海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

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美少年ダビデの成り上がり的ストーリーが印象的。でもオイタでつまづくってねぇ。 |旧約聖書 サムエル記 『聖書 新共同訳』

はじめに サムエル記は、サムエルという預言者が概ねカバーした時代のお話です。 これまでユダヤの民は政教分離、というよりも、『教』しかなかったところに、『政』が持ち込まれます。つまり、民が王を持ちたい言いだしたのです。 その結果、サウル王、つい…

東洋哲学も勉強したいな、とつらつら思わせる佳作 |『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』著:マイケル・ピュエット&クリスティーン・グロス=ロー、訳:熊谷淳子

タイトルがいいのか悪いのか 結論から言うと、なかなか良かった。 こういってしまうのも少し癪なのです。というのは、『ハーバード式』『スタンフォード式』『成功者が実践する~』などというタイトルが個人的には大嫌いだからです。 ではなぜ買ったか。 東…

生まれ変わりの神秘?恩田氏の初期作品は心なしか、初々しく癖の薄い作品 |『不安な童話』恩田陸

皆さんこんにちは。 忙しくてバタバタしておりました。そして読んだ本も記録をつけずにほったらかし。危うく忘れるところでした。 はじめに 本作、恩田氏の極々初期の作品。1992年が彼女のデビューの年で、本作は1994年のもの。 初期のころから恩田氏のごっ…

孤児院出身の二人の異なる人生。 |『境遇』湊かなえ

ここ数カ月、野球の先発投手よろしく自分の読書にローテーションが出来つつあるのを感じます。 伊坂幸太郎、村上春樹、恩田陸、湊かなえ、西加奈子、の諸氏。このあたりがローテーションの柱。次の候補として呼び名が上がるのが塩野七生、中村文則、白石一文…

さっぱり平明、読みやすくて面白い! |『むかしのはなし』三浦しをん

皆さん、こんにちは。 日本は暑いようですが、皆さんお変わりありませんでしょうか。 暑いというと、熱い甲子園予選。とうとう始まりましたね。 便利な世の中になったもので、今や予選からネットで中継で(しかもタダで)見られる時代となりました。 昨年最…

実験的作風の短編が多いも、中村氏のエロ・ノワール?が光る |『A』中村文則

皆さん、こんにちは。 ブログを書く方にとってしばしあると思われること。 「書くのが面倒くさい」 いま、それです。 私のブログはそもそも書籍の感想を綴るもの。ベクトルは外に向いているようでむしろ自己に向いているのに、それでも心が、ああメンドクサ…

西さんの、ことこと、もぐもぐなエッセイ |『ごはんぐるり』西加奈子

皆さん、こんにちは。 ガールズトークで、ああいう男と付き合えるかどうかって話、することあると思います。 身長低いのはダメ、とか、鼻毛が伸びてるのだけはもう許せないとか。 当然ながら脳みその6割くらい(それ以上?)を占めると思われる若き男子たち…

女で失敗したサムソン、異邦人も義母に尽くしたルツ | 旧約聖書 士師記/ルツ記 『聖書 新共同訳』

皆さん、こんにちは。 6月の半ばに居所に戻ってくると、仕事場の同僚は大体私の病欠の旨を知っている様子でした。 一部Confidentialなことでもあり、一般に個人的な事柄、ましては病気などは聞きづらい風潮もありますが、聞きたそうな顔をしている人も沢山い…

イヤミスの源流は、自らを疑わない「主観と主観の殴り合い」!? |『ユートピア』湊かなえ

皆さん、こんにちは。 日本から居所に戻ってきて、はや二週間。 昨日、祖父母と同居する高校生の娘からLINEにて連絡。 「悲劇!今日、おじいちゃんが、おばあちゃんが作った昼ご飯が足らず、おばあちゃんが居ないすきに自分でレンジでチンして生肉を食べたそ…

自分の至らなさが身につまされる本 |『上司の壁』白戸三四郎

ここ一、二カ月、部下育成関連の本を読んでいます。 で、かなり食傷気味になりつつあります。というのも、「お前がまずしっかりせいや」と、上司の心構え・心持ち・態度・対応を諫める書籍にしか出会っていないからです。 改めて感じましたが、全部出来たら…

