海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

結婚関連ルールが印象的 | 新約聖書 コリントの信徒への手紙(一) 『聖書 新共同訳』

皆さん、こんにちは。

昨年から引き続き聖書読破キャンペーンを一人で細々と続け、もう年末を迎えてしまいました。旧約は今年読破、新約も何とか半ばまで来ましたが、いかんせん新約は物語性が旧約に比べるとやや薄いかなと感じます。飽きました泣。

半ば苦行のような、苦しみながらの読破ですが、早く終わりにして次の二年間くらいはシェークスピアとかギリシア哲学に進みたいなあと想像しています。

 

ということで本題に参ります。

 

はじめに

具体的な背景についてはwikipediaを参考にウォームアップ。

ja.wikipedia.org

端的に言えば、パウロからコリント(ギリシア)にいるキリスト教共同体に向けた手紙。

分裂を戒めるとともに、罪人こそ救われるべきとか、結婚について、愛について(偽善の否定)等、が語られていると思います。

 

結婚について

7章の結婚についてはちょっと興味深かった。

箇条書きにするとこんな感じ。

  • 未婚ならば、未婚のまま独り純潔を保つのがベスト。
  • やもめについても、そのまま独りでいるのがベスト。
  • 未婚もやもめも、自分を抑制できないのならば結婚すること(その相手とならOK)。
  • 既婚者は離婚しないこと。
  • 離婚してしまった場合は、再婚せずにいるか(男女)、元夫のもとに戻るのがよい(女)

 

これ以外にも別宗教の人と結婚したときのパターンがありますが割愛します。基本は独りがおすすめですが、我慢できない人は配偶者を持ちなさいと。

なお、1人プレイは旧約でオナンの話があったことからおそらくはルール違反です。

 

令和の今は、割とパウロの意に沿う人が増えている?かもしれないなあと、ぼんやり。余計なお世話ですね。

 

おわりに

ということでコリントの使徒への手紙(一)でありました。

以降は短めの手紙シリーズが続きます。果たして今年中に終わるのかな。でも焦らずたゆまずに進みます。

 

評価 ☆☆☆

2025/12/08

 

私たちは分かり合えないのですか?泣 |「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 今井むつみ

皆さん、こんにちは。

 

私、一人部下がおります(外国に居るので、日本人ではありません)。

採用して2年がたちましたが、正直成長は私の期待を下回ります。

今もって、何度も繰り返して説明していますが、全くと言ってよいほど伝わっている感がありません。最近、なるほど、と嘘をつくようにもなりました(その「なるほど」は分かっていませんね、と突っ込みますが)。

そして次第に私も不機嫌になり、顔にも態度にも出るようになりました。

 

これはまずいと思い上司(日本人)にも相談しました。

彼の答えは「もう見ない、というか物理的に見れない。それを皆さん分かってもらうことで、あ、これは自分がしっかりしなくてはダメだなと感じてもらう」とのこと。

 

長期的な成長を鑑みれば短期的な失敗を許容するべき、みたいな話でしょうか。

ただ(内部的ではありますが)顧客もあり期待値も相応にある中で、敢えて失敗させるべきか(どうせリカバリは私がやるのは目に見えています)。

悩ましい。

 

結論は出ないながら、この伝わらない状況をどうにか打開したいと思い手に取ったのが本作。

 

概要

本作、認知科学言語心理学を専門とする今井むつみ氏(元慶應義塾大学環境情報学部教授、Ph.D.)の手による、多くの人が抱えるコミュニケーションの悩みの原因と解決策を認知科学の視点から解説した一冊。

言葉が「伝わりづらい」ことを前提とし、伝達エラーの仕組みを分析。特に、人の思考や知識の枠組みである「スキーマ」が伝達において重要な役割を果たすことを示し、分かり合えないことを認めた上でコミュニケーションの本質を理解し、よりよくするための具体的なヒントを提示するもの。

 

えー、ショックなんですけど

なんというか、いろいろとショックでした。

先ずもって、『話せばわかる』は幻想、と、私の希望を一刀両断(泣)。

氏によると、(完全なる不可知論とまではいいませんが)人間は違った「スキーマ」(思考システムのようなもの)を持っており、そもそもが話をしても伝わっているのかどうは分からない、と。違う色メガネをそれぞれかけて同じものについて語るようなイメージでしょうか。

