海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

文芸・エッセイ・ドキュメンタリ

猫のトムとサレ男公務員「僕」が国を救う!? |『夜の国のクーパー』伊坂幸太郎

皆さん、こんにちは。 突然ですが、本当にタイトルのつけ方が無粋でセンスがなくって申し訳ないです。 作品は実に面白かったのですが、吹けば飛ぶようなわずかなセンスでタイトルをつけて、こうなりました。 そろそろAIを使わなきゃですかね。 ただ私、つい…

常野物語だけど、どちらかというと青春小説か

皆さん、こんにちは。 週末に同じ学年の高校の部活仲間の墓参りに行ってきました。 そいつが逝って、もう四人しか部活仲間がいないのですが、気づくと皆、なかなか色々だなあと。 亡くなった奴は子どもと嫁さんを残して自死。コロナ中ということもあったけど…

麻之助シリーズ第二弾。結婚しても相変わらずの名探偵ぶり!? |『こいしり』畠中恵

皆様、こんにちは。 最近忙しくて、アホ、クソ、死ね等、子どもに注意する義理を損なうような言葉を吐き捨てつつ仕事をしております。 リモートなので、起きたら仕事、ずーっと仕事、気づくと夜ご飯、みたいな生活。期限ものが多く朝ごはん抜き、昼ご飯抜き…

ひっそりと穏やかに暮らす超能力者たちの憂鬱 |『光の帝国 常野物語』恩田陸

はじめに 幅広い作風を持つ恩田氏ですが、本作を読んである思いに至りました。 「この人は怪奇系が得意かも」 氏の作品は20作以上読んでいますが、超常系のエッセンスが入っているのは結構ツボります。そして本作もそうでありました。 つくり ザックリ言うと…

奇人編集者の定が奏でる「生」への肯定のリズム |『ふくわらい』西加奈子

ゴールデン・ウイークですね。 退院してから、私の父親が初の徘徊の旅に出たり、叔母が亡くなったりと、アラフィフとして老後の入り口を堪能しています。 子どもの学費のプレッシャー、嫁の更年期プレッシャー(機嫌悪いのと姑との折り合い悪いのと)、そし…

絶品!人情系推理エンタメ |『まんまこと』畠中恵

時代小説…これまでオヤジ・中年の読み物、と思っていました(てかドンピシャの中年オヤジでありますが)。とはいえ、某ブログで畠中さんの作品が面白いという話を目にして以来、私のwish-listに入っていました。 で、この度、「♪本を売るなら、」の中古屋さ…

キリスト教宗教史をバックにスケールの大きいミステリを描く |『ダ・ヴィンチ・コード』ダン・ブラウン 訳:越前敏哉

過日、イタリアに行ってきました。イタリアにゆかりのある映画を物色していると、「インフェルノ」という作品に出合いました。そこそこ楽しみました。 でこの度日本に手術に帰ってきて、映画で見たことはあったダ・ヴィンチ・コードの本を偶然読んでみると、…

シニシズム、あるいは偽善者の欺瞞を描く |『死者の奢り・飼育』大江健三郎

はじめに・思い出 大江健三郎氏の初期の作品。表題作の「飼育」にて芥川賞を受賞。 本作も再読するのはかれこれ30年ぶりくらい。大江健三郎氏といえば私が大学に入った1994年にノーベル文学賞を受賞した方。 名前は知っていたものの読んだこともなく、同賞受…

小川洋子氏の幻想的世界 with 動物 |『いつも彼らはどこかに』小川洋子

はじめに 小川洋子さんによる動物がテーマの短編集。2013年発行ですからちょい前のものです。 タイトルと主人公について 作りとしては短編集となっています。相変わらず不思議な物語を綴ります。 タイトルに動物が絡みますが、物語は時として重層的に進みま…

「ギャング」のアクション、今度は誘拐!? |『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 月曜日に手術をして頭蓋骨をこじ開けてバイパス手術をして、火曜日に覚醒しました。まだだるいのですが、ゆっくり元気になって、もう少し学費を稼ぐために頑張りたいと思います。 はじめに 伊坂氏の初期作品。「陽気なギャングが地球を回…