「僕」の妻「有紀子」はその後どうなるのか・・・ |『国境の南、太陽の西』村上春樹

皆さん、こんにちは。 昨年から伊坂幸太郎読み直しフェアを勝手に開催しておりました。で、昨年と今年で結構読んだんですね。中古で廉価で買えるものについては概ね読み、いくつか残ったものを惜しみながら指折り読んでいくという感じ。 今年はもう一つ、同…

内容は基本をしっかり押さえ、広角に将来を見渡す。 |『相続は怖い』天野隆

はじめに 名前がちょっと「釣り」っぽいですね。 このタイトルは、正確には「何も知らないと」「何も準備しないと」、という従属節がついて初めて意味が通るものかとは思います 内容について 章立てはシンプルで以下の通り。 序章:役所は何も言わずにあなた…

超能力夫婦の裏に潜む秘密の正体。絶妙のストーリーテリング。 |『エンド・ゲーム 常野物語』恩田陸

はじめに 常野物語の第三弾。タイトルを見ると、シリーズもこれで終わりか、と思わせますが、その真偽たるや如何に!? あらすじ で内容ですが、今回はどちらかというとモダンホラー的な風合い。 「私たち、誰かに狙われている?」「あいつらが出てきたら、…

イスラエルの民、約束の地へ |旧約聖書 ヨシュア記 『聖書 新共同訳』

皆さんこんにちは。 実はですが、今春から大学生の息子は、縁あってキリスト教系の高校に行っていました。授業でキリスト教概論というコマがあったからか、この前みたら彼の本棚に聖書が鎮座しておりました。勉強嫌いな彼は「聖書?いらない、ってか捨てるつ…

華のない大学生活に乾杯!失恋?そういうもんです! |『太陽の塔』森見登美彦

皆さん、こんにちは。 認知症がすすみ、食欲が半端ではなくなった父。起きている間、殆ど口を動かしているのではないかというくらい。 この数カ月、私と妻がいたので、子どもたちを合わせて6人分の食事と後片付けは別に何ともない話でした。 この先、料理下…

発達心理学のビジネス応用版 |『なぜ部下とうまくいかないのか』加藤洋平

皆さん、こんにちは。 昨年うっかりできてしまった部下、しかも知り合いを採用したのですが、思ったより仕事が出来ず、なかなかにイライラします。大抵毎日キれています(天に唾するかの所業ですが…)。 ここ三カ月ほどリモートで仕事をしているため、更に連…

「要は」を提供できる良書。本当の教科書とセットでどうぞ |『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』山﨑圭一

皆さん、こんにちは。 だらだらと続けている一時帰国も(入院が目的ではありましたが)そろそろ終わりとなります。来週にはやっと居所に戻れることになりました。 さて、今回は母の積読文庫より本書を拝借。看板にやや誇張があるように思えましたが(笑)な…

押しつけがましくないエッセイ |『歩きながら考える』ヤマザキマリ

皆さん、こんにちは。 先週末に、外科に行ってきました。 20年前に右膝の前十字靭帯の断裂後、再建手術をしたのですが、最近しゃがんだりヨガで90以上膝を曲げると膝が外れることが有るんですよ。。。 病気やケガばかりで嫌ですが、3時間ほど待たされる間に…

相続テクニック+相続争い回避の策 |『損しない!まるわかり相続大全』秋山清成

今年で83となった父親。 先日床屋行くと数カ月ぶりに外出し、4時間くらい徘徊して帰宅。 また、ここ数週間は急激な食欲と甘党デビュー(これまでスイーツ嫌い)に至り、食後に果物やスイーツの置き場をうろついたり、夜中おきて冷蔵庫を漁ったり…ってこれが…

常野物語だけど、どちらかというと青春小説か

皆さん、こんにちは。 週末に同じ学年の高校の部活仲間の墓参りに行ってきました。 そいつが逝って、もう四人しか部活仲間がいないのですが、気づくと皆、なかなか色々だなあと。 亡くなった奴は子どもと嫁さんを残して自死。コロナ中ということもあったけど…