 

例えば、外国語というのはまさに全く異なったスキーマであり、当然日本人は外国人と素では会話はできない。あるいは世代間ギャップなんて言いますが、同じ日本人でも話がかみ合わない。あるいは男子と女子でも話がかみ合わないことがある。これらはすべてスキーマ」の違い、ということができる。

 

もう、粗々に結論をまとめると、コミュニケーションにおいて必勝法はなく、手探りで工夫と努力を重ねるしかない、と。スキーマがキーなので、相手の立場(スキーマ)に配慮して話す、また相手にも我々(ないしカウンターパート)の立場(スキーマ)に立って話してもらう、とのことでした。

 

なお、外国で働いたことのある方の経験談として、間違えようのない明確・明白なマニュアル(やチェックシート・手順書)を用意する、というのがありました(移民が多くて多様なレベルの方が職場にいらっしゃったら確かにそうですね)。まあそうですけど。。。

 

家内とは永遠に分かり合えない!?

でまあ、これを読んで、仕事そっちのけで自分のプライベートで頭くらくら。

うちは国際結婚、家庭内言語は日本語です。

 

まあ、家内の日本語はうまくないし、外国在住でどんどん劣化していきます。うすうす分かってはいましたが、一生理解しあえないかもしれない、というのを専門家から言われ改めてガーン、と。

 

多分風邪だろうなと、ごまかしながら頑張ってきたけど、熱を測ったらやっぱり風邪だった。それが分かったらもう頑張る気が失せた、みたいな。

 

ただ、これは言語もさることながら、個々人でスキーマが違うというのだから、正確には言語の違いによらないはず。言語の違いは一番分かりやすい例ですがね。

 

家内とは知り合ってもう30年も経とうというのに、やっぱり日々ぶつかることがあり、これが今後一生続くと思うと、昔流にいうとorz。

 

逆に、未だにこじれた母親との関係も、スキーマの違いに私は全く配慮しなかったと考えれば、これもまた納得。

 

自立した部下、の理想を放棄する!?

あと、絶賛くすぶり中の部下。

 

彼女とは、これまで禅問答のような会話ばっかりして、結果として結構イジメてしまいました。

私も同じ局面を経験し苦しかったのですが、その苦しみの先に「悟り」ではないですが、やっぱり経験と思考・試行を経て分かったものをメンターに与えて貰えたと今でも感じるのです。私も彼女には「悟」ってほしい。故の、考えてほしいがための禅問答。

 

でも、本作のミスコニュニケーションへの回答の一例は「明白なマニュアル」。

そうかあ…。

 

先ずもって、そういうものを作る手間。めんどくさ、と、ため息がとまりません。

また、部下さんの考えないで指示に従えばOKというメンタリティが気に食わないのですが、これだと一生彼女の成長が見込めません。

スキーマの違いを克服するために、敢えて成長を促さない(けど意味が通じる)やりかたをするべきなのか。

 

確かに前からそれも考えていました。もっとプロセスを細分化して、明確な手順を設定し、考えなくてもミスしない。そういう方法。

ただ、これだと「何故手順が変わったか」「イレギュラー事項の意味合いは?」みたいなものに極端に弱くなります。そしてきっと、仕事は断然詰まらなくなると想像しています。

 

それとも、言われたことをやるだけの詰まらない立場に追い込み、奮起を促すとか?

もう、どうすればいいんだよー。

 

おわりに

とういことで、認知心理学ついての今井氏の著作でした。

科学的知見の最前線の内容を当然のごとく提示されたのですが、救いを求めていた私は、その結論に失望を隠せませんでした。

 

同じような不可知論的な議論をウイトゲンシュタインやフッサールがやっていたと思いますが、哲学者は「分かり合える」希望・理論を捨てていないようにも見えました。科学は厳然としておりますね。とほほ。

あと、家族なら、それでも頑張って分かり合いたい。会社だけの関係でどこまで力を尽くすべきか、悩ましいところです。

 

評価 ☆☆☆

2025/12/07

ボロアパート住人らによるエンタメ!?だけではない心の叫びも |『小暮荘物語』三浦しをん

あらすじ(裏表紙より)

小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全六室のぼろアパー

ト木暮荘。そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員
繭の四人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える
懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がり
はじめる隣人たちのぬくもりだった……。

 

変人?住民たちの短篇連作!?

