海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

死ぬと分かるのなら、その日あなたは何をするか? |『THEY BOTH DIE AT THE END』ADAM SILVERA

皆さんこんにちは。

娘が居所にいるとき、ふと娘の洋書(YA系)を読むことが何度かありました。そうした作品につきAMAZONの評価とかも併せて読んでいるうちに、AMAZONに色々な洋書のRecommendationが出てくるようになりました。そのうちの一作が本作。表紙のデザインが印象に残り、この本知っている?とケータイを見せて娘に聞くと、「てか、あるし」と。あらそうなの。

今や娘は日本に進学し、処分を委ねられた洋書ですが、まあ処分する前に読んどくか、という程度に手を出しました。というか居所で読み途中につき日本まで連れてきました。

 

で今年は、やれムスコ卒業だ、オレ手術だとバタバタしており、洋書は3カ月ぶり2冊目。一か月一冊くらい読みたいんだけどなあー。

 

 

はじめに

娘の洋書を拝借しましたが、なかなか設定がすごい本です。

ひとことでいうとディストピア+LGBTQってな感じ。

 

あらすじ

もう少し、どんな本かというと。

舞台は現代のニューヨーク。その世界ではDeath-Castといって、死ぬ日の午前0時過ぎに「あなたは本日逝去されます」とお知らせ電話がかかってくる世界。全く違うタイプの18歳のMateo(マテオ)とRufus(ラフス)はDeath-Castを同日受け取る。彼らは自分たちなりに最後の日を有意義に生き抜こうとする。

Death-Cast宣告者(通称Deckers)専用のアプリで知り合った二人は次第に心を通わせてゆき、遂にはまさかのRufusのカミングアウト(ストレートではないと)。しかし、ヒッキーであったMateoの心の氷を溶かしたRufusの優しさに触れたMateoは何だかRufusに惹かれてゆく・・・。

 

突込みというか、なんというか

いやあ、私は当初YOLO(You Only Live Once…古いclichéです)系の本だと思いました。死期を悟って有意義に過ごせ、と。ただ主人公は18歳で、まだまだ若く、たった一日でどうなるのか、と思っていました。

 

当初の持ち主である娘に読んでいる旨を話すと、「へぇーあれね。てかあれ結局LGBTQの話だからねえー」と早速のネタバレトーク。おいおい、そこまでは知らなくてよかったのに…。

 

で読了して、こうやって書いていると、確かに軟着陸が難しいと思った作者がまさかのハードランディングを選んだ?とでも言いたくなるような急転換が丁度本のハーフ辺りでありました。だって、本当に、ふと、ふと、カミングアウトだったのですよ。

 

でそっからは、初々しい恋人未満みたいなボーイズの淡い感情の描写が綴られます。まあそれはそれで、性愛を知らずとも、相手を思いやり、いとおしく思う気持ちが瑞々しく描かれていたと思います。

 

英語について

個人的な印象だとアメリカ英語は多義語・句動詞を多用する傾向にあると感じます。謂われれば「ああ、そうか」となるが、英国英語と比較すると個人的には取っつきにくいとの思い。別の言い方をするとbrokenすぎる?みたいな。

今回へぇーと思った単語は、以下の通り。out of character 柄じゃない、quote-unquote 俗にいう、no shit 当たり前だ、water down 骨抜きにする、bitch out 文句を言う、wild out 羽目を外す、freak out ビクつく。

もう全く憶えられる自信がありません。

 

おわりに

ということで米系YA小説でした。

個人的にはいまいちピンときませんでしたが、米系若者英語に慣れたい方とかには良いかもしれません。知らんけど。

 

評価 ☆☆☆

2024/04/22

 

YA系で私が最後涙目で半泣きになりつつ読んだのがこちら。子どもたちに優しくなれる。

lifewithbooks.hateblo.jp

 

 

シニシズム、あるいは偽善者の欺瞞を描く |『死者の奢り・飼育』大江健三郎

 

はじめに・思い出

大江健三郎氏の初期の作品。表題作の「飼育」にて芥川賞を受賞。

 

本作も再読するのはかれこれ30年ぶりくらい。大江健三郎氏といえば私が大学に入った1994年にノーベル文学賞を受賞した方。

名前は知っていたものの読んだこともなく、同賞受賞がきっかけで私も読んだものです。当時仲の良かった先輩は「当初はとんがっていたのに、障害のある子どもが生まれた途端ヒヨった文章になった」と評していたのが今も脳裏に焼き付いています。