ちょっぴり不思議で優しい「小川洋子的世界」を |『偶然の祝福』小川洋子

はじめに 小川さんの作品に一か月ぶりにお目にかかります。 本作は2000年に発表された作品ですから、割と古い部類のものかもしれません。四半世紀か。 構成について 本作は連作というのでしょうか。同じ主人公によるシーンの違う短編で構成されている作品と…

作為的安っぽさと時代のオマージュで読者を引き込む |『さらば雑司ヶ谷』樋口毅宏

はじめに 樋口氏の作品はこれで三作品目。 これまで読んできたところですと、彼の特徴といえば、どぎつ目なエログロといったところ。 「日本のセックス」ではスワッピング狂の旦那に嫌々連れていかれるうちに欲情してくるその妻の心情を描いていました。性描…

パンチに欠ける?もとりあえず三部作終了 |『黄金のローマ 法王庁殺人事件』塩野七生

はじめに 塩野氏による歴史絵巻三部作の最終作。 緋色のヴェネツィア、銀色のフィレンツェ、に続き、黄金のローマ、であります。 もし本作を初めて手に取った場合は、悪いことは申しませんので、是非いちから(ヴェネツィア)から読むことをお勧めします。 …

痛快コンゲーム的銀行強盗 |『陽気なギャングが地球を回す』伊坂幸太郎

はじめに これまた十数年ぶりに読んだ本作。 初期伊坂作品らしい、エンタメ性・疾走感・そして洒脱なセリフとキャラ構成、と全てが光る作品でした。面白かった。 あらすじ 4人の出自や性別・年齢のばらばらな男女が銀行強盗を働くというもの。 夫々の特徴を…

強烈なシニシズムを示す作品群 |『パニック・裸の王様』開高健

はじめに 過去にも読みましたが、実に20-30年ぶりくらいの再読。 いやあ、なかなかしびれました。 本作、4編の短編から構成された作品群ですが、強烈に感じたのが、通底するシニシズムでありました。お金、権力、偽善への痛烈な批判のようなものを感じました…

労働者の苦境のなかに、ちょっぴり光る幸せをユーモラスに。 |『魔が差したパン』O・ヘンリー 訳:小川高義

O・ヘンリーは昔読んだ気がします。 近年は気にもしなかったのですが、読書系ブログ界隈(まあ私が見回るところ)ではたまに言及されていたので気になっていました。 今回手術のために日本に帰国していますが、母親の「積読」文庫にその姿を発見、読んでみた…

ふんわりやさしめ西作品 |『しずく』西加奈子

西さんのイメージ 西さんの作品は、なんというか、「癖のある」感じの印象。 いつも関西弁の女性主人公が出てきて、ちょっと繊細だったり、あるいは男勝りのユーモラスなキャラだったり。 その一方で擬態語や擬音語のチョイスが読者をはっとさせ、唸らせると…

次第に全貌が明らかになるエログロ・サスペンス |『民宿雪国』樋口毅宏

皆さん、こんにちは。 上の子の高校卒業式に参加してきました。 いやあ、青春っていいですね。式が終わった後は講堂から出て、生徒一同で制服のネクタイ(通称『たくあん』:金色・黄色だから)を一斉に放り投げるというシーンも。その後は生徒同士、仲間同…

ニューヨークトリビアと凶悪犯との対決 |『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー、訳:池田真紀子

皆さん、こんにちは。 この前約10年ぶりにYahoo!オークションを利用し、文庫本をバルクで購入しました(塩野七生さん関連ですが)。 実は事前にメルカリも見たのですが、概観としてメルカリは高く、Yahoo!オークションは軒並み安いという結果でした。 同じ商…

2人の刑事の掛け合いから繙かれる3遺体の真実 |『パズル』恩田陸 

皆さん、こんにちは。 そろそろ異動の時期ですね。私は外国でこじんまりと自らサイロを築いてぼちぼちやっています。しかし、所謂駐在さんはそうはいきません。異動の示達があります。 私の一つ下の上司君は、次はなんとブラジルだそうです。と、遠い・・・…