ぱっと見、これはアパートの住人を巡る短篇連作、であります。

ただ、本作、それにとどまりません。

 

誤解を恐れずに言えば、性を巡るそれぞれのストーリーといっても良いと思います。

70を過ぎて、どうしても(お金で買うのではない)セックスをしたい大家、イマ彼と元彼と両方に挟まれて心も揺れる20代OL。子どもが産めない体に生れつき、セックスをしまくる女子大生、それを恨めしそうに上から除くサラリーマン等々。

 

どれもかなり際立った個性のキャラクターが、この小暮荘に縁あって集い、物語を紡いでいきます。

 

その想いに見方が変わる・・・

これが単なるキワモノだらけの捧腹絶倒物語ならば、新味のないどぎついだけの物語であると思います。

が、本作がきらりと光ると思わせるのは、それぞれのキャラクターがそれぞれ思いを抱え、実は真摯な悩みを持つからです。そして、そうした思いは、多くの人にも見られるものであるからだと思います。

嫉妬であったり、執着であったり、名残惜しさであったり、はたまた苦しさであったり。

 

そのような「想い」を人物にまとわせることに成功しているところに本作の秀逸さがあると思います。だから、ぱっと見は大分変な人たち、否、ぶっ飛んでいるといってもよいのに、読んでいくといつの間にか共感してしまう、そういう造形が多くあるのでした。

 

エンタメっぽいけど、それにとどまらない。純文学というには面白過ぎる。私はそういう思いを読中に抱いておりました。

同じような感想を巻末で金原瑞人さんが書いていたのも印象深かったです。もっとも彼は芥川賞直木賞でたとえ、両者の特徴を一緒に仕上げる作家として三浦しをん氏を評されていました(相当意訳しました)。

 

おわり

ということで一か月ぶりの三浦作品でした。

ただただ面白い、そういうのもいいのですが、その裏に人間らしい悩みや苦しみが見えるところ、そのブレンド具合に筆者の妙が光ると感じる一作でした。

 

評価 ☆☆☆☆

2025/12/05

村上氏のフィルターを通した地下鉄サリン事件 |『アンダーグラウンド』村上春樹

皆さん、こんにちは。

12月に入りましたが、忙しくて本が読めなくなってきました。

本作も、11月にゆーくり、ゆーくり読みつつ、最後は居所に戻る際の飛行機上で読了したものです。何となく備忘を書きそびれて、今頃になり、まさに忘れぬように綴ったもの。

 

ああ、本が読みたい。

もっと仕事で楽したいので、やっぱり来年は仕組みやプロセスの見直し(マクロ等も共通化・部品化)でもしようかなとぼんやり考えています。

 

ということで本題に参ります。

 

地下鉄サリン事件のインタビュー集。だけど文学!?

いやあ、長かった。実に長い。

一部例外がありますが、ほぼ上下二段組みで合計777ページ。

あの村上春樹氏が、オウムの地下鉄サリン事件の被害者からのインタビューをまとめたもの。

 

だからジャンルで言えば、ノンフィクション? かと思うじゃないですか。ただ、そこはかとなく村上氏のエッセンスがブレンドするのです。だから、やっぱりこれは村上文学なんだろうな、と感じます。

 

いつのまにか『ナショナルストーリー・プロジェクト』

繰り返しになりますが、内容といえば、62人の被害関係者へのインタビューがただただ掲載されているものです。

 

上で村上氏のエッセンス云々いっていますが、各インタビューの前に見開きでその方の略歴、村上氏の抱いた印象がデッサンのごとく粗く表現されています。

ごく短い、本当にざっくりとした印象であろうかとは思いますが、この1-2ページが各インタビューの冒頭で待ち構えることで、やはりそれ以降のインタビューの印象は村上氏のそれに引きずられると思います。

 

まあ別にこれは悪いことでもなんでもなく、そういう作品、ということだと思います。村上氏の直観的描写も、取り立てて悪意を持って書かかれているようにも見えませんし、むしろ暖かいと感じました。

 

そして、いつ間にか、読中の印象は『ナショナルストーリープロジェクト』のような、日常に潜む不思議な体験を綴るかのような風合いを感じるようになりました。私はね。

 

