海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

YouTubeのお手本がすごくいい、ピアノ教則本 | 『ピアノの教科書』丹内真弓

皆さん、こんにちは。

 

高校進学を機に日本に戻った娘が残していったアップライトピアノ。

4年ほどそのままにしておいたのですが、一念発起、チャレンジしてみることにしました。

幼稚園の時、姉が習っているのが羨ましくて仕方がなくて私も習ったのですが、程なくして外遊びに夢中になり、練習しなくなり、あっという間に挫折。ということでかれこれ45年++ぶりでしょうか。

 

本作を通読し、ネットの世の中になって、昔とは本当にいろいろと変わってしまったことを実感しました。

 

ということで本題に参ります。

はじめに

素人がピアノを独学するのによい教材をAIに相談したら幾つか出てきたものの一つ。中古も探しましたが、あまり出回っている様子もなく、新品を大人しく買いました。

 

目指すのは、ハラミちゃん+ブルースピアノ。できるかなー??

20年くらい地道に練習したら、ワンチャンあるかも!? ないよww

 

YouTubeの動画がよい

内容は非常に基礎的だと思います。

指を動かす、右手でメロディーを弾く、指くぐり、左手の伴奏等々。出色なのはやはりYouTubeで先生のお手本が何度でも見れること。

フラメンコギターで先生についたときは(それも30年前だけど)まだカセットテープで、運指は記憶にとどめるしかありませんでした。

 

でも、今はYouTubeで好きなだけ見れるのです! これはいいですよ。

指使いや強弱などをじっくり見て真似ることができます。なんなら繰り返して見れるのです。

にしても、先生のタッチがとってもお上手。本当にシンプルなパッセージなのに惚れ惚れとする。まあ先生だから当然なのでしょうが、素敵!

 

巻末の練習曲は3曲で、ハッピーバースデーの曲、オクラホマミキサー、ヴェルディの凱旋行進曲。徹底してC→F→Gのコードの曲でしたが、弾けた感のある選曲だったと思います。

 

なお、一冊通してまあ大体弾けたかなあと思うまで約4カ月程度かかったでしょうかね。週二回から三回、一回当たり30分程度の練習で通した感じです。

 

おわりに

ということでピアノの教則本でした。

オンラインで先生に習うということも考えましたが、定期的に時間が取れないかもと思い、本から始めました。次はもう少しカッコいいコードでバッキングできるような教則をやってみたいと思います。

 

評価      ☆☆☆☆

2026/09/27

自由過ぎる二人の短歌詠みあい | 『ダイオウイカは知らないでしょう』西加奈子 せきしろ

皆さん、こんにちは。

 

なんだか妙に気分が落ち込み、ぽろっと否定的なことを家内に漏らしました。

その三倍くらいの量と勢いで否定的な発言(という行為)をたしなめられ、否定されました。

まあ、古くから愚痴は最も聞きたくないものの一つではありますが、たまの愚痴を叱られるとなかなか辛いです。

 

でも私は自己消化の達人。こうやって50年以上生きてきました。明日もあさイチで自分の気持ちの変化・なぜ落ち込み、なぜ家内の発言が辛いかを分析してみたいと思います(というかこの時点で慰められるのが当然だという思い込みがあったことがすぐわかりますが)。

 

ということで愚痴はその程度にして本題に参ります。

あらすじ(裏表紙より)

「自転車のベルを鳴らされすぐ避ける まだ鳴らしてる そういう人か」(せきしろ)、「お元気でもう会いません 私は世界の臍に向かっています」(西加奈子)。小説家の西加奈子と文筆家のせきしろが、個性的なゲストたちと共に、常識はずれの短歌道に挑戦! 穂村弘や俵万智も驚かせた“規格外の名歌”は、なんだか・・・短歌?

