海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

歴史・文化

外交に国運を賭するヴェネツィアと、翻弄される人民 |『緋色のヴェネツィア』塩野七生

皆さん、こんにちは。 私事ですが、毎年Year Resolutionを作成しています。簡単に言うとプライベートでのKPI。この中で数年前から旅行KPIというのを作っており(実際は奥様の満足度向上KPI、という名称なのですが)、なるべく家内を旅行に連れ出すという事を…

マイクロマネジメント神、降臨! |『七十人訳ギリシア語聖書』出エジプト記、訳:秦剛平

さて、昨年から始めている聖書読んでみようキャンペーンですが、今般旧約聖書の出エジプト記を読了しました。 ひとこと 結果から言うと、ループ的記述と、マイクロマネジメント神、が印象的です。 神さまは我慢強い?というかTry&Error好き? 本出エジプト記…

人間を通じて辿るローマ通史 |『教養としてのローマ史の読み方』本村凌二

皆さん、こんにちは。 数日前までローマにおりました。皇帝の像とか、ヴァチカン博物館に確かにたっくさんありました。んが、改めてローマ史は書籍で読むとなかなか難しい、と感じました。 かつてギボンの大著も、本村氏の別のものも読んだことがあります。…

結構有名なエピソードいっぱい |『七十人訳ギリシア語聖書』創世記、訳:秦剛平

昨年から引き続き今年も聖書にチャレンジの年にしていきたいと思っています。 昨年は所謂解説書が多く、何だか聖書の中心で円を描きながらうろうろするばかりで、核に「ズバ」っと進むことが出来ませんでした。 新年を迎え何とかその核心に至る一歩を踏み出…

絵画って奥が深い!うんちく心が刺激される! |『恋する西洋美術史』池上英洋

皆さん、こんにちは。 私の会社では、今年から週三日のオフィス勤務が義務化されました。なんというか、これがきつい(泣) 実に甘ったれた泣き言なのですが、これが現実。金曜の晩はもうぐったり。 3-4年続いたコロナ期を経てしっかり年もとりました。また…

コンパクト・ハンディな三菱事始め |『岩崎弥太郎と三菱四代』河合敦

皆さんこんにちは。 本日は小噺なし笑 一週間疲れました。 ざっくりと タイトル通りの三菱四代についてコンパクトにまとまった作品。 四代と言いますが、ページの配分的にはざっくりと、初代の弥太郎が65%、その弟で二代目の弥之助が25%、残り10%が三代目四…

不条理の極北 |『日本軍兵士』吉田裕

皆さん、こんにちは。 私は、日本軍関連の書籍が存外に好きです。 別に、子供のように強いもの・大きいもの・早いものが好きというわけではありません。むしろ、何でここまでひどい状況になってしまったのかという組織論的な関心、あるいは、このような悲惨…

常識を覆す(非常識!?)な聖書解説 |『絵画で読む聖書』絵画で読む聖書

皆さん、こんにちは。 先日からやるやる言っていた今年の振り返りですが、お見せできそうにありません。このままいきますと、有限不実行という最もだらしのない結末に。我ながら忸怩たる思いであります。 振り返るには振り返りました。ただ、もう量が膨大に…

今年一番のインパクト。インド独立と民族浄化、英国の立場やインドの未熟さ。全部知らなかった |  “Freedom at Midnight” by Larry Collins & Dominique Lapierre

皆さんこんにちは。 久しぶりに英語の本を完読しました。我ながら驚きますが7/1から読んでいます。むぅ、ほぼ6カ月です。 自身の健康問題だったり、仕事だったり、旅行だったり(「これで人生最後かも」の気持ちでして)、まあ落ち着かないというのはありま…

普及している食材が持つ数奇な歴史をつまびらかに。 |『世界史を大きく動かした植物』稲垣栄洋

皆さんこんにちは。居所に戻りました。 50手前にして部下なるものを持ちました。 ところがこれがまた、思うように動いてもらえません。ほぼ未経験ながら人柄を見込んで知り合いを採用してもらったのですが・・・。 一番困るのが、「AとBの数字が合いません」…