故に、いろんな人がいて、事件に遭った。大変な方もいますが、多くのかたは従容として受け入れているように読めました。実に皆さん悟るかのように生きているなあ、という印象すら持ちました。もちろん、怒り狂っているような方も当然いらっしゃるのですが、ただ大半は事実をフラットに受け止めているように見えました。

 

もちろん、インタビュイーはほんの氷山の一角。

こんな話はしたくないし、聞きたくもないという被害者も居ると思います。そういう方にとっては、作中の大半の方のような従容とした態度が、あるいはその表現が、なにやら不謹慎だと思うかたもいらっしゃるかもしれない、と少し心配になりました。

 

批判を避けるためというわけでもないのですが、やはりこれは村上氏の文学のひとつ、直球のノンフィクションとは違う、と捉えたほうが良いと思いました。

 

おわりに

ということで、村上氏の『アンダーグラウンド』でした。

これも実に約30年前の作品となります。当時の狂騒を思い出します。あれから日本は良い方向に変わったのかなあ。

かつて「事件を総括するべき」「何だったかを振り返るべき」などと叫ばれた気もしますが、あれから考えることもなく、振り返ることもなく、事件は時の波にのまれつつ風化しただけに感じます。

またぞろ同じような事件が起きないといいな、と祈るばかりであります。

 

評価 ☆☆☆☆

2025/11/25

マンガのノベライズっぽい。和+学園+美形+アクション |『雪月花黙示録』恩田陸

皆さん、こんにちは。

11月末に居所に戻り、近頃仕事が結構忙しくなってきました。ひょっとすると、自分のやる気?が戻っただけかもしれませんが。

 

去るもの日々に疎しとはよく言ったもので、オンラインで仕事をすると、私の場合、少しやる気が落ちます。とりわけ居所(アジア)から日本に一時帰国しての自宅勤務はそう。

本当にだめな50代。

 

で、戻って着た途端、シンガポールの地域統括から細かい注文がつき、それにアドホック対応するために慌ただしくなっているというもの。だめ気味な部下の指導にも力が入らず放置気味、そして自分が黙々と仕事を背負いこむという良くない流れを感じます。

人の育て方についてイマイチ相談できる人がいないという人徳のなさも、今ごろになって身に沁みるという。とほほ。

 

といことで本題に参ります。

 

あらすじ(裏表紙より)

ミヤコの最高学府、光舎の生徒会長選挙。それはミヤコ全体の権力者を決定する伝統と狂騒のイベント。美形剣術士で春日家の御曹司、紫風は三期目の当選を目指していた。ある日、紫風は立会演説会中に選挙活動を妨害される。それは反体制勢力、「伝道者」の宣戦布告だった。彼といとこの女子高生剣士、蘇芳は次第に巨大な力に巻き込まれていきーー。アクション満載、近未来の日本を舞台に繰り広げられる、豪華絢爛な玉手箱!

マンガのノベライズっぽい作品

何度か繰り返しているのですが、恩田氏というのは実に器用で、色々なスタイルが描ける方だと考えています。

代表的なところで言うと、青春モノ、モダンホラー、伝奇モノ、演劇・舞台系、SF/近未来系、などがあると思います。

 

で、本作はどういうジャンルかというと、SF/近未来系に近いかなと。ざっくり印象はマンガ、でしょうか。マンガをノベライズしたかのような。

 

表紙のデザインもそれっぽいですが、舞台設定がゴシック・ジャパンなる古風な日本を復興させようという勢力であり、その中心となって政治のかじ取りをするのが光舎という学園の生徒会長という。つまり首相は大学生、みたいな。その時点でかなりな創造の世界ですよね。

加えて、現生徒会長もイケメンで、その従姉妹たちも美形で、彼らの出自の春日家というのが武術の達人の一家ときた。

 

生徒会長選挙もなんなればミスターコンテストさながらで、黄色い声が飛び交う。そのさなかに、春日家が謎の集団に挑まれるというもの。

 

そして、実は国の成立には隠された背景・上書きされた過去の経緯がある、みたいな話です。

 

また、所々ギャグみたいのもあり、こういうのもマンガっぽい。

 

「ミヤコ」の運営資金は?

