海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年は会計と英語を勉強します!

歴史・文化

李鴻章は河豚を食べなかった!もったいない! | 『歴史のかげに美食あり』黒岩比佐子

食べることが好きです。 食材が調理によって姿を変える――千切り、短冊、乱切り、千切る、そぎ切り、ぶつ切り、サイコロ、三枚おろし等々の下ごしらえ。そしてこれらを、焼く・炒める・揚げる・蒸す・煮る等の加熱を施す。あるいは生食も。たった一つの食材で…

肩の凝らない英国歴史エンターテイメント |『A POINTLESS HISTORY OF THE WORLD』ALEXANDER ARMSTRONG & RICHARD OSMAN

近頃、テレビやニュース、雑誌などを殆ど読んでおりません(世捨て人!?)。それでもやめられないのが皆さんが書かれているブックレビュー笑 その中でこの一年良く目についたのがリチャード・オスマン氏。氏の書いた『木曜殺人クラブ』のレビューで、どの方も…

イスラムが「創った」ヨーロッパ世界 | 『マホメットとシャルルマーニュ ヨーロッパ世界の誕生』アンリ・ピレンヌ、監修:増田四郎、訳:中村宏・佐々木克己

歴史が面白い、と感じる瞬間があります。まあ簡単に言えば「風が吹けば桶屋が儲かる」的な話が聞けたときです。言い換えると、一見普通に見える事象の裏に、思いもよらない事実が隠されていた時。また、どうも腑に落ちない不可解な史実の背後に、状況証拠等…

英国の伝説・伝統的冒険譚。ファンタジー嫌いも楽しく読める |『KING ARTHUR AND HIS KNIGHTS OF THE ROUND TABLE』ROGER LANCELYN GREEN

世界史を勉強すると英国史で言及されることが多いアーサー王伝説。英国の伝説・伝承文学にして最も有名なものと言いうると思います。サクソン人(Saxon)を撃退し、英国(Briton)を平和に導くアーサー王と彼を支える円卓の騎士の物語です。 で、これが予想をは…

むしろ中国古典学習の副教材として | 『論語と算盤』 渋沢栄一

皆様ご無沙汰しております。2年半ぶりの日本への一時帰国を控え、仕事に子供の勉強にバタバタしておりました。ついでに家内の更年期?の諸々もあり、読書に全く取り組めていない今日この頃であります。 ひとこと感想 端的に言えば、論語と同様、ややまとまり…

ルネサンス期の文学を読んだあとに読む本 | 『CHAUCER’S PEOPLE』著:LIZA PICARD

近くの新古本を売る書店で一年ほど前に500円ほどで購入したもの。でも寝かせておいて正解でした。その後デカメロンとカンタベリー物語を読んだので、相応の下地ができました。にしてもAmazonで評価4.5。本当か? 評価を確認してから購入しましたが、読後に評…

FIREを達成した趣味人の発掘記録の数々 | 『古代への情熱 シュリーマン自伝』著:シュリーマン、訳:関楠生

「まるでマンガみたいだ」 現実離れしていて、あり得ない・有り難い状況を形容するのに使用したりしますね。外国語ペラペラ、お金もたんまりあってFIRE達成。日頃は趣味の文化的活動にいそしみ、教科書に載ってしまうほどの業績を挙げる。果ては、欧州人の年…

社会規範よりも愛を選択したとき | 『完訳チャタレイ夫人の恋人』著:L.H.ローレンス、訳:伊藤整、補訳:伊藤礼

大学で軽音楽サークルに入りました。「オヤジ君は、そうだな、むっつりスケベでしょ?」先輩にこう言われて即座に否定しました。普通にスケベであると自任していたから。 その点、本作『チャタレイ夫人の恋人』は謂わばむっつりじゃないスケベ、おっぴろげ…

キリスト教的価値観で締めるも、やっぱりルネスサンス期の息吹 | 『完訳カンタベリー物語(下)』著:チョーサー、訳:桝井迪夫

上巻・中巻と読んできましたが、最後は若干飽きを感じつつ、他の本に目移りしつつ、たらたらと読んでおりました。GWに入り何とか読了した次第です。 下巻では修道僧の物語、尼僧付きの僧の物語、第二の尼僧の物語、錬金術師の徒弟の話、賄い方の話、教区司祭…