 

印象

芥川賞受賞の表題作「飼育」を含む初期の短編をまとめたもの。

ほかにもノーベル賞も受賞。受賞理由はからっきし意味不明ですが、NHKの方の解説を読むと、どうやら現代日本社会を描いたから、ということ!? よくわからん。

www.nobelprize.org

www3.nhk.or.jp

 

ただ、本作を読んでありありと感じたのは、偽善へのシニカルな目線・退廃的ムード・諦めと閉鎖性、このようなワードが思い浮かぶ作品群であったと思います。

 

六つの短編

以下は作品の寸評です。

 

「死者の奢り」・・・表題作。解剖用死体を大型水槽からもう一つへ移し替えるというバイトをした「僕」。場面設定が特殊であるものの、得も言われぬ退廃的なムードが印象的な小品。

 

「他人の足」・・・未成年の脊椎カリエス患者を収容した一種の閉鎖病棟の話。退廃的な慰みを看護師に強要?しているような病棟であったものの、とある「新入り」大学生患者が皆を感化し良化していく。しかし、最後にこの大学生が何とかここを出ることが出来るとなると、もとよりいる患者を汚らわしいものを見るかのように突き放す。ここに善意の欺瞞の薄っぺらさが見て取れる。

 

「飼育」・・・とある隔絶された村に不時着した米軍飛行機。生きていた黒人兵を指示があるまでその村にとどめおく(まさに「飼育」)様子を綴る。牧歌的な交流が大部分を占めるも、移送される段になり、黒人が逆上し、最後はあっけない結末に。

 

「人間の羊」・・・占領下のバスでの出来事。米兵に屈辱的な仕打ちを受けた「僕」と、眼前では無抵抗の観客であるも、事後の「僕」に告発させようと躍起になる「教員」との偏執狂的やり取り。居合わせた当事者としては何もしなかった「教員」の第三者的物言いが鼻につく。これもまた「外野」の偽善的欺瞞が匂う作品。

 

「不意の唖」・・・上記の「飼育」を彷彿とさせるとある山村。今度は米兵とその通訳がこの村に訪れる。強い側についた通訳の高飛車な態度が次第に村人の気持ちを逆撫でし、遂に通訳は。。。ホラーチックな作品。

 

「戦いの今日」・・・朝鮮戦争時の日本で、米兵に脱走を唆すビラを配る兄弟。ちょっとしたバイト感覚のビラ配りも、脱走志望者が出てきてたじろぐ兄弟。引き受けたくない兄と、何とかしたい弟。結局かくまうことになるも、とある晩に脱走兵に潜むアジア人蔑視を嗅ぎ付けた兄は当の兵士をぼこぼこにして。。。

 

おわりに

ということで久方ぶりの大江作品でした。

とんがっていてなかなか面白かったです。他の作品もまた読んでみたいと思います。

 

評価 ☆☆☆☆

2024/04/18

ユダヤ教ルールブック!? |『七十人訳ギリシア語聖書』レビ記、訳:秦剛平

レビ記=ルールブック!?

さて、昨年から始めている聖書読んでみようキャンペーンですが、今度は旧約聖書レビ記を読了しました。

 

レビ記モーセ五書のひとつですが、ひとことで言えば、ルールブック的記述の網羅が印象的でした。

 

ルールの内容

今付箋の箇所を振り返っています。

 

印象的なのは食べ物の判断。

地を這うものは不浄、ということで爬虫類は食べてはだめ。これに触ったものは7日間は不浄。蹄が完全に割れ、反芻をする動物は食べても良い、そのいずれかが欠けていたらそれは不浄、とか。

 

ハンムラビ経典を源流とするといわれる「目には目を」の記述もこのレビ記の24章にあります。ただ単純にやられたらやり返せ、というわけではなく、「神の名を冒涜するものは必ず罰が下る」という枕詞があります。とすれば、「お前の神様、バーカ」と言いつつ殴られたら、当人は同じく罰として(神から)殴られるだろう、とでも言った意味あいになるのだと思います。

 

その他、一般的なルール、不倫はダメとか、貧しいものには施せとか、祭祀に関するルールとか、が細々ありました。女性の産後は不浄、生理の時は不浄等々も記載あり。

 

 

