海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

2023-01-01から1年間の記事一覧

2023年読書を振り返る(印象に残った5選)

来年もがんばってポストします。写真は本年訪れたパースの一コマ。素敵な町。 皆さんこんにちは。 本ブログも何と4年がたちました。今年も有難うございました。 たまに頂ける反応に、じんわりと支えられております。お越しいただきました皆様、本当にありが…

常識を覆す(非常識!?)な聖書解説 |『絵画で読む聖書』絵画で読む聖書

皆さん、こんにちは。 先日からやるやる言っていた今年の振り返りですが、お見せできそうにありません。このままいきますと、有限不実行という最もだらしのない結末に。我ながら忸怩たる思いであります。 振り返るには振り返りました。ただ、もう量が膨大に…

喪失感・諦観を抱え、前へすすんでいく |『羊をめぐる冒険』村上春樹

皆さん、年末いかがお過ごしでしょうか。 今回たまたま休暇の消化もあり年末居所でゆっくりしております。 準備のない休暇ということもあり本当に家に居るだけなのですが、思索の時間というか今年一年をじっくり振り返ることが出来て、実にいいじゃないか、…

メモによるアウトプット(+思考の深化)のススメ |『メモの魔力』前田裕二

皆さんこんにちは。 年末の雰囲気になってきましたね。 海外に居て日本のテレビを見るというと、うちではTverを使用しております。リアルタイムではありませんが。で、Tverにも広告があるのですが、年末仕様のものが増えてきたという話。 さるビール会社の広…

今年一番のインパクト。インド独立と民族浄化、英国の立場やインドの未熟さ。全部知らなかった |  “Freedom at Midnight” by Larry Collins & Dominique Lapierre

皆さんこんにちは。 久しぶりに英語の本を完読しました。我ながら驚きますが7/1から読んでいます。むぅ、ほぼ6カ月です。 自身の健康問題だったり、仕事だったり、旅行だったり(「これで人生最後かも」の気持ちでして)、まあ落ち着かないというのはありま…

肩ひじ張らない、丁寧なエッセイ |『ひとまず上出来』ジェーン・スー

ひょんなことから年末は意外にも時間が取れることになりました。 本ブログはひたすらにオッサンの読書感想文を垂れ流すものですが、ひょっとしたら雑記的なものが数日流れるやもしれません。そんなときは時は普通にスルーしてください。 ひとこと 令和の現在…

普及している食材が持つ数奇な歴史をつまびらかに。 |『世界史を大きく動かした植物』稲垣栄洋

皆さんこんにちは。居所に戻りました。 50手前にして部下なるものを持ちました。 ところがこれがまた、思うように動いてもらえません。ほぼ未経験ながら人柄を見込んで知り合いを採用してもらったのですが・・・。 一番困るのが、「AとBの数字が合いません」…

世の中はディストピアに向かいつつある!? |『無理ゲー社会』橘玲

夜行列車にはなんだか修学旅行的な雰囲気がありました。車掌さんによるベッドメーク中。 皆さんこんにちは。 バンコクのBang Sue中央駅から夜行列車で国境のPadang Besarへ、そして国境を越えた後、マレーシアのButterworthという街へ来ました。ここまでで約…

若い調律師のアツい姿勢。周囲に磨かれつつ良き仕事人へと至る成長小説 |『羊と鋼の森』宮下奈都

バンコクはマリファナが合法とか。葉っぱマークの店がいたるところに。 皆さんこんにちは。 引き続きバンコクから書いています。 子どもの学費が片付いたら、今とは違うどこかで暮らそうか、などと家内とよく話します。 今住んでいる居所もいいのですが、別…

自分は何をしたいのか。思春期の鬱屈を瑞々しく掬う佳作 |『14歳』千原ジュニア

バンコクのジャムにスタックして家内の機嫌が悪くなるさかなのバス車中 皆さんこんにちは。 東南アジアではジャカルタの渋滞がやばい、という話を聞いたことがあります。同様にバンコクの渋滞も相当だ、という話も耳にしました。 私、無駄に旅情を感じたがる…

