海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

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安定の「静謐」さで世界を優しく描く。 |『猫を抱いて象と泳ぐ』小川洋子

皆さん、こんにちは。 当地では旧正月を迎えました。 激しく鳴り響く爆竹を十数分と親族との過食?とを堪能しました笑 改めて思いますが、華僑の方々は本当に家族を大事にしますよね。集まりが大好き。そして話好き。私は広東語が喋れんので、連れていかれて…

社会の同調圧力と狂気の一個人との相克 |『コンビニ人間』村田紗耶香

滞在先のAirbnbの宿からアルノ川を望む。一泊一部屋一万一千円也。 皆さん、こんにちは。 フィレンツェで感じたのですが、こちらは「犬天国」であります。電車の中にも犬、お店の中にも犬、散歩のお供に犬。本当に多くの現地の方が犬を連れて歩いています(…

人間を通じて辿るローマ通史 |『教養としてのローマ史の読み方』本村凌二

皆さん、こんにちは。 数日前までローマにおりました。皇帝の像とか、ヴァチカン博物館に確かにたっくさんありました。んが、改めてローマ史は書籍で読むとなかなか難しい、と感じました。 かつてギボンの大著も、本村氏の別のものも読んだことがあります。…

村田さん、天才か!?すごいディストピア |『信仰』村田紗耶香

皆さん、こんにちは。 たまには気まぐれを起こすものだなという話を。 私はかなり頑固だと思います。決まった仕事を決まった計画で淡々とこなすことが好きです。 読書に関しても同様で、価値の定まったものに一定の時間を割き、じっくりと堪能し尽くしたい思…

世のプレイングマネージャー諸君、君たちは聖人君主たりうるか |『部下が勝手に活躍する魔法の質問』伊藤治雄

50間際の窓際として、今まで一人でやっていた仕事に、部下を付けられました。 でも、何だかうまくいきません。 アニメの世界だと無骨な職人は一見ぶっきらぼうも、大抵は根が優しいもの(無骨で恥ずかしがり屋でね)。でも私はダメでした。大声こそ出さない…

不条理の極北 |『日本軍兵士』吉田裕

皆さん、こんにちは。 私は、日本軍関連の書籍が存外に好きです。 別に、子供のように強いもの・大きいもの・早いものが好きというわけではありません。むしろ、何でここまでひどい状況になってしまったのかという組織論的な関心、あるいは、このような悲惨…

常識を覆す(非常識!?)な聖書解説 |『絵画で読む聖書』絵画で読む聖書

皆さん、こんにちは。 先日からやるやる言っていた今年の振り返りですが、お見せできそうにありません。このままいきますと、有限不実行という最もだらしのない結末に。我ながら忸怩たる思いであります。 振り返るには振り返りました。ただ、もう量が膨大に…

喪失感・諦観を抱え、前へすすんでいく |『羊をめぐる冒険』村上春樹

皆さん、年末いかがお過ごしでしょうか。 今回たまたま休暇の消化もあり年末居所でゆっくりしております。 準備のない休暇ということもあり本当に家に居るだけなのですが、思索の時間というか今年一年をじっくり振り返ることが出来て、実にいいじゃないか、…

メモによるアウトプット(+思考の深化)のススメ |『メモの魔力』前田裕二

皆さんこんにちは。 年末の雰囲気になってきましたね。 海外に居て日本のテレビを見るというと、うちではTverを使用しております。リアルタイムではありませんが。で、Tverにも広告があるのですが、年末仕様のものが増えてきたという話。 さるビール会社の広…

普及している食材が持つ数奇な歴史をつまびらかに。 |『世界史を大きく動かした植物』稲垣栄洋

皆さんこんにちは。居所に戻りました。 50手前にして部下なるものを持ちました。 ところがこれがまた、思うように動いてもらえません。ほぼ未経験ながら人柄を見込んで知り合いを採用してもらったのですが・・・。 一番困るのが、「AとBの数字が合いません」…