話すこと・吐き出すこと・受け止めること。終末に救い。 |『十二人の死にたい子どもたち』冲方丁

皆さん、こんにちは。 この前あっという間に二月が終わったとか言っていました。舌の根が乾く間もなく、日本へ帰国致しました。 これから両親の確定申告を代行します。溜息が出ますが、引退世代の年金額が凄まじい・・・。私は逆立ちしてもこんな額はむりぽ…

ノワール系エンタメ小説。最後のツイストにガクブル |『去年の冬、きみと別れ』中村文則

皆さん、こんにちは。 あっという間に2月が終わってしまいましたね。早いもので2/12が消化されてしまいました。 仕事でもプライベートでも「これやりたい」の年間計画を立てたものの、早速遅延気味です。 PDCA的にはCAをいかに上手にやるかが個人的な課題で…

ユーモアと不穏さの通底する音楽短編 |『夜想曲集』カズオ・イシグロ、訳:土屋政雄

皆さん、こんにちは。 高3ボーイズが日本へ帰っていきました。うちのムスコはもう少しこちらにいる予定です。 そして程なく私もまた日本へ一時帰国。ムスコ君の高校卒業式、大学入学式、そして脳のパイパス手術とイベントが続きます。 仕事や生活にリズムが…

新たな作風の模索!? 伊坂作品に珍しい短編集 |『ジャイロスコープ』伊坂幸太郎

皆さん、こんにちは。 息子を含めた高校三年生4人組。せっかく東南アジアの端っこまで来てくれたのだからと、やれ世界遺産の街へだとか、やれこれがおいしいから食ってみろとかで、有給をとってあっちこっちへ連れまわしています。 4人もいると性格も行動も…

読み口良すぎ。宝石をタイトルにした多様なストーリー。 |『サファイア』湊かなえ

皆さん、こんにちは。 高校卒業前の今、ムスコがこちらに友人3人を引き連れて帰ってきました。で、なんというか実に面子が多様。 うちの子が一応アジアハーフ。連れてきたのは、ドイツ在住15年の子(英語の方が得意)、カナダと日本のハーフ、そしてこの前初…

お笑いなし!?大阪の夜の街を綴る純文学作品 |『地下の鳩』西加奈子

皆さん、こんにちは。 突然ですが、最近体調がよろしくありません。よく眠れないのです。 これまで食事、運動、睡眠、とコンディショニングにはそこそこ気を遣ってきました。月初に旅行から帰ってきてから、旧正月のあいさつ回りを経て、昼夜逆転・飲食過多…

作品の書き口と大分ギャップがある!夢想家?天然? |『とにかく散歩いたしましょう』小川洋子

読了してから一週間近く経ってしまい、印象が薄れてきています。 こういうとき、電子書籍というのはちょっと面倒ですね。読中メモは残せますが、私の端末は手書きのようにササっというわけにいかない。というのは私の持っている端末がかなり古いからですが。…

作家の多才ぶりを見せつける奇想短編集 |『いのちのパレード』恩田陸

皆さん、こんにちは。 私はそもそも本好きではありましたが、社会人になってからはそれ程本は読んでいませんでした。きっと読んでも10冊あったかどうか。 思い返せば、本をゴリゴリ読むようになった切っ掛けは2つほど。 10年前、日本から逃げるように海外に…

安定の「静謐」さで世界を優しく描く。 |『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子

皆さん、こんにちは。 当地では旧正月を迎えました。 激しく鳴り響く爆竹を十数分と親族との過食?とを堪能しました笑 改めて思いますが、華僑の方々は本当に家族を大事にしますよね。集まりが大好き。そして話好き。私は広東語が喋れんので、連れていかれて…

軽妙な筆致でワイルドな軽自動車旅行を綴る。楽園、見つかりましたか? |『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』石澤義裕

皆さん、こんにちは。 とうとう居所に戻ってきました。 当初、ローマからアブダビで乗り換えの予定でしたが、ローマでの出発が遅れ、乗り継ぎに接続できず。結局、アブダビからドーハ、ドーハから居所へ戻ってきました。 驚いたのは、EUでは飛行機が当初予定…

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