バンコクの歴史と下町の記憶 |『読むバンコク』下川裕治

皆さんこんにちは。 バンコクに来ました。LCCを利用したらヘトヘトになりました。子どもは泣き叫び、隣の夫婦は咳と鼻水と痰。咳する人、多くないか?・・・そう、人間力を鍛えるにはもってこいです。 そしてドンムアン空港から何とかアソーク近くのホテルに…

気怠い雰囲気の中で、真面目に退廃を見つめる |『1973年のピンボール』村上春樹

皆さんこんにちは。 私、あまり作家さんは手広くは読みません。最近だと恩田陸さん、湊かなえさん、西加奈子さん、が結構多かったかと。そして本は読んだら基本的には処分(売却)です。 他方、印象に残ったもの・もう一度読むかも(読みたい)というものは…

バンコクを中心にタイの蘊蓄を知る |『タイ 謎解き散歩』柿崎一郎

みなさんこんにちは。 この前当地の眼科病院に行ってきました。若いころに網膜剥離をやっているので毎年検診がてら見てもらっています。まあちょっとヤバいかもなのですが。。。 それにしても英語で医療用語を喋るのは難しいですよね。網膜剥離はretina deta…

MECEによる問題解決入門 |『超MBA式ロジカル問題解決』津田久資

皆さん、こんにちは。 薄々感じられているでしょうが、当方あまのじゃくで、流行りが嫌いです。 出版業界でいうと、最近だと「〇〇がすべて」「○○が9割」「〇〇が3時間で分かる」「世界の〇〇を××冊読んでみた」的なやつです。あれはダメですよ。嘘っぽい。 …

自分の<哲学>を引き受けよ |『<子ども>のための哲学』永井均

皆さんこんにちは。 今回は哲学の本です。今年一時帰国をした際に持って帰ってきた本。処分しようかなと思ったけど、これはもう少しとっておくことに決定。自分で読んでもまだ面白いし、他人にあげても喜ばれるかもしれない。 読後なんだか興奮してしまい、…

ハードコアエロ、転じて公権力の恐怖、そして思うのは近しい人をどう理解するかという事 |『日本のセックス』樋口毅宏

こんにちは。いやあ、あっという間に今年も終わりですね。 ここでは殆ど読書にまつわることしか書かないのですが、年末は少し趣向を変えようかな、と。読書をして血肉となった知識から立てたYear Resolutionですが、その結果について記事を書きたいと思いま…

中級者以上向け。歴史の流れとともに隣国同士の関係も詳述。 |『東南アジア史10講』古田元夫

先日、標準月一回のZoomミーティングを子どもたちとしました。 その中で兄(長男)から出た不満。妹(長女)が家事をしないとのことでした。 彼ら、祖父母と同居しており、二階部分を子どもたちが使っています。うち、二階のトイレの掃除、そして洗濯は子ど…

金融機関収益管理とバーゼルIIIリスク指標を総合的に勘案する |『金融機関のROE戦略』金子康則・平田光義

皆さんこんにちは。 年末になると当地ではお休みを取る人が増えます。いわゆる有給消化です。 日本にいたとき、確か有給持越しは40日くらいできた記憶がありますが、ほとんど有給など使えず、毎年付与される有給はどぶに捨てるがごとく期限切れとなっていま…

ハッピーエンドのディストピア? スリリングさに洒脱とユーモアが入り混じる傑作 |『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 月末憂鬱なこと。私は家計簿つけですね。お手製のエクセルで管理です。 私と家内は国外で、子どもたちは日本ですので、邦貨と外貨で2シート作成し、トップに合算ベースのサマリーシートと3シート構成のエクセルです。 いやあ、今年はもう…

旧約聖書に歴史的考証を加えた良書 |『聖書時代史 旧約篇』山我哲雄

ガザ地域のハマスとイスラエルの衝突・内戦、誠に痛ましい限りです。 私の今年のテーマの一つはキリスト教の勉強でしたが(過去形!?)、その先には、いつかイスラエル近辺を聖書を片手に歩いてみたいという仄かな夢がありました。そんな矢先の紛争ぼっ発で…