世の中はディストピアに向かいつつある!? |『無理ゲー社会』橘玲

夜行列車にはなんだか修学旅行的な雰囲気がありました。車掌さんによるベッドメーク中。 皆さんこんにちは。 バンコクのBang Sue中央駅から夜行列車で国境のPadang Besarへ、そして国境を越えた後、マレーシアのButterworthという街へ来ました。ここまでで約…

自分は何をしたいのか。思春期の鬱屈を瑞々しく掬う佳作 |『14歳』千原ジュニア

バンコクのジャムにスタックして家内の機嫌が悪くなるさかなのバス車中 皆さんこんにちは。 東南アジアではジャカルタの渋滞がやばい、という話を聞いたことがあります。同様にバンコクの渋滞も相当だ、という話も耳にしました。 私、無駄に旅情を感じたがる…

ハードコアエロ、転じて公権力の恐怖、そして思うのは近しい人をどう理解するかという事 |『日本のセックス』樋口毅宏

こんにちは。いやあ、あっという間に今年も終わりですね。 ここでは殆ど読書にまつわることしか書かないのですが、年末は少し趣向を変えようかな、と。読書をして血肉となった知識から立てたYear Resolutionですが、その結果について記事を書きたいと思いま…

旧約聖書に歴史的考証を加えた良書 |『聖書時代史 旧約篇』山我哲雄

ガザ地域のハマスとイスラエルの衝突・内戦、誠に痛ましい限りです。 私の今年のテーマの一つはキリスト教の勉強でしたが(過去形!?)、その先には、いつかイスラエル近辺を聖書を片手に歩いてみたいという仄かな夢がありました。そんな矢先の紛争ぼっ発で…

京都と失恋と仲間+伝奇。色褪せない青春の爽やかさ。 |『鴨川ホルモー』万城目学

最近、死ぬことを意識してかしてないのか、ブログの記述に『昔は』『学生時代は』などの表現がおおいな、と感じます(調べていないけど)。さらには学生モノ・青春モノをふと読んでしまっています。 したらほら、今度は万城目ちゃん読んじゃった。この前は森…

奇天烈で面白いキャラと展開。なのに最後にほろっと来る。友っていいなあ |『砂漠』伊坂幸太郎

大学時代の友人とのバカ騒ぎっていうのは、多くの方の記憶に残っていると思います。 本作『砂漠』は、そういういつもつるんでいた仲間のことが脳裏に浮かぶこと間違いなしの名作であります。 僕(北村)、南、鳥井、西嶋、東堂、の五人の個性ある仲間たちの…

企業スポーツの終焉とビジネス環境の変化を描く |『ルーズヴェルト・ゲーム』池井戸潤

スポーツが好きです。 何っうか、頑張っている姿が好きなんです。うまい下手関係なく一生懸命さが素敵だなあ、と感じます。 才能に完膚なきまでに打ちのめされることもある。相手に追いつくために練習し、打ち勝つための戦略やデータ収集を行い、うまくいく…

天才打者の短い一生を寓話的に描く |『あるキング』伊坂幸太郎

50も近く、病気もあるので、徐々にですが身辺整理を心がけています。 最近進めているのは銀行口座でしょうか。かつては6つも7つもありました。80を超えた母親がかつて勝手に父親名義で作った口座を今処分できずにいる(父親は半ボケで家から絶対に出ない)の…

美しく不穏な流れの中に、多様な解釈を包含する作品 |『遠い山なみの光』カズオ・イシグロ、訳:小野寺健

長男の学園祭へちょっとだけ行ってきました。 そして顔見知りの部活のお母さまたちへ挨拶。一学年で9人も集まらない野球部で、うちを含め同学年は僅か3人。他の2名のお母さまにお会いできました。お話するのはもっぱら子どもたちの進学です。これからどうす…

自動化する「組織」に対し、個はどのように反応・反抗するのか |『モダンタイムス』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 急に秋らしくなりましたね。部活で出ていた娘が、LINEで、「今日ご飯何?」「できれば鍋がいいんだけど」と送ってきました。それほど。 日本の秋は本当に美味い。かつて女子の食べ物と考えていた焼き芋ですが、今期より私も参戦。シルク…