 

はじめに

2010年発表の西加奈子氏とせきしろ氏による短歌の詠み合い。

ゲストが結構豪華で、穂村弘・東直子・俵万智・いとうせいこう・星野源・山崎ナオコーラ・華恵・光浦靖子・ミムラ・ともさかりえ・山里亮太(南海キャンディーズ)・山口隆・勝山康晴・入山法子ら14名。

 

ただ個人的にはイマイチ、でした。

 

形式美が欲しいのよ。。。

短歌とか俳句、あるいは川柳でもいいですが、個人的には形式が大事、というか形式は必須と考えます。

つまりは5・7・5(・7・7)。

その制約条件がある中で、どれだけ凝縮して広がりのある世界が表現できるか。

 

半年くらい前にか、『夫が寝たあとに』という番組で俵万智さんがゲストで出て、視聴者や演者の子育て短歌を講評していたのですが、その気持ちの込め方、子どもへの愛しさや難しさの表現に、かなり感動しました。私は子どもが二人いたので背景を理解できるというのもありますが。で本も買っちゃったくらい。

 

しかるに、本作ですと、中ごろまでほぼ自由律でして、しかも世界観が独特過ぎて、読む手がとまることが多かったです。

西さんはかなり自由で、西さんご自身の解説がないと何を詠んだのか良く分からない。せきしろ氏も字余りが結構多かった印象。

 

もちろん、形式を守る・守らないは趣味・好みですよね。

で、シャワーを浴びながら、私は形式美が結構すきだなあーというのを思い返しました。

思えば、かつてヘビメタになりたかったとき、どれほどイングウェイ・マルムスティーンを聞いたことか(全くマネでなかったけど)。ブルースも結構好きで、ジョニー・ウインターとか聞いていたものです。ついでに言えば、12拍子のフラメンコなんかも形式に縛られるものでした(フラメンコギターは7年くらい続けられたけど)。

 

まとめると、本作では自由過ぎる短歌のオンパレードなのです。ゲストは豪華で面白いのですが、その自由過ぎる部分が私にはあいませんでした。

 

おわりに

ということで短歌集!?でした。

西さんの構想力のとっちらけ方は相変わらずすごいのはよくわかりました。

 

評価      ☆☆

2026/09/25

最後は力で所有権を主張したオーストラリア白人の物語 |『The Secret River』KATE GRENVILLE

皆さん、こんにちは。

 

洋書の読書、毎月一冊程度と考えておりますが、遅々として進まず。

8月に読み始めた本書は9月後半になりようやく読了。

 

単語力、読解力、どれもなかなか向上しませんねえ(そもそも向上させる気もそこまでないですが)…。

 

でもこれ、面白かったです。

 

それでは本題に参ります。

あらすじ

19世紀初頭のロンドン、貧困から盗みを働きオーストラリアへ流刑となったWilliam Thornhillは、恩赦を得て家族とともにホークスベリー川沿いの奥地へと入植する。自らの土地を持つ夢を叶えたThornhillだったが、その土地は先住民が伝統的な暮らしを営む場所であった。土地の所有権を巡る文化の衝突は徐々にエスカレートし、やがて凄惨な虐殺という歴史の闇へと繋がってゆく。

2006年のBooker Prizeのshortlisted 作品。なお邦訳もあり、タイトルは『闇の河』。

 

原住民の土地か、入植者の所有か

結構面白かったです。

 

いやあ、相変わらず19世紀のイギリスの労働者階級はきつそう。

貧困だから仕事があっても盗みが日常となる人々。その盗みが発覚し、一度は死刑宣告を受けるもすんでのところで流刑という幸運をつかむ主人公Thornhill。

 

豪州への流刑後、どうにか自由人(解放人)となり港町のSydneyから内地へと入植するThornhillの、自然との格闘の描写も凄まじい。

 

そして、アボリジニと英国白人との邂逅。当然Thornhillも彼らに出くわす。

言葉が通じない中、文化がまるで違う中、小競り合いが両者の間で起きる。おそらくアボリジニにとっては白人の植え付けた作物も大きな『自然』の一部なのか。白人にとっては自分の労働はれっきとした私有財産(とはいえ、その土地はもとはといえばアボリジニのものと薄々理解はしている)。

 