世の中はディストピアに向かいつつある!? |『無理ゲー社会』橘玲

夜行列車にはなんだか修学旅行的な雰囲気がありました。車掌さんによるベッドメーク中。 皆さんこんにちは。 バンコクのBang Sue中央駅から夜行列車で国境のPadang Besarへ、そして国境を越えた後、マレーシアのButterworthという街へ来ました。ここまでで約…

バンコクの歴史と下町の記憶 |『読むバンコク』下川裕治

皆さんこんにちは。 バンコクに来ました。LCCを利用したらヘトヘトになりました。子どもは泣き叫び、隣の夫婦は咳と鼻水と痰。咳する人、多くないか?・・・そう、人間力を鍛えるにはもってこいです。 そしてドンムアン空港から何とかアソーク近くのホテルに…

バンコクを中心にタイの蘊蓄を知る |『タイ 謎解き散歩』柿崎一郎

みなさんこんにちは。 この前当地の眼科病院に行ってきました。若いころに網膜剥離をやっているので毎年検診がてら見てもらっています。まあちょっとヤバいかもなのですが。。。 それにしても英語で医療用語を喋るのは難しいですよね。網膜剥離はretina deta…

中級者以上向け。歴史の流れとともに隣国同士の関係も詳述。 |『東南アジア史10講』古田元夫

先日、標準月一回のZoomミーティングを子どもたちとしました。 その中で兄(長男)から出た不満。妹(長女)が家事をしないとのことでした。 彼ら、祖父母と同居しており、二階部分を子どもたちが使っています。うち、二階のトイレの掃除、そして洗濯は子ど…

旧約聖書に歴史的考証を加えた良書 |『聖書時代史 旧約篇』山我哲雄

ガザ地域のハマスとイスラエルの衝突・内戦、誠に痛ましい限りです。 私の今年のテーマの一つはキリスト教の勉強でしたが(過去形!?)、その先には、いつかイスラエル近辺を聖書を片手に歩いてみたいという仄かな夢がありました。そんな矢先の紛争ぼっ発で…

東南アジア現代史をちょいかじり。興味の火付け役になれるか |『池上彰の世界の見方 東南アジア』池上彰

うちの上の子は高校3年なのですが、不精癖が抜けないのか、高校、大学と、所謂「帰国」試験でパスしてしました。 さなかで、某大学の志望動機では「東南アジアでの生活の経験を生かして」云々書いていました。が、その実、基本やりたいことも分からないし、…

アイデンティティを失う大国。他方で感じる大国のダイナミズム |『分断されるアメリカ』サミュエル・ハンチントン 訳:鈴木主税

いやあ、甲子園、終わりましたねえー。 息子の部活引退をきっかけにドはまりした高校野球でしたが、非常に面白かったですね。汗、涙、信頼、結束。 なんだろ、一匹狼の私ですら刷り込まれている価値観に、涙目になりっぱなしでした。 普段出ないようなミスが…

ジャーナリズムとは?国益とは?命とは? |『運命の人』山崎豊子

居所に戻って参りました。 まずもって感じるのはその過ごしやすさ。 熱帯ですが、熱帯夜ではありません。昼でも気温は33度程度。夜だと体感20度代後半。断然過ごしやすい。 脳梗塞再発におびえるアラフィフには有難い環境であります。季節の移り変わりが無い…

聖書そのものを読む前、最中、読んだ後、全ての場面に役立ちそう |『聖書の読み方』大貫隆

とある総合病院の脳神経外科に行ってきました。 詳細検査は後日ですが、それ次第では脳の血管のバイパス手術も有り得るそうです。 今まで色々病気や手術をしてきましたが人生最大かもです。 ということで9月の再帰国決定。この一大診察に10割負担で臨むか、…

現代日本にもつながる、重厚な戦前戦中史 |『日米開戦の正体』孫崎亨

今年の頭に軽い脳梗塞(TIA)を発症したこともあり、今回の一時帰国を利用して先日脳ドックなるものを受けてきました。 シブチンに付き、2万円ちょっとの格安コース。頭頚部のMRI/MRAを取り、あとはAからFまでの判定をしてくれるものです。 で、先ほど結果が郵…