マクロ経済学と歴史文化の交差点 |『波乱の時代(下)』アラン・グリーンスパン 訳:山岡洋一、高遠裕子

最近気づいたこと。 いつも本文の内容とは全く異なる「まくら」を書いてから感想を書くのですが、この「まくら」の部分が他のポストと関連していると思われることがあるようです。ウーム。 前回高校野球の本を読んだのですが、関連したポストとしてサミュエ…

自分を塗り替えることでしか生きられなかった者への共感 |『ある男』平野啓一郎

私の在所には、日本映画祭というものがあります。 国際交流基金という独立行政法人が主催しており、主に日本の文化・芸術を広めるような活動をしています。で、そこで上映される日本映画が私のところですと大体300円くらいで見れます! ローカルの外国人では…

セントラルバンカー回顧録、現代史的にも面白い |『波乱の時代(上)』アラン・グリーンスパン 訳:山岡洋一、高遠裕子

金融業界で業務に携わっているので、その業界のかたの回顧録は役に立とうと考え、ずっと積読しておりました。 実は一度トライはしたのですが、マジで長い!そのため一か月かけても上巻の途中までしか行かず、忙しくなったりなんだリで挫折。今回は気を取り直…

息子と四人の個性的な父親、洒脱な会話とツイスト |『オー!ファーザー』伊坂幸太郎

またもや面白い! もう毎回面白いのですが、面白さの説明に苦慮します。ボキャブラリーが貧しくて。 伊坂作品の良さ・面白さってどういえばいいんだろ? そう考えて思い浮かんだのは、「洒脱」、「ユーモラス」。我ながら悲しいほどの低表現力です。 で、裏…

ピースが連結してゆく快感 |『楽園』宮部みゆき

先日、家で仕事していると、ふと家内が背後に立ちました。もちろん、バックハグではありません。頭ポンポンでもありません。 どうやら私の頭に数本の白髪を見つけて大喜びしている模様です。 遺伝的要素もあろうかと思いますが、私、50手前にして薄毛の気配…

アイデンティティを失う大国。他方で感じる大国のダイナミズム |『分断されるアメリカ』サミュエル・ハンチントン 訳:鈴木主税

いやあ、甲子園、終わりましたねえー。 息子の部活引退をきっかけにドはまりした高校野球でしたが、非常に面白かったですね。汗、涙、信頼、結束。 なんだろ、一匹狼の私ですら刷り込まれている価値観に、涙目になりっぱなしでした。 普段出ないようなミスが…

ジャーナリズムとは?国益とは?命とは? |『運命の人』山崎豊子

居所に戻って参りました。 まずもって感じるのはその過ごしやすさ。 熱帯ですが、熱帯夜ではありません。昼でも気温は33度程度。夜だと体感20度代後半。断然過ごしやすい。 脳梗塞再発におびえるアラフィフには有難い環境であります。季節の移り変わりが無い…

聖書そのものを読む前、最中、読んだ後、全ての場面に役立ちそう |『聖書の読み方』大貫隆

とある総合病院の脳神経外科に行ってきました。 詳細検査は後日ですが、それ次第では脳の血管のバイパス手術も有り得るそうです。 今まで色々病気や手術をしてきましたが人生最大かもです。 ということで9月の再帰国決定。この一大診察に10割負担で臨むか、…

耳慣れない職:家裁調査官へ光を当てる作品。内容は絶品エンターテイメント |『チルドレン』伊坂幸太郎

脳ドック後の診察に軽ーい気分で行きました。神妙・シリアスに総合病院での再検査を言い渡され、紹介状を渡されました。来週帰国するんですが、というと、それどこじゃないですよ、と。真顔で、帰国はお勧めしません、と。 私だけ飛行機をキャンセルして居残…

静謐さと微熱感のある滑らかなノワール、表現の妙 |『掏摸』『王国』中村文則

ここ数年、純文学系の読書は子どもたちに読ませるための下読みでありました。今般、下の子も高校に上がり、もはや言うことを聞くような距離にもおらず、そうした下読みは一旦ストップ。 では何を読むかというと、Wish Listに入っていたけど長らくそのままに…

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