最終的に白人によるアボリジニの殺戮がおきるものの、新聞報道はわずか表面をなでた程度で、真実は一部の人が知るのみ。そしてアボリジニはより奥地に住まうように。

 

後に、他の白人が手放した土地を得てビジネスに成功したThornhillは、成功した自信と殺戮に手を貸した改悛の入り混じる感情の中に生きる。

当初本国英国への帰還が夢だった妻は表立っては何も言わないが概ね満足そう。息子の一人は消極的に殺戮に加担した父親から離れていった。

 

とまあ、ストーリーの終わりとしては中途半端な感はあるものの、オーストラリアの歴史、とりわけアボリジニと白人との邂逅をビビッドに描いている点に驚嘆しました。

 

英語について

英語はやや癖がありました。

オーストラリアで流通する英語が幾つか使われていた気がします。一例としてはdamper(n)。普通に辞書で調べると衝撃吸収装置とか出てくる。でも”damper 意味 1810年代 オーストラリア”とか検索すると、どうやら簡素なパンであることが分かりました。そのほかfly-whiskというハエ叩き(ハエよけ)だったり、sterminate (根絶やしにする、exterminateの意味)だったり、検索機能が発展してきたお陰でなんとか意味を解することができました。

 

おわりに

ということでブッカー賞shortlisted作品でした。

英語がやや難解で疲れましたが、文化的背景が面白く、読み通すことが出来ました。

 

自然は誰のものか、土地は誰のものか。近代国家が成立していない状況で、結局は力が所有権を説明するという野蛮で残酷ながら分かりやすい展開ではありました。仲間を殺され惚けてしまったアボリジニの姿は悲しみを誘い、何とも言えない後味を残しました。

 

評価 ☆☆☆

2026/09/23


ロンドンの労働環境の悪さと言ったら、本作以外でもまあまあ出てきますね。

lifewithbooks.hateblo.jp

lifewithbooks.hateblo.jp

 

笑いと感動の短篇連作。映画好きでなくてもおすすめ | 『映画篇』金城一紀

あらすじ(裏表紙より)

映画の力で導かれた記憶の中の僕は、いつでも軽やかに笑い、素直に泣き、楽しそうに手を叩いていたーー。不器用で孤独な人々が映画をきっかけにつながり合い、力強い再生へと踏み出していく姿をみずみずしく描きながら、映画への愛と物語の復権を高らかに謳った傑作小説集。友情、正義、ロマンス、復習、そして、笑いと感動。五つの物語の力が、あなたを救う。

 

はじめに

金城一紀氏による2007年の作品。

 

金城氏といえば、在日韓国人+青春小説、というイメージでした。

で、本作。5つの短篇が「ローマの休日」を通じてゆるーく連なる、連作となっています。

 

ここでも在日あり、でも在日だけに非ず。青春描写あり、でも青春だけにあらず。

しからば何ぞやといえば、あらすじにある、「再生」という言葉が一番座りがよいと思います。みな人生色々あります。でもそれを支えながら乗り超えるのです。映画がそのきっかけになる、そんな素敵な連篇であります。

 

「愛の泉」で笑って泣く

まあ上で殆ど言い尽くしたのですが、とても良かったです。

 

「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニー もしくはトゥルー・ロマンス」「ペイル・ライダー」「愛の泉」と、全て映画タイトルが小編のタイトルとなっています。

 

私は最後の「愛の泉」が一番良かったと思います。

おじいちゃんが亡くなって弱っているおばあちゃんをどうにか元気づけようと、孫たちが頑張って映画上映会を開く、というものなんです。で、この孫たちの個性がほんとでこぼこなんですが、最後は一つにまとまり無事映画上映に漕ぎつけるというもの。ユーモアを交えながらも、家族を信じる心やイベントをやり遂げる箇所などで胸にこみあげるものがありますよ。

 

おわりに

ということで久しぶりの金城作品でした。

近隣の街のそれぞれの住人(短篇の主人公たち)が実は何らかの要素で繋がっているという感じの連作なのですが、ふと伊坂幸太郎氏のようなテイストをも感じもしました。

 

