一印象は…

「ギャング」のアクション、今度は誘拐!? |『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 月曜日に手術をして頭蓋骨をこじ開けてバイパス手術をして、火曜日に覚醒しました。まだだるいのですが、ゆっくり元気になって、もう少し学費を稼ぐために頑張りたいと思います。 はじめに 伊坂氏の初期作品。「陽気なギャングが地球を回…

ちょっぴり不思議で優しい「小川洋子的世界」を |『偶然の祝福』小川洋子

はじめに 小川さんの作品に一か月ぶりにお目にかかります。 本作は2000年に発表された作品ですから、割と古い部類のものかもしれません。四半世紀か。 構成について 本作は連作というのでしょうか。同じ主人公によるシーンの違う短編で構成されている作品と…

作為的安っぽさと時代のオマージュで読者を引き込む |『さらば雑司ヶ谷』樋口毅宏

はじめに 樋口氏の作品はこれで三作品目。 これまで読んできたところですと、彼の特徴といえば、どぎつ目なエログロといったところ。 「日本のセックス」ではスワッピング狂の旦那に嫌々連れていかれるうちに欲情してくるその妻の心情を描いていました。性描…

パンチに欠ける?もとりあえず三部作終了 |『黄金のローマ 法王庁殺人事件』塩野七生

はじめに 塩野氏による歴史絵巻三部作の最終作。 緋色のヴェネツィア、銀色のフィレンツェ、に続き、黄金のローマ、であります。 もし本作を初めて手に取った場合は、悪いことは申しませんので、是非いちから(ヴェネツィア)から読むことをお勧めします。 …

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