もう一つ

もう一つ驚いたことは、モーセの兄アロンの子である、エレアザルとイタマルが儀礼のやり方をミスって、一瞬のうちに神様に殺されるくだりがありました。

ある意味で神の前ではみな平等で、司祭につながるものでも特別扱いはされないという事でしょうか。あるいは、神の力の恐ろしさを後世にも伝えるためでありましょうか。ユダヤの神はツンデレのツンの時、ヤバいです。

 

おわりに

ということでレビ記でした。

今は居所に里中真知子さんの漫画を置いてきたので随走ならぬ髄読できません。

次回は民数記にトライします。

 

評価 ☆☆☆

2024/04/15

小川洋子氏の幻想的世界 with 動物 |『いつも彼らはどこかに』小川洋子

はじめに

小川洋子さんによる動物がテーマの短編集。2013年発行ですからちょい前のものです。

 

タイトルと主人公について

作りとしては短編集となっています。相変わらず不思議な物語を綴ります。

タイトルに動物が絡みますが、物語は時として重層的に進みます。

あらすじを書こうと思ったのですが、上記の重層性の関係で説明しきれんと思い、このようにバッサリやりました。

 

帯同馬・・・タイトルは『フランスの凱旋門賞で優勝が期待されるディープ・インパクト。慣れない土地への移動のストレスを緩和するためにピカレスクコートが帯同場として出国した。』という点より。主人公は(おそらく)大阪モノレール間のみ移動できる電車恐怖症の女性(職業;実演販売)。

 

ビーバーの小枝・・・主人公はとある作家。タイトルは、彼の翻訳を担当した外国人が翻訳の際にさすったという、ビーバーが表皮をキレイに食った小枝より。

 

ハモニカ兎・・・主人公は、とある村の朝食屋の主人の話。タイトルは、この男の村で開催されるオリンピック競技の開催までの日めくりのボードより。ここにかつてハモニカ兎という特産兎がいたという話から、この動物が日めくりボードになっている。

 

目隠しされた小鷺・・・主人公はとある私立美術館の受付係。タイトルは、ここに訪れるうらびれた修理屋で何をやってもダメそうな「アルルの女」が機敏に助けた動物から。

 

愛犬ベネディクト・・・主人公は若い男の子(大学生くらい?)。タイトルは彼の妹が可愛がる陶製の犬の名前より。

 

チーター準備中・・・主人公は動物園の受付で働く女。タイトルは彼女の失ったhがチーターcheetahに含まれていており、また彼女が好きな展示の主人のいなくなった「展示中」の檻だったことから。共有されない「喪失」の悲しみが痛い作品。

 

断食蝸牛・・・主人公はとある断食施設に身を寄せている女性。タイトルは、彼女が足しげく訪れた近くの水車小屋、そこで飼われている蝸牛と、彼女が入っていた施設の目的から。

 

竜の子幼稚園・・・主人公は身代わり旅行人のおんな。タイトルは、若くしてなくなった弟が通っていた幼稚園から。

 

ナチュラル・メイク的?表現

今回も、美しくも静謐に満ちた表現の花園にうっとりしたのですが、読中ひらめきました。小川氏の表現は、ナチュラル・メイク的表現だな、と。

 

通常描写というのは隠喩であれ直喩であれ、手を変え品を変え、時に複数の角度から物事を表すと思います(ひょっとして違う!?)。

でも小川さんの表現はこんな厚化粧ではないのです。もっとシンプルで美しい。あ、でも薄化粧というわけではないのです。そこにはきっと計算と試行があり、一番質の良い表現が意図をもって配置されているのだろう。

そして表現は適切に間引かれ、ミステリアスな雰囲気をまとうのだろう。

 

ああ、これって、(薄化粧でなくて)ナチュラル・メイクじゃないのか、と。という一人合点でした笑

 

幻想的世界

表現が適度に間引かれているせいか、最初の「帯同馬」以外、舞台がどこであるか分かりません。

 

特に幻想度が強いのが、最後の「竜の子幼稚園」でしょうか。身代わり旅行人なんて聞いたことが有りません笑 でもあったら素敵だなあとも思いました。最後に死んだ弟と再会するかのような出会いも幻想度を高めていたと思います。

 

また、学校に通わなくなった妹がドールハウス世界に没入する「愛犬ベネディクト」もちょっとした狂気を感じます。妹の没入に祖父も陰に陽にサポートし始める点です。

 

おわりに

ということで二週間ぶりの小川氏の作品でした。

今回も美しい静謐感に満ちた表現を頂きました。決して起伏が激しい展開ではありませんが、このワードチョイスあってのこの展開だと思っています。

 