あと、「愛の泉」での映画上映会って「ローマの休日」でしたが、あれも良かったですね。イタリア旅行に行く前に私も見ました。そしてその裏話として岡圭太郎氏が時代背景を述べる解説をしており、これまた良かった。

作品とは時代背景や文脈を読み解くことで、いっそう味わい深いものになりますね。

 

評価      ☆☆☆☆

2026/09/20

 

愚息の就活用。辞書的に使うのね。細かすぎて読みきれんし |『会社四季報 業界地図』東洋経済新報社

子どもが就活だってよ

近年、子どもの就活に親が口を出す、親向けの企業説明会などもあるという話を聞くようになりました。はあ、こりゃ世も末だよ、モンペだよモンペ。てか子ども・学生はどうなっていんだよ。自分の人生に親にちょっかい出させてさ。それでいいのかねえ?俺の時はそうじゃなかったよなあ。。。

 

と、いつの間にか昔を懐かしむうざい中年になり下がっていました。

 

そして今年、2026年秋、我が家の愚息は大学三年。サークルの最後の大会も負け、そろそろ就活じゃないかとwebexにて事情聴取。

私:「で、どう? 始めてる?」

愚息:「うーん、始めてはいるけど。」

私:「どんな感じ?」

愚息:「てか、幾つか練習で申し込みしてみたんだけど、SPなんとかっていう試験が通らない。」

私:「ああ、SPIね。あれは最低限の関門だからしっかりやってよ。で志望業種とかは?」

愚息:「うーん、よく分かんない。とりあえず、大きいところだけ。業種はまあ、コンサル・商社・エネルギーとか?」

私:「・・・」(あまりの視野の狭さに絶句)

 

その後、かみ合わない会話が数十分続きました。

親として感じたのは、こいつ全然本気だしていない・考えていないということ。プラス、きっとなめているということ。

中学卒業と共に親元から離れて暮らしていたことや帰国生であることも影響してか、ここまではスルッと上手く進んでこれてしまった息子。今回も同じような態度で臨んでいるように見えます。でも受験と就活と比べたらやはり就活のほうが大事な気がします。もっとコミットして欲しい。

 

ということで、私の親の面倒ということで来月一時帰国をしますが、同時に愚息の就活のサポートが出来たらと幾つか本を渉猟し、寄り添ってみることにしたという話です。

 

で、結局就活に親がでしゃばるかねえと冷ややかな目で見ていましたが、自分がそういうしゃかりきな姿勢で子どもの就活に参加しつつあるのかもしれないなあと思ったのでした。

 

Amazonで幾つか見繕ってみて2冊注文し、その一冊がこちら。

 

概要

本来四季報というのは株式投資用に、上場会社の情報をまとめたもの。

で、本作は四季報よりやや俯瞰的な視点で会社を含めた業界、地域などを詳しくまとめたもの。

 

就活目線を意識

子どもの就活用に購入したのはありますが、実際に読んでみて、学生の気になる情報をちりばめているように感じました。

 

飽くまで業界地図、業界の詳報でありますが、見開きで1業界を扱うのなか、右側の欄外に有力企業の平均年収と平均年齢などを書くとか。ここ、業界の名前が右上にあるとして、次に目がいく(いきやすい)ところかと。

 

また、冒頭に注目業界・業種というページが20ページほどあり、業界天気予想や関連業界、なぜ注目で時事情報とどう関連しているのかが詳しく書かれています。

 

加えて、見開きの左下には働く人の口コミというものがあり、これもまた学生を意識しているなあというのも感じました。

ただ、書かれているコメントはありきたり。プラスマイナスひとつずつコメントがあるのですが、プラスの話は大体が任せてもらえる、やりがいが持てる、ワークライフバランスがとりやすい、です。マイナスの話は大体その反対で、体質が古く前例主義、客の状況によって休日でも仕事が入る(=ワークライフバランスが保てない)とか。

 