なお、良く分からないのは、「ミヤコ」の会社とか企業の話が全く出てこず、どのように「ミヤコ」の運営資金を賄っているのか、みたいな現実的な問いもありました。一応は国ですよ。

まあ、読んでいる時は夢中になって気づきませんが、こうして冷静になると、そうした描写はなかったな、と。

まあ、そんなに突込み所ばかり探していても仕方ないですがね。

 

おわりに

ということで一か月ぶりの恩田作品でした。

和風、学園系、美形、みたいなマンガ的な感じなのが好きな人には結構受けるかもしれません。

純文学を欲している方は白けちゃうかもしれませんね。

 

評価 ☆☆☆

2025/11/28

介護の厳しさ・追い詰まりを、切実にくっきりと描く佳作 |『母さん、ごめん』松浦晋也

皆さん、こんにちは。

あっという間に、ことしも師走と相成りました。

思えば今年の初め、『今年の計画は自分中期経営計画を立てるぞ』と妙な怪気炎だけを上げておりました。が案の定、細かいWBSも作らなかったこともあり、成果物も進捗もない単なる読書オジサンが出来上がっただけになりました泣

 

近年自分の大病、親の認知症などがあり、自分の将来を積極的に思い描くよりも、目の前に迫りくるかもしれない優先事項に当たっておかねばならないかも、と介護・死などの本を立て続けに読んでいた次第です。

 

で、今回の本。

介護の本ですが、かなり刺さりました…。これは40代以上で親御さんがご存命でしたら是非一度手に取ってほしい内容でした。

家内にも読んでもらうべく勧めてみましたが、『今は忙しいから二年後くらいになるよ?』だそうです。2年後でいいから読んで欲しいところです。親の介護のみならず連れ合いの介護に置き換えたとしても有用な体験談だったと思います。

 

ということで本題に参ります。

あらすじ(裏表紙より)

突然、母が認知症に。同居する独身息子の生活は一変。「私は認知症じゃない!」と認めない一方で、大量に届く謎の通販、異常な食欲、そして失禁──そんな母に振り回され、ついには手をあげてしまう。行政や弟妹の支援を受け、なんとか介護を続けるが……。介護する人/される人にとって、本当に必要なものは何なのか? 独身者による介護の実態を赤裸々かつロジカルに綴った傑作ノンフィクション。

 

読書のきっかけ

私も父親が認知症になりました。そしてその面倒を見る母は82歳。幸い母は元気ではありますが、腰も曲がってきており、諸々限界に近付いている気もします。

今度どちらかに何かあったらどうするか。姉は実家から遠く離れて嫁ぎ、私ときたら外国にいる。もし両親のどちらかに何かがあったら私が実家に戻るか!?

 

そんな逡巡をするなかで手に取ったのが本作であります。

 

リアルな介護体験談

平たい話、介護体験談です。

とは言え、もともとノンフィクション作家さんでいらっしゃるようで、読み口はすごく良い。何でしょうか、読んでいて気持ちよい、程よい教養の混ざり具合というか。読んでいて表現で引っかかるとかは全くなく、そこは先ず特筆したいと思います。

 

でも、もちろんそれが大事な話ではありません。

やはり介護で苦労され、追い詰まる様子、これが実に刺さります。とにかくリアル。

 

幾つかピックアップすると以下のような話。

自営につき、介護はできるものの仕事にならず貯金残高が目減りしていく恐怖。周囲の助けを得られるのならば、変な健康食品より、金が欲しい。異性の親(今回のケースは母)をショートステイに送り出すとき、親の下着のサイズ等を予め関知し用意できるか。認知症の親を前に電化製品(洗濯機とか)を買い替えると、親が使いこなせず、その家事は自分が負担することになり得る。認知症が進むと、自身が怪我をしてもどうして怪我したのかをそもそも覚えていられない。老化(死)は不可逆的であり、得意料理・得意作業なども進行と共にできなくなってしまう。家族だけで介護をしていると、ストレス・憎しみがたまり、時に手を挙げてしまう事態にも。家族だけだと、身内がどんなに頑張っても、優しくできなくなる。など。

 

こうして切り貼りしているだけだと、なかなか伝わらないかもしれませんが、わたくし的にはこれまで読んだ類書の中では一番響いた作品でした。

 