文明は発展するも人類の本性は進歩なし!? |『歴史の大局を見渡す』著:ウィル・デュラント/アリエル・デュラント、訳:小巻靖子

昨年2021年私が最も感動したと言っても過言ではない「PRINCIPLE」という作品で言及されており、結果私のウィッシュリストに入っていた本作。この度手に取ってみた次第です。 著者は夫婦で歴史学者・哲学者ということで、10巻にもわたる歴史書を記し、ピュリ…

収録話数が多いなあ | 『完訳カンタベリー物語(中)』著:チョーサー、訳:桝井迪夫

上巻を読んでから少し間があきました。某ブログで「中英語で書かれた初の文学作品であり、中英語で書かれたという以外、内容には特に重要性はない」等のコメントを見たら、鵜呑みにしないまでも何となくそうなのかなー、と思ううちに次第に歩みが遅くなって…

本家より面白い!? | 『完訳カンタベリー物語(上)』著:チョーサー、訳:桝井迪夫

昨年ボッカチオ『デカメロン』を読了し、中世文学に興味を持ちました。そして本『カンタベリー物語』は『デカメロン』を下地にしていると聞き、読んでみた次第です。 文庫本で3冊にわたる本作、上巻を読了した時点の感想は、本家デカメロンよりも読みやすい…

心洗われるとともに身に詰まされる本でした | 『旧約聖書入門』著:三浦綾子

わたしは短気である。 50も見えてきて恥ずかしいがすぐにキレる。1日2,3回…は言い過ぎだが、週に1,2回は切れているのではないだろうか。 キレる原因はたいていがメールやメッセンジャーだ。とにかく部外からのクソな依頼が多いのだ。あれせい、これせい、と…

ボッティッチェリ画集 | 『BOTTICELLI』著:ISABELLA ALSTON

中世イタリアの美術史をひも解けば必ず登場するボッティチェリ。本書はそんなボッティチェリの作品を集めたまさに『絵本』。 初めの10ページほどがボッティチェリとその作品についての小難しい説明。ルネサンス、新プラトン主義、メディチ家の庇護を受ける、…

マグナ・カルタ成立の過程と当時の庶民文化を描く ― 『REALM DIVIDED』著:DAN JONES

一言で言うと 本編は英国のみならず世界の法制度に影響を与えたマグナ・カルタ成立前後の約4年ほどを描く歴史ノンフィクション作品。 同筆者の作品でその名も『Magna Carta』というものがあり、本書とは内容の多くが被っています。『Magna Carta』ではプラン…

社会での不正にどう向きあうか ― 『To Kill a Mockingbird』著:HARPER LEE

公民権運動を経て黒人差別が撤廃されてからまだ100年もたっていないと聞くと、私なぞはちょっと驚いてしまいます。LGBTQなど多くの性的な差別すら解消されようとしつつある昨今に対し、自分たちの父母ないし祖父母が若かったころ、アメリカではいまだに堂々…

キリスト教についての興味が中程度(?)以上の方は読んで損しません ― 『なんでもわかるキリスト教大事典』著:八木谷涼子

キリスト教って何なのか?知っているようでいまいちよくわからない。ちょっと勉強してみたい。そんな方は結構いるのではないでしょうか。 私の場合、興味の始まりはユダヤ陰謀論(笑)。そして世界史で十字軍やビザンチン、そして米国史を学ぶうちにキリスト…

密度の濃い世界史本。というか教科書! ― 『詳説世界史研究』編:木村靖二、岸本美緒、小松久雄

かつて息子の高校受験用に契約したスタディサプリ。コンテンツ見放題なことをいいことに、一念発起して大学受験用の世界史の講義を聞き始めて早一年。猿人の発生から現代までを4回通して視聴し、思いました。耳だけでなく目でしっかり文字で追って内容を読み…

救いのない今を生きるポーランド女性たちの物語 - 『カティンの森』著:アンジェイ・ムラルチク 訳:工藤幸雄、久山宏一

カティンの森事件という事件をご存じでしょうか。 第二次世界大戦中、約1万人のポーランド人将校がソ連公安当局によって虐殺されたといわれている事件です。 ja.wikipedia.org 事件発覚以降戦後も引き続き、ソ連に進攻したドイツ軍の仕業であると言われてい…

十字軍行軍の徒花と消えた特殊法人 ― 『テンプル騎士団』著:佐藤賢一

世界史の講義で、講師が「テンプル騎士団はフリーメイソンの源流であるという噂も」と聞き、その神秘性に惹かれ、何か新たな事実が分かるかも?と本書を購入。 学生時代は中世というのは一番つまらないし中世を研究する人たちの気が知れない(ごめんなさい!…