まあ、楽で儲かる仕事なんてないわけで、特に若い間は辛いこともあろうかと思います。ならば本人が納得して入る以外にないかと。で納得するためには、納得するだけの時間とエネルギーを使う以外ないのかなと。これは受験やスポーツの競技会への準備と一緒ですね。

 

その他

業界ごとに出ているので、商材が複数業界にまたがると、幾つかのページで目にする企業がでてきます。そういうものに気付けるのはよいと思います。

 

一部業界は世界の趨勢も書かれており、日本のマーケットの一位でも井の中の蛙に過ぎないというのも分かりました。

 

おわりに

ということで業界地図でした。

これで愚息に何がアドバイスができるということはありません。私自身、難しいな。ってか細かすぎて読めねえよ、と感じました。

むしろ気になるところをつまみ食い的に眺め、そこで気になる会社・関連業界について調べるという辞書的使用がふさわしいのだと思います。

 

業界の主力プレイヤーの合併の歴史なども一部でており、へぇーと眺める部分もありました。

 

子どもが就職したら、今の会社を辞めて別の仕事してみたいなあーとぼんやり考えているので、その点でもちょびっと参考になりました。

 

評価 ☆☆☆

2026/09/18

どこか懐かしくユーモラス。中国の美人おばさんの煮え切らない心 |『金魚生活』楊逸

はじめに

2008年に芥川賞を受賞された楊逸による2009年の作品。

中国・日本と二か国をまたぐ話はどこか懐かしく、そして不思議と静謐で、小川洋子さんを思わせる静けさを感じさせる作品だったと思います。

 

こんなお話

うーん、悪くはなかったのですが、なんとも形容しがたいお話だった気がします。

 

主人公は未亡人の玉玲(美人!)。

夫は事故でなくなり、娘は上海出身の男性と結婚し日本で共働き。今回娘の出産につき彼女を助けるべく仕事を休職して日本へ向かうというのが筋。

 

玉玲は美人なので未亡人になってからも色々とモーションを掛けられ、仕事先の店長からもちょっかいを掛けられる。夫が興した会社で一緒に働いていた周はいい人だがイマイチタイプでないも、現在ずるずると同棲中。ただし娘には同棲のことは話していない一方、周からは娘に話せ(つまり再婚しようぜ)とせっつかれている。

 

他方、日本にいったら共働きで大変そうな娘をみつつ、このまま産後に中国に帰って大丈夫かと心配になる玉玲。娘の珊珊もそれを見越して「お見合いして日本人と結婚して、日本で孫の世話をしてよ」と言い始める。

 

これに「それも良いかも」と2-3のお見合いをしてみる玉玲も玉玲。ただ、言葉の壁があり、あるいは外国人を家政婦のように扱おうとする家もあり、結局どれも破談。

 

そうこうする間に周と一緒にコーリャン酒を飲み交わした日々が懐かしくなり、日本を旅立ち中国へ帰ってゆくという展開でした。

 

タイトルについて

主人公の玉玲が中国の仕事先で世話を任されていた金魚にちなみます。

なお、金魚は中国語では発音が金余と同じで、金が余る、つまり儲かるという縁起物になるそうです。

 

おわりに

ということで楊逸氏の作品でした。

中国の田舎と東京との差、美人の独り身はなにかと大変、といったリアルさを感じました。筆致の美しさと滑らかさは私の好みですね。また他の作品も読んでみたいです。

 

評価    ☆☆☆

2026/09/15

センス vs 努力を超えた友情のスポ根。流石の百田流エンタメ | 『ボックス!』百田尚樹

皆さん、こんにちは。

 

先日、当地で催された日本映画祭というイベントに参加し、一週間で9本程映画を視聴しました。

そのなかで、『人はなぜラブレターを書くのか』という映画を見たんですね

実話に基づいた創作のようでして、日比谷線脱線事故で亡くなった高校生に思いを寄せた女性の回顧物語とでもいうものでした。その亡くなった高校生はジムで懸命にボクシングに打ち込み、後に同ジムで一緒に頑張っていた先輩が世界チャンピオンにもなる、という話も物語に花を添えていました。