ことばを楽しみたい方にはお勧めできる作品です。

 

評価 ☆☆☆☆

2024/04/14

余程のマニアではない限り、かなり役に立つ |『アウトルック最速仕事術』森新

はじめに

突然ですが、私はメールというものが嫌いです。

仕事の内容では、諸々の個人的合理化を積み重ね、やり方を変え、順序を入れ替え、マクロを作り、自分の仕事量は上司には教えられない位減りました。

ただ、メールだけはそうなりづらいのです。

 

役員宛てだとそれなりの文面とデータ、部長(拠点長・支店長)には構えてはいるけどより要点が伝わるシンプルなように。直属の上司だとブレットでも直接入力でもどちらかというとフリーフォーマット。

つまり、メールの打ち方や作り方に決まったやり方が作りづらいのです。結果一通のメールに1時間くらいも使ったりとかあったりで・・・。

 

本書の売り

どうにかならないかということで手に取ったのが本書。

本書のポイントは個人的には2点で、

  • アーカイブフォルダ作成、受信フォルダのTodo化
  • Outlookでのショートカットの多用化でマウス使用(及び移動)時間を削減

という所だと思います。

 

換言すると、Outlookの機能を十分に理解し活用することで、不要作業を減らし時短をしようというものです。

 

アーカイブ化実行:メンテ時間は削減、他は検証中

さて本書で絶賛されているのでアーカイブ化、実行してみました。

で、やってみた実感としては、確かにメンテナンス時間は削減されたと思います。これまで多くのフォルダを分け、多くの振り分けルールを作り、人の出入りに応じてルールを変更するなど結構面倒でした。

 

あとはメールをよく見るようにはなりました。これはメールに時間を取られる方向の要素ですが、状況を理解しておく上では良いことだと思います。

以前は、ああ年下君がやってるなあというCC案件は未読のままでエイっとDrag/Dropで別フォルダに移動し、そのまま放置というメールが大量にありました。

 

今回のアーカイブ化導入で要否を確認したうえでアーカイブフォルダに移動させるようにしたので、自然とよく読むようになった次第です。

 

ショートカットは暗記しましょう

次に、ショートカットの導入について。これは、Excel使用時に多くの方が覚えるかと思います。マウスを極力使用しないことに激しく同意するものなので、皆さん覚えましょう。

 

掲載ショートカットで私が気に行っているのがCTRL+Eで検索窓に飛ぶ奴ですかね。これはいつもマウスでクリックして移動していたので大分時間削減感があります。

 

他にも幾つか面白いショートカットがありましたが、ただ私は個人的にALTを使用したものを覚えており、ここから卒業するのに時間がかかりそう。

例えばメール送信はALT+S、送信者にメール返信はALT+H+RP、全員に返信はALT+H+RA。ALTを使用すると下線でハイライトしている文字を押下すればいいので明示的なのです。手数は多いけど。また押下キーもRAって多分Reply All だろうし、RPはReply Personnelなのかなあとか。分かりやすくない?。

 

個人的にはALT使用ショートカットから1タッチ削減するのが今後の目標です。

 

エトセトラ

他にも掲載した中で導入してみたのは、単純なEscを押してメールを閉じる、さらにあるメールを返信したら元メールも閉じるという設定、一画面にメールのみならずスケジュールを表示する設定、スケジュール確認要メンバーをoftファイルでデスクトップ保存(これから導入)というところ。

 

おわりに

ということで業務効率化の本を久々に読みました。

うちの会社はシンクライアントみたいな設定になっており、一部馴染まないテクもありましたがoutlookを避けてきた私としてはかなり参考になりました。他の類書も読んでもっと時間をかけずにメールをマネージしたいと思います。

 

入社して数年以降たったビジネスマンには参考になると思います。

 

評価 ☆☆☆☆

2024/04/12

 

洒脱な半藤氏の語りが光る |『歴史と人生』半藤一利

はじめに

齢90にて2021年に逝去された半藤氏。

いつかはその著作を読んでみたいと思っていました。そしてこの度某中古本屋で裏表紙も見ず、タイトルだけで購入した次第です。ちなみに本作は著者が88歳の時に出版したものだそう。すごいですよね。

 

第一印象は・・・

作品そのものの第一印象はちょっと残念、あーあー、という感じ。
というのも、本作はこれまでの著作集の良い部分などを部分部分取り出して、編者が「リーダーとは」とか「漱石について」などと章立てをしたものゆえ。