没落する日本で生き抜く宣誓 ― 『日本の没落』著:中野剛志

本作は、官僚・評論家である中野剛志氏による、ドイツの歴史家シュペングラー『西洋の没落』の解釈本というのが端的な説明になると思います。 曰く、100年前に書かれたシュペングラーの著作には、現代社会の諸相(経済成長の鈍化、グローバリゼーション、地…

中世イタリアを堪能しました ― 『デカメロン(下)』著:ボッカチョ 訳:平川 祐弘

いやー、長かった。でも中世イタリアを堪能しました。たっぷりと。 タイムスリップができるのなら一週間くらい中世に飛んでみたいなあ等と思いました。作品のように結構退廃的だったのか、あるいはやっぱり宗教的価値観の軛にぎっちぎちにつながれたような社…

恥部をさらけ出す話の数々こそ、人間中心主義の証か ― 『デカメロン(中)』著:ボッカチョ 訳:平川 祐弘

本作表紙にはオレンジ色の背景で黒字ででかでかとタイトルがあります。 どうやら家内も娘もこの本のタイトルが気になっていたようです。デカメロンって、音の響きも口に馴染みますよね。。。娘に至っては自分の知らない食べ物か何かかと思ったの事でした(「…

中世世界の豊かでエロい人間模様を描く ― 『デカメロン(上)』著:ボッカチョ 訳:平川 祐弘

世界史を勉強中、14世紀のペストの大流行のトピックで出てきた作品。読みたいとずーっと考えていたのですが、この度、上中下をまとめて購入しました。すべて読んでから記録を、と当初は思ったのですが、自らの更に老化しつつあるサメ脳(要は容量すくない)…

世界史で読む人類と感染症の歴史 ― 『人類 vs 感染症』著:岡田晴恵

感想を一文で申し上げるならば、非常によくまとまっており、面白くためになる作品だったと思います!! タイトルにもある通り、本作は人類と感染症との絶えざる闘いを歴史的事柄を交えて説明しています。病原菌が種としての生き残りをかけて宿主に感染し子孫…

宗教改革の起爆剤となった諧謔の書 ― 『痴愚神礼賛』著:エラスムス 訳:沓掛良彦

エラスムス。 確かにマイナー。訳者があとがきで嘆く通りです。世界史ではルターの宗教改革のくだり、そしてトマス・モア(『ユートピア』の著者)の友人というくだりで出てくる位ではないでしょうか。しかし一度読めば、本作が豊かなヘレニズム的教養の詰ま…

宗教は集団になると恐ろしい?宗教集団アメリカ!? ― 『キリスト教でたどるアメリカ史』著:森本あんり

総評 この本はアメリカ史?についての本です。しかし、焦点を当てるのはむしろアメリカの歴史のダイナミズムの下に隠れる宗教の強さ。あるいはこうも言えるかもしれません - 宗教という隠れ蓑にひそむ人間の汚さ・狡さ。 いずれにせよ、イデオロギーは人を…

日本人の『空気』の源とは ― 『「空気」の研究』著:山本七平

以前山本氏の『一下級将校のみた帝国陸軍』を読み、その徹底した日本帝国陸軍批判に感銘を受けました。軍隊という命を預かる組織にあって、非合理的な決断が横行していた様子、そして上級軍人の余りにも軽い転向がビビッドに描かれたからです。 それ以後、お…

反グローバリズム入門、かな―『グローバリズムが世界を滅ぼす』著:エマニュエル・トッド、ハジュン・チャン、柴山桂太、中野剛志、藤井聡、堀茂樹

新自由主義とかグローバリズムとか、しばしば耳にし、また口にもする割に、どこが良くて何がどう良くないのかについては、実はよくわかっていないようにふと思いました。 過日、トッド氏の『問題は英国ではない、EUだ』を読み、類書にあたる本書も読んでみよ…

箴言集、あるいは政体論。政治ないし中世ローマ等の専門家向けか―『ディスコルシ 「ローマ史」論』著:ニッコロ・マキァヴェッリ 訳:永井光明

正直言うと、安さにつられて買ってしまったんです。 ひと月くらい前でしょうか。通常価格1,700円くらいの本作が499円でした。しかもポイントがさらに200円分。ということは実質300円。安くないか!?しかも私の好きな歴史関連!Amazonレビューでもなかなかい…

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