 

そうしたものを見た故か、積読になっていたボクシングが題材の本作を、たまたま当地の祝日に一気に読んだものです。

ということで本題に参ります。

あらすじ(AIによる)

高校のボクシング部に所属する鏑矢義平(カブ)は、怠け者ながら圧倒的なセンスを持つ天才肌。彼に憧れて入部した幼馴染の木樽優紀(ユウキ)は、地道な練習を重ねる努力型。正反対の二人は親友でありながら、互いを強く意識するライバルとして切磋琢磨していく。やがて挫折や過酷な試練、周囲の支えを経験しながら、リングを通じて真の強さと深い友情を掴み取っていく熱い物語。

 

はじめに

本日は祝日だったのですが、奥様が朝から友人らに会いにいくということで9時にそこまで車で送って、迎えに行くまでの4時間で上巻を、迎えに行って夕ご飯までの間で下巻を読みました!

 

年取って涙もろくなったのもありましたが、途中で二回ほど嗚咽。

 

友情、頑張ること、親しい人の死、その死者から託された夢、等々。私の「つぼ」が多かった話で、堪能いたしました。

 

才能とは?

まあ高校生のボクシングドラマなのですが、やはり目がいくのは、センスのないモヤシ君だったユウキが愚直に練習に励み、めきめきと強くなることですね。

 

サラリーマン的には、このあたりに希望を見出したくもなります。

素直であること、否、時に愚直であることで、学歴とか運とか、あるいは容姿とか、言ってしまえばそれまでのdisadvantageはひっくり返せる、という可能性を信じたくなります。また、運動はcause-effectの因果が出やすくPDCAを回すことで如実に差が出そうですが、こうした物語から凡人サラリーマンは「そう、凡人でも工夫しだいで戦える!」と信じたくなりますね。

 

他方ユウキの才能は今後も多角的に開花してゆくのですが、才能というものはセンスvs努力という単純なものではないことはカブとユウキの先生たちによっても語られています。本人自身が探求を続ける努力を果たすということは大事。そして仮にその才能が見つかったとて、今度は必ずしもそれが幸せとも限らない、というのです。

 

下巻のP.242-244辺りで語られていましたが、「タイガー・ウッズは凄い」と呟くオヤジたちは実はウッズ以上に才能がある場合も大いにあり得るという話がありました。ただ、その才能に気付くかどうか、本人や周囲がその「鉱脈」を掘り続けることが出来るかどうか。本文では、指導によってプロになり、ランカーとなるも、そのファイター型のスタイルの才能開花だった故、後に指導者のことも分からなくなる後遺症を負った例が挙げられていました。

なかなか難しいものです。

 

友情

あと、まんまと泣かされたのは、ボクシング部のマネージャーの丸野さんの死でしょうか。

 

丸野さん、もう登場したときから病弱で入院も多い、という前振りがあったので「ああ、これは途中で死んじゃうパターンだ」というのは天気予報ばりに予測がつきました。降水確率90%以上です。

で、亡くなったあと、選手一人ひとりのクセを書き綴ったノートの存在を母親からボクシング部の監督に伝えられたところで号泣。更に、以降の大会で選手が丸野さんの遺影に挨拶してからリングに上がるという部分で涙目。こういうのは弱いです。

 

そして、物語終盤の天才ボクサーのカブとユウキの二人三脚のトレーニングとかね。絶対勝つと約束する→実際には苦戦→ピンチに場外から聞こえてくる「勝ってくれるんじゃなかったのかよ」の声にはっとする→まさかの逆転勝利、みたいな筋。

 

分かっているのに涙してしまうのですよねー。

 

おわりに

ということで久しぶりの百田氏の作品でした。

トリックとか、驚かせるというより、上手にシーンを楽しませてくれる作品でした。映画化されたというのもむべなるかな。

友情系で泣きたいという方にはかなりの確率でヒットすると思います。

 

評価    ☆☆☆

2026/09/16

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