学級崩壊、消費者としての生徒。社会の状況等を的確に指摘した良書 |『下流志向』内田樹

皆様こんにちは。 ほんの数日前に読了した本作。しかし、今内容を振り返ろうとして、端的に内容を言い表そうとすると、なかなか難しいことに気づきました。手がとまります。 振り返ってどんな本を読んでいたかを記録するために立ち上げた当ブログですが、内…

本当によくわかった!気がする! |『図解とあらすじでよくわかる「聖書」入門』保坂俊司

聖書関連の読書が続いています。 入門書は相応に読んだのですが、いまだに怖くて本チャンの聖書そのものには手が伸びていません。旧約の決定版?ともいうべき70人訳聖書も購入したのですが、その分厚さにおののき(8cmくらいかな。講談社学術文庫!)、「…

未来志向の提言も聞きたい |『韓国人による嘘韓論』シンシアリー

もう初夏ですね、日本では。 実は息子が野球をやっています。今日は甲子園の東京予選のくじを引きに行っているそう。 思えば彼は野球運がなかった。常に一緒にやる仲間が少なかった。メンバー不足は、彼のチームを常に負ける方向へ追いやった。 小学校3年で…

気持ちはエジプト・トルコ・イスラエルへ |『キリスト教の“はじまり” 古代教会史入門』吉田隆

今年の勉強テーマであるキリスト教ですが、何とか2冊目が読了。 そもそもキリスト教を勉強したい理由ですが、一つはウンチク垂れたいという(アホ)。というか、文学・歴史、色々なところに伏線というか基礎として伏流してるので、西洋の文学・哲学などのテ…

大枠のキリスト教史を押さえつつ、興味深い逸話をちりばめた佳作 | 『キリスト教入門』山我哲雄

今年は、キリスト教関連の書籍をキチンと読み込もうと思っておりまして、一年の目標としておりました。気づくと既に6月。そしてこれがキリスト教関連としては今年一冊目となります。 しかし、いつも思うのですが、岩波ジュニア新書の「ジュニア」ってのはど…

米国下層労働者階級の終わらない悪夢 | 『ヒルビリー・エレジー』J・D・ヴァンス 訳:関根光宏、山田文

米国というのは実に不思議な国であると思います。 GDP世界一を誇りながら、その実、貧富の差も相当激しい。2021年のOECDのジニ計数ランクでは世界第5位(なお日本は世界11位)。 起業やイノベーションが次々と発生する一方、貧困・暴力・麻薬・離婚などの問…

米国人女性による骨太な中世フランス料理歴史書 | 『味覚の歴史 フランスの食文化-中世から革命まで』バーバラ・ウィートン 訳:辻 美樹

年初に一時帰国した際に実家の本棚から持ち帰った積読本(20年弱!)です。 私事ですが、家内は結婚後退職し、どういうわけか調理師学校に通いだしました。おかげで私は専業主婦兼調理師というとっても贅沢な奥様と時を過ごせているのですが、そうした結婚前…

米国の白人貧困層はどこへ流れつくのか | 『ノマド』ジェシカ・ブルーダー 訳:鈴木素子

今年は、セカンドライフをテーマに、老後の生活設計の参考になるような本を選んで読んでいます。 その一環で見つけた本作、名前はモダンで自由な感じでしたが、読後はしこたま暗くなるものでした。反面教師とまでは言いませんが、こうなったら自分はキツイな…

胸に重いものが残る「底辺女性史」秀作 | 『サンダカン八番娼館』山崎朋子

3カ月にわたる一時帰国を終え、とうとう居所にもどってきました。 娘は何とか行きたい高校に進学できたものの、高3になるのに大学受験に本気が出ない息子、体の衰えも顕著で半分ボケてきた父、気になっていた確定申告を8年もそのまま放置していた母、と家庭…

長崎の傑物、女商人大浦慶を骨太に描く | 『グッドバイ』朝井まかて

いつの間にか4月ですね。 一昨日、下の子の高校の入学式に参加してきました。ここから7年間の学費のピークに対し、馬車馬のごとく歯を食いしばって金を稼がねば、と決意を新たにしました。 当初子どもたちは公立高校に入ってもらう予定でしたが、両親が海外…

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