海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

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今年一番のインパクト。インド独立と民族浄化、英国の立場やインドの未熟さ。全部知らなかった |  “Freedom at Midnight” by Larry Collins & Dominique Lapierre

皆さんこんにちは。 久しぶりに英語の本を完読しました。我ながら驚きますが7/1から読んでいます。むぅ、ほぼ6カ月です。 自身の健康問題だったり、仕事だったり、旅行だったり(「これで人生最後かも」の気持ちでして)、まあ落ち着かないというのはありま…

自分の<哲学>を引き受けよ |『<子ども>のための哲学』永井均

皆さんこんにちは。 今回は哲学の本です。今年一時帰国をした際に持って帰ってきた本。処分しようかなと思ったけど、これはもう少しとっておくことに決定。自分で読んでもまだ面白いし、他人にあげても喜ばれるかもしれない。 読後なんだか興奮してしまい、…

ハッピーエンドのディストピア? スリリングさに洒脱とユーモアが入り混じる傑作 |『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。 月末憂鬱なこと。私は家計簿つけですね。お手製のエクセルで管理です。 私と家内は国外で、子どもたちは日本ですので、邦貨と外貨で2シート作成し、トップに合算ベースのサマリーシートと3シート構成のエクセルです。 いやあ、今年はもう…

運動というクスリで体も心も整える |『脳を鍛えるには運動しかない』ジョン・J・レイティ、エリック・ヘイガーマン 訳:野中香方子

ちょっとした事件がおきました。 なんと、部下が出来ました。 50を目前にし、体も弱ってきて、やる気はもっと弱ってきて、仕事は自分ではなくてマクロ君に大半を任せていたところ、「そろそろオヤジさんの知識を引き継ぐかたも必要かなと」という上司のひと…

私も試したいダウンシフト。実現可能そう |『減速して自由に生きる ダウンシフターズ』髙坂勝

最近よく、人材紹介会社から連絡があるんです(Linked-in経由)。 「海外での業務経験がある方を対象に、日本にご帰国された際にそのご経験をフルに生かして頂いて。。。」 と歯の浮くような言葉でお褒め頂けるという。 永住ビザ申請の結果が出るまでは今の…

胸に重いものが残る「底辺女性史」秀作 | 『サンダカン八番娼館』山崎朋子

3カ月にわたる一時帰国を終え、とうとう居所にもどってきました。 娘は何とか行きたい高校に進学できたものの、高3になるのに大学受験に本気が出ない息子、体の衰えも顕著で半分ボケてきた父、気になっていた確定申告を8年もそのまま放置していた母、と家庭…

瀧本式一段深い読書のススメ |『読書は格闘技』瀧本哲史

余談から始めるのもなんですが、昨夏に続き現在一時帰国しております。娘の高校受験に際して入学手続き等の関係で二カ月ほどは滞日する予定です。 「よくそんなに休めるねー」とは年配の親族の発話ですが、休んでいません。リモートで仕事をしています。 そ…

おすすめ!孤独と向き合いつつ、自分の道を歩むための本 | 『ミライの武器』 吉藤オリィ

先週、子供の学校見学に幾つか行ってきました。最近は高校でも模擬授業をしてくれる所があったりして、近年の学校の変化がよく分かり勉強になります。他方、高校も大学もオープンキャンパスの類はすぐに満席になり、コロナの蔓延と相まってキャパシティを制…

20世紀米国で造られた金融業界の「常識」の数々 ― 『アメリカ金融革命の群像』著:ジョセフ・ノセラ、訳:野村総合研究所

50近くにもなって語彙の少なさに我ながら呆れてしまいますが、これ、すごい本だと思います。お金、証券、金利、等々に興味がある人は読んで損はないと思います。特にFP業務とかに興味ある人は是非お目通し頂きたい作品です。金融商品・サービスのみならず、…

今年一番のインパクト。自分を変えるプリンシプルのつくり方 ― 『PRINCIPLES』著:RAY DALIO

事のはじめはメンターからの一通のLINE。7月の暑いさなか、相変わらずぶっきらぼうに以下の動画リンクだけが送られてきた。 youtu.be 16分の結構長めの動画。見ると、どうやら本のサマリーのようです。 ・・・この本を読めという事だと忖度する。まあ確かに…