おわりに

ということで介護体験談の本でした。

巻末にジェーン・スーさんとの対談も載っていましたが、それもまた良かったです。今後の日本への提言なども読みごたえがあるものでした。

 

親の介護もそうですが連れ合いの介護を覚悟する上でも読んでみるべき本だと思いました。

 

評価 ☆☆☆☆☆

2025/11/30

お金の困りごと+ファミリーストーリー、が新味か |『三千年の使いかた』原田ひ香

皆さん、こんにちは。

 

本当にひねくれが治らず我ながらため息が出ますが、私、関心あるくせに、流行りものは嫌い。

で、一息ついたころにようやく手を出してみる、というのが行動習慣としてあります。

 

まあその根本にあるのはマーケットで高値で取引されているところで今は手を出さない(高値掴み厳禁)、下がるまで待つ(底値狙い)、みたいな気持ちです。ま、株と違い本は時間とともにほぼ確実に値段が下がりますしね(除く学術書)。

或いは、時の試練をくぐり抜けてきたものを有難く拝読したい、と。

 

で、今回の作品。時の試練をくぐり抜けたかどうかは分かりませんが、値ごろ感ありまして手に取りました。

 

あらすじ(裏表紙より)

就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?

<解説>垣谷美雨

 

売れたんだろうな

この本も数年前に非常に多くの方がSNSなどに取り上げて話題になっていたように思います。

私が手に取ったものも、文庫の初版から一年たった時点で19刷。一回の増刷でどの程度印刷するかは会社によって異なるようですが、少なくとも出版社の予想を少しづつ越えてきていたものと思います。

 

普通、かな。お金と家族の話。

まあ、一言で言えば、御厨家の女性たちの、お金(や人生)にまつわるモヤモヤを描く、といったところでしょうか。美帆、美帆の姉の真帆、彼女たちの母親たる智子(なお嫁)、そして祖母の琴子。

 

正直、全体としては結構普通に感じました。

 

一章:美帆は30手前だし、お金もお金の知識もないのはしょうがないけど、勉強しましょうね、って感じ。

 

二章:祖母の琴子はある程度のお金はあるけど、世の役に立ちたい、貧乏じゃないけどちょっとお金があれば余裕が生まれるってのは確かにとは思いました。まあでも、今の時代、結構な高齢な方もバイトとかされていますし、やっと始められましたか、という印象。

 

三章:子育て主婦の真帆の部分は、すこし共感。お金については初歩的な話が多かったですが、経済的な状況や旦那さんを周囲と比べる、周囲目線で評価してしまう生きづらさ。幸せは自分尺度で築くものなのに、いつの間にか他人と競争するような目線になってしまう生きづらさ。なぜ自分の幸せまで世間尺度で評価してしまうのでしょうね? ある意味私も「お金」・「社会的地位」で未だに縛られており自分尺度で生きていられません。海外だからまだいいけど、首都圏に住んでいると世間尺度で自分を判断しちゃいそう。

 

四章:責任を取らないモテ男、アラフォー安男君の章(祖母琴子の友だち)。私はできなかった或る意味自由で素敵な生き方かもしれません。悔しいけど、こういう男が持てるんですかね。つい先日、似たような男の話『ニシノユキヒコの恋と冒険』を読みました。

 

五章:御厨家の嫁、智子の話。ここもある程度共感しました。嫁の立場で家にいるなかで、旦那は、家族(というか姑)に何にも言わない、いざという時に意見を言わない(何も考えていない)、結局自分が一家の悪者になり正直意見する、みたいな。同じことを若い頃から家内に言われたものです。夫婦のコミュニケーションがないとこうなるのかなあという典型。

 

六章:美帆の新しい彼氏と御厨家とのやり取り、等々。

 

おわりに

ということで原田ひ香さんの作品を初めて読みました。

これまで金融業界に身を置いてきたことからも、お金については101(初歩)に過ぎない知識だと思いました。そうしたお金エッセンスと家族モノを融合したところが新しさなのかもしれませんね。

 

子どもにも勧めていますが、お金周りの知識を得るにはAFP/CFPは結構勉強になると思います。私はその方面のキャリアは築けませんでしたが勉強したことで生きる力はついたかな、と。為参考まで。

 

評価 ☆☆☆

2025/11/25

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