麻之助シリーズ第二弾。結婚しても相変わらずの名探偵ぶり!? |『こいしり』畠中恵

皆様、こんにちは。 最近忙しくて、アホ、クソ、死ね等、子どもに注意する義理を損なうような言葉を吐き捨てつつ仕事をしております。 リモートなので、起きたら仕事、ずーっと仕事、気づくと夜ご飯、みたいな生活。期限ものが多く朝ごはん抜き、昼ご飯抜き…

民の人数数え。してその意味合いは?? |『七十人訳ギリシア語聖書』民数記、訳:秦剛平

民数記とは 民数記という名であるが、確かに神が部族の数を数え上げるという点ではその名にふさわしいのかもしれません。 とは言え、その間の記述はつまらないことこの上なく、だれだれの息子のだれだれ以下男子云々名とかいうのが延々と続きます。 因みに秦…

死ぬと分かるのなら、その日あなたは何をするか? |『THEY BOTH DIE AT THE END』ADAM SILVERA

皆さんこんにちは。 娘が居所にいるとき、ふと娘の洋書(YA系)を読むことが何度かありました。そうした作品につきAMAZONの評価とかも併せて読んでいるうちに、AMAZONに色々な洋書のRecommendationが出てくるようになりました。そのうちの一作が本作。表紙のデ…

ユダヤ教ルールブック!? |『七十人訳ギリシア語聖書』レビ記、訳:秦剛平

レビ記=ルールブック!? さて、昨年から始めている聖書読んでみようキャンペーンですが、今度は旧約聖書のレビ記を読了しました。 レビ記はモーセ五書のひとつですが、ひとことで言えば、ルールブック的記述の網羅が印象的でした。 ルールの内容 今付箋の…

ちょっぴり不思議で優しい「小川洋子的世界」を |『偶然の祝福』小川洋子

はじめに 小川さんの作品に一か月ぶりにお目にかかります。 本作は2000年に発表された作品ですから、割と古い部類のものかもしれません。四半世紀か。 構成について 本作は連作というのでしょうか。同じ主人公によるシーンの違う短編で構成されている作品と…

作為的安っぽさと時代のオマージュで読者を引き込む |『さらば雑司ヶ谷』樋口毅宏

はじめに 樋口氏の作品はこれで三作品目。 これまで読んできたところですと、彼の特徴といえば、どぎつ目なエログロといったところ。 「日本のセックス」ではスワッピング狂の旦那に嫌々連れていかれるうちに欲情してくるその妻の心情を描いていました。性描…

パンチに欠ける?もとりあえず三部作終了 |『黄金のローマ 法王庁殺人事件』塩野七生

はじめに 塩野氏による歴史絵巻三部作の最終作。 緋色のヴェネツィア、銀色のフィレンツェ、に続き、黄金のローマ、であります。 もし本作を初めて手に取った場合は、悪いことは申しませんので、是非いちから(ヴェネツィア)から読むことをお勧めします。 …

労働者の苦境のなかに、ちょっぴり光る幸せをユーモラスに。 |『魔が差したパン』O・ヘンリー 訳:小川高義

O・ヘンリーは昔読んだ気がします。 近年は気にもしなかったのですが、読書系ブログ界隈(まあ私が見回るところ)ではたまに言及されていたので気になっていました。 今回手術のために日本に帰国していますが、母親の「積読」文庫にその姿を発見、読んでみた…

メディチ家内の人間ドラマを描く |『銀色のフィレンツェ』塩野七生

塩野七生氏の歴史絵巻三部作のうち、これが二作目。 こんな話 前作同様、ヴェネツィアの貴族マルコが主人公。 前作末、政治勢力図の変更もありヴェネツィアでの殺人事件のごたごたの責任を取らされ、一時的な追放を余儀なくされたマルコ。外遊ということでフ…

ふんわりやさしめ西作品 |『しずく』西加奈子

西さんのイメージ 西さんの作品は、なんというか、「癖のある」感じの印象。 いつも関西弁の女性主人公が出てきて、ちょっと繊細だったり、あるいは男勝りのユーモラスなキャラだったり。 その一方で擬態語や擬音語のチョイスが読者をはっとさせ、唸らせると…

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