中世世界の豊かでエロい人間模様を描く ― 『デカメロン(上)』著:ボッカチョ 訳:平川 祐弘

世界史を勉強中、14世紀のペストの大流行のトピックで出てきた作品。読みたいとずーっと考えていたのですが、この度、上中下をまとめて購入しました。すべて読んでから記録を、と当初は思ったのですが、自らの更に老化しつつあるサメ脳(要は容量すくない)…

自由主義の成立は中国から!?今後の日本を考える良書―『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』著:與那覇潤

購入して通読二度目。相変わらず面白い。 lifewithbooks.hateblo.jp 本作は歴史書の顔と日本論の二つの顔を持つと言えますが、そのどちらの切り口も非常に興味深いものだと思います。 中国化とは自由主義のこと!? 歴史書としては「中国化」の概念の導入。 …

旧帝国陸軍幹部の思考力の貧困さを、経験者が克明に描く―『一下級将校の見た帝国陸軍』著:山本七平

非常にショッキングな本だと思います。 戦争のおそろしさ・生々しさは言うに及ばす、硬直的・融通無碍で変われない帝国陸軍の構造的な欠陥にショックをうけました。 自分の祖父達が、こんなに下らない組織のためにシベリアや中国に連れていかれたのかと思う…

ダイエットの本というより生理学と歴史(人類進化)の本!?カラダを真剣に考える人には超おすすめ―『炭水化物が人類を滅ぼす』著:夏井睦

これまで体形維持には大いに悩んできました。 30代の頃は自称ふとマッチョ・はたから見れば中年デブというナリで、とにかく運動をすること以外は自分をコントロールをすることはできませんでした。40歳頃から食事量を減らすことで7-8kg程度のダイエットに成…

純文学?ディストピア?スリラー?イヤミス?いや、驚いた。これは凄い。―『わたしを離さないで』著:カズオ・イシグロ 訳:土屋政雄

この読後の気持ち良くない感触をどう形容すればいいのかはよくわからない。 でもこれは凄い作品だと思った。いわゆるエンタメが好きな方には淡々としたストーリーの展開が詰まらなく感じるかもしれない。しかし、その底に横たわる不気味さや奇怪さは私のよう…

コロナ禍の今、全てを信ぜずとも一読の価値あり―『ワクチン不要論』著:内海聡

読了後、その晩眠れなくまりました。 この春より親元を離れ、祖父母と同居する息子のことが気になったからです。小学校3年から中学卒業まで海外に居た息子は、その間ワクチンは全く接種しませんでした。高校入学にあたり、学校側からのお便りでこれを受けて…

英国児童文学作家の自伝。古き英国の学生生活や悲惨な第二次世界大戦の様子を描く―『BOY AND GOING SOLO』著:ROALD DAHL

作品について イギリスの児童文学作家ロアルド・ダール氏の自伝。 幅3cm程度の分厚い洋書で二部構成。前編『BOY』では祖父や父らの思い出から始まり学生時代の懐古、高校卒業後Shell石油へ入社しアフリカへ赴任する辺りまでが語られます。後編『GOING SOLO』…

がん患者が自己決定権を失わないための啓蒙書―『抗がん剤だけはやめなさい』著:近藤誠

プライベートな話ですみません。祖母は乳がん、祖父は皮膚がんの末に亡くなりました。母も乳がんを経験し、父は胃がんで胃の2/3を切除。自分は左の耳下腺(耳の下に位置する唾を出す器官)に腫瘤ができて耳下腺ごと切除しました(30歳ちょいすぎで)。 国立…

教育論から組織論、新自由主義批判まで。世の中に流されないものの見方を養う―『最終講義 生き延びるための七講』著:内田樹

筆者と作品について 内田氏は神戸女学院大学の元教授であり、その最終講義を軸として幾つかの講演をまとめて本作ができている。思想系界隈ではレヴィナスの翻訳で有名だが、政治論などの著作も多い。 感想 いや驚いた。 本作はKindleセールで50%オフであった…

糖質制限の良さを明快に説明。読み返してより理解したいコンディショニング名著―『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか』著:宗田哲男

概要 産婦人科医宗田哲男氏による著作。糖質制限を推奨し、ケトン体エンジンを活用することを主張。自身の糖尿病の経験、妊娠糖尿病への対応、また学会との摩擦等、これらを背景に本書を上梓してことにより説得力のある仕上がりとなっている。 感想 衝撃を受…