東南アジア現代史をちょいかじり。興味の火付け役になれるか |『池上彰の世界の見方 東南アジア』池上彰

うちの上の子は高校3年なのですが、不精癖が抜けないのか、高校、大学と、所謂「帰国」試験でパスしてしました。 さなかで、某大学の志望動機では「東南アジアでの生活の経験を生かして」云々書いていました。が、その実、基本やりたいことも分からないし、…

独特の世界観、ファン向けか |『きのうの世界』恩田陸

そういえば、そろそろ今年も残すところ一カ月半。 毎年一年の計、というか、new year resolutionというのを作っています。「今年はこういうことしたい」という決意表明ですね。 そろそろ締めにかからなねば、ですね。 出来ていることもあり、出来ていないこ…

京都と失恋と仲間+伝奇。色褪せない青春の爽やかさ。 |『鴨川ホルモー』万城目学

最近、死ぬことを意識してかしてないのか、ブログの記述に『昔は』『学生時代は』などの表現がおおいな、と感じます(調べていないけど)。さらには学生モノ・青春モノをふと読んでしまっています。 したらほら、今度は万城目ちゃん読んじゃった。この前は森…

相変わらず面白い。洒脱で微熱的おかしみ with死神 |『死神の精度』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 いやあ、この前結婚式に出たと思ったら、コロナにかかりました。一年ぶり二度目。 ワクチンはチャイナ2本と米系1本の3本も打ったんだけどね。そのせいかそこまで辛くもなし。 ちなみに30歳そこそこの駐在君はあっという間に2回かかって…

非業の愛を繰り返す男女。永遠の愛か、それとも呪いか |『ライオンハート』恩田陸

家内の弟の結婚式が週末にあり、バタバタしておりました。 家内は五女一男の三番目で、末っ子の長男とは10歳違い、長女とも10歳違うとのこと。お義母さん、頑張りましたね。おまけに義母・義父も兄弟が多く、私の結婚式もそうでしたが、まあ親戚が覚えられな…

重厚で尊大な自意識過剰男の有意義な学生生活 |『四畳半神話大系』森見登美彦

再び居所に帰ってきました。 次、来年春に日本に帰国する際は脳の動脈のバイパス手術です。 入院する手術はこれで四度目になりますかね。色々やらかしたものです。まあでも実は意外と泰然自若なのです。 子どもたちも無事に大学までは見えてきましたので子育…

奇天烈で面白いキャラと展開。なのに最後にほろっと来る。友っていいなあ |『砂漠』伊坂幸太郎

大学時代の友人とのバカ騒ぎっていうのは、多くの方の記憶に残っていると思います。 本作『砂漠』は、そういういつもつるんでいた仲間のことが脳裏に浮かぶこと間違いなしの名作であります。 僕(北村)、南、鳥井、西嶋、東堂、の五人の個性ある仲間たちの…

誕生秘話含め、脚本作成過程を楽しめる |『猫と針』恩田陸

あ、これは脚本なのか これまで恩田さんの作品を幾つか読んできましたが、「舞台にしたら映えるだろうなあ」という作品が幾つかありました。言っても舞台なんて、人生で10回程度しか見たことはありませんが笑 そうしたら、こちら、劇の脚本?を書かれたよう…

企業スポーツの終焉とビジネス環境の変化を描く |『ルーズヴェルト・ゲーム』池井戸潤

スポーツが好きです。 何っうか、頑張っている姿が好きなんです。うまい下手関係なく一生懸命さが素敵だなあ、と感じます。 才能に完膚なきまでに打ちのめされることもある。相手に追いつくために練習し、打ち勝つための戦略やデータ収集を行い、うまくいく…

5人の女性の造形・設定を描き分ける。平たく言えば五股の話!? |『バイバイ、ブラックバード』伊坂幸太郎

こんにちは。 めっきり寒くなりましたね。毎朝血圧を測っているのですが、東南アジアの居所で測るのと比較すると、大体10-15くらい(上が)上昇しています。 気温の変化は確実に体に影響を及ぼしていますね。 そういえば、コロナもインフルも再び流行の兆し…

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