個人的には誤った理解でも良いから「直接」著者を感じたかった。編者の介入なくダイレクトに著者のエッセンスを吸いたかったのです。まあ選んだ自分がダメなんですが・・・。

 

良い部分も

とはいえ、とはいえ。

やはり瞠目するものが幾つもありました。

まず、日本語が骨太で美しい。

折々に俳句などを挟み、風雅でかつ洒脱な文章を書かれる方。筆者は歴史探偵というだけあって色々と博学なのですが、言葉にも歴史があります。どうやら万葉の時代はもっと荒々しく情熱的だったとか、そういう話にもへえーとなりました。日本語の起源や、万葉の世界、このあたりもいつか攻めたいところです。

 

次に良かったのは、明治の文豪の描写。

永井荷風の戦前戦中の徹底した戦争反対とその孤高ぶり、漱石の「学者ではなく著者として100年1000年単位で名を遺す」決意。

このようなことを読むにつけ、これは荷風漱石も読まねばならないなあ、と思わせるのです。

 

そして最後に反戦への思い。

やはり半藤氏は戦争経験世代なので、日本人という集団になると流されやすい国民(どこもそうなのかな?)がすっかり戦争を忘れてまたぞろ9条を捨ててしまうのではないかと危惧。

これは深く膝を打った点でした。

マスメディアやYoutubeもそうですが、お金という資本中心の世界で動いています。正しいことを報道するよりも、より視聴者・スポンサーが集まる見せ方をするわけです。自分が豊かになり、自分が気持ちよくなるために。

例えば戦争主義者のインフルエンサーが政治家、よしんば首相になったらどうか。「いやあ、それとこれとは違うでしょ」というのが常識的な反応。でも私自身は自信を持てません。戦争を経験していないから。

どれほどあっという間にあれよとあれよと戦争へと突き進んだのか、半藤氏は体感していたのです。このあたりもまた興味深いポイントです。

 

おわりに

ということで初半藤作品でした。

自称歴史探偵という半藤氏ですが、歴史が好きになりつつある私には、半藤氏は逝去した年の離れた憧れパイセンみたいな感じ。でも全然堅苦しくない。半藤氏が好きだという永井荷風夏目漱石含め、今後読んでみたいと思います。

 

評価 ☆☆

2024/04/11

 

「ギャング」のアクション、今度は誘拐!? |『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。

月曜日に手術をして頭蓋骨をこじ開けてバイパス手術をして、火曜日に覚醒しました。まだだるいのですが、ゆっくり元気になって、もう少し学費を稼ぐために頑張りたいと思います。

 

はじめに

伊坂氏の初期作品。「陽気なギャングが地球を回す」の続編。

 

もう、これしか言えない

相変わらず、面白い!

もうこういう作品には説明は不要。絶妙で洒脱な会話とユニークなキャラが縦横無尽に動き回る。

 

あらすじ

人間嘘発見器の成瀬、大言壮語の演説家の響野、掏摸の天才久遠、体内時計をもつ雪子。4人の「ギャング」

今度は成瀬(市役所の公務員)の部下の大久保の彼女が焦点に。彼女の父親はやり手のドラッグストアチェーンのワンマン社長。彼女と結婚するにはどうするべきかと思案して成瀬に相談していた矢先に彼女が誘拐された。じつはその誘拐犯(彼女の父親に薬屋を潰された)もへっぽこ誘拐犯で誘拐された彼女も彼らに同情する始末。

そして成瀬率いる4人組がこの誘拐事件に介入する。つまり今回は強盗というより誘拐。

 

気づいたこと

「巨人の肩の上に乗った小人は、巨人より遠くが見える」という文言(P.25)が出てきました。これは読書猿氏の作品「独学大全」に書いてあったのを思い出しました。前人の積み上げを吸収し更に先に行こう、みたいな勉強法の話でした。もちろん、ここではそんな高尚な話ではないですが笑

 

あと、雪子が派遣で働く会社の女性隣の同僚に、パソコンのロックを開けた途端「あ、課長が読んでましたよ」と離席させるというテク。これは昨今ソーシャルエンジニアリングと呼ばれる情報搾取の方法の一つ。名前は異なれど人を騙す方法は昔からあるのだなあと。

 

おわりに

ということで伊坂氏の初期作品「陽気なギャングが地球を回す」の続編。

映画化もされたんですよね。本だけでも十分面白いけど映画も見てみたいですねえ。

 

評価 ☆☆☆☆

2024/04/07

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