家族の回復と「私」の成長をユーモラスに描く。ちょっぴり悲しいけど明るい結末が素敵―『幸福な食卓』著:瀬尾まいこ

のっけからの驚きのスタート。 「父さんは今日で父さんをやめようと思う」 春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。 中学教師だった父は「父さん」をやめて予備校生となる。いいんじゃないと事もなげに受け流すのは、高校までは神童と呼ばれた、超マイペ…

状況証拠を丹念に積み上げた新自由主義批判―『政府は必ず嘘をつく 増補版』著:堤未果

筆者について ジャーナリスト。米国留学後、アメリカ野村證券勤務時に9.11を目の当たりにし、ジャーナリストへ転向。『ルポ 貧困大国アメリカ』は77万部を超えるベストセラーに。以降多くの著作を発表。ちなみにHIV訴訟で有名になった参議院議員川田龍平氏は…

砂糖を切り口に西洋近現代史の暗部を晒す―『砂糖の世界史』著:川北稔

概要 砂糖という「世界商品」の歴史を紐解くことにより、近現代史を大陸横断的に俯瞰し、砂糖の文化的インパクト(特に民衆へのそれ)を分析する。ジュニア文庫からの出版も、非常に内容が濃くかつ簡潔、大人が読んでも遜色のない内容です。なお筆者は大阪大…

達人とは才能ではなく、鍛錬の累積時間量で作られる!―『究極の鍛錬』著:ジョフ・コルヴァン

本の概要 米「フォーチュン」誌主幹のコルヴァン氏によるハイパフォーマーに関するジャーナリスティックな作品。芸術家やスポーツ選手などを例に才能ではなく厳しい鍛錬の累積経験量こそがハイパフォーマーを作ることを実証、このスキームをビジネスの世界に…

心を鍛えながら判断方法を学ぶ―『自分への答えのつくり方』著:渡辺健介

本の概要 米イェール大、ハーバード大卒業の渡辺氏による、価値判断・ロジカルシンキング法の解説書。子どもが読むことを前提に物語形式で語られれており、主人公は赤魚のピンキー。単なるMBA的知識にとどまらない、”つっこみ”や”仕掛け”の技術、そして”共感…

真面目です!大便から考えるコンディショニング―『大便通』著:辨野義己

本の概要 理化学研究所所属の辨野氏による便と大腸についての入門書。便に関する知識、自らのうんこ相手の研究談、そしてオヤジギャグを取り混ぜ、腸の仕組み・腸にまつわる病気の原因と対策・腸内細菌研究とテイラーメイド医療への可能性等について幅広く論…

衝撃的な、欺瞞に満ちた米国の歴史―『オリバー・ストーンの「アメリカ史」講義』著:オリバー・ストーン&ピーター・カズニック

〔ダイジェスト版〕オリバー・ストーンの「アメリカ史」講義 (早川書房) 作者:オリバー ストーン,ピーター カズニック 発売日: 2016/07/31 メディア: Kindle版 本の概要 ドロッドロの米国史を第25代大統領マッキンリー(1897-1901)~第44代大統領オバマ(20…

実は「生き方」を問う本-『医学不要論』著:内海聡

医学不要論 (廣済堂新書) 作者:内海 聡 発売日: 2018/03/28 メディア: 新書 医療がビジネス化し、人を治療するよりも寧ろ人に病気を与えている。投薬もワクチンも、輸血も、手術も、実は大きな利権と絡んでおりしかも効果は大きくない。身の回りの製品や生活…

社会学者が語るキリスト教とその社会への影響。思想系に興味のある方は必読!-『ふしぎなキリスト教』著:橋爪大三郎×大澤真幸

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書) 作者:橋爪 大三郎,大澤 真幸 発売日: 2011/05/18 メディア: 新書 しばしばキリスト教は西洋文化の起源の一つだから勉強した方がいいという。現状のすべてをキリスト教一つに還元はできないと思うが、確かに今ある多くの…

圧倒的な知的ドライブ感-『中国化する日本』著:與那覇潤」

中国化する日本 増補版 日中「文明の衝突」一千年史 (文春文庫) 作者:與那覇 潤 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/04/10 メディア: 文庫 通読一回ではまだよくわからないところも多いが、まず一番にお伝えしたいのは、その視点の新しさ。 内容は歴史…

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