海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

ショーワの牧歌的な父子のおはなし |『岳物語』椎名誠

皆さん、こんにちは。

今月は本を読むペースがググっと減りました。言い訳というわけではないですが、家内が近くにいると彼女と話している時間が長いこと長いこと。

自宅勤務が週二日認められているのですが、邪魔しないように気遣って貰ってはいるものの、やはり互いに喋りかけることが多いと感じます。

まあ、お互いいつまで生きられるかなぞは分からないので、今のうちにたっぷりと喋っておくということですね。

 

ということで本題に参ります。

あらすじ(裏表紙から)

山登り好きな両親が山岳の岳から名付けた、シーナ家の長男・岳少年。坊主頭でプロレス技もスルドクきまり、ケンカはめっぽう強い。自分の小遣いで道具を揃え、身もココロもすっかり釣りに奪われてる元気な小学生。旅から帰って出会う息子の成長に目をみはり、悲喜こもごもの思い出それをみつめる「おとう」。これはショーネンがまだチチを見捨てていない頃の美しい親子の物語

 

ひとこと

高校受験で日本に帰ると決めた日本語の拙い我が家の子どもたち。彼らに日本語を慣れさせるために本を渉猟し、夏の読書感想文課題図書などをネットで検索して出てきたのが本作。

確か自分が小学生?だったころにも課題図書に指定されていた気がします。

 

残念ながら子どもたちに読み与える時期を逸し、今更ながら父親たる私が手に取って読んだものです。でもこれ、多分親が読んでもよい、いや、親こそ読んでおいたほうがよい本、な気がします。

 

子どもらしさの記録

子どもがまだ「子ども」である瑞々しい態度で父親と接する。そこがよろしい。

子どもらしさの片鱗を残しながらも、自分なりに自我を形成してゆき、時に反発したり、親の言うことを聞かなくなったり。その「まだら」の状況を上手に表現していると思います。

 

子どもとの時間

あと、子どもを子どもらしくさせておくという一つの事例として興味深く読みました。

 

本作は40年以上前の作品。岳君は1973年生まれで私とほぼ一緒ですが、当時の武蔵野市?あたりで既に教育は過熱気味。椎名氏はそういういわゆる幼児教育・英才教育は一切施さず岳少年を小学校に投げ入れたそう。

その甲斐あって!?プロレス好き・喧嘩が強い・釣りが大好き、な少年に育ったとのこと。

 

こういう牧歌的な子育てはいまはなかなかしづらいとは思います。というか、現代は親は子どもと過ごせる時間が本当に少ない気がします。

 

うちの会社の駐在諸氏では、上の子が中学受験の時に母子とも日本に帰国・中学受験、というパターンが多いよう。昼間に働いていることもあり、父親が子供と過ごせる時間は昭和と変わらないかもしれません。土日も家にいないのだと場合によっては昭和以下か。

 

あるいは日本にいても、小学生低学年・中学年から塾通いを始める家庭も多いでしょう。そうすると家庭で親子過ごす時間はかつてと比べると少ないと言えるかもしれません。

 

中学受験で得るものは少なくないとは思いますし、成功すれが親は子に相応の将来を築いてあげられるのかもしれませんが、中学受験をした私としなかった子どもたちとを比べると、わたしは子どもと一緒にいる時間がもてて幸せだったと思います。

 

椎名氏の作品はまさに家庭での父子の会話で、しかもそれがありふれた風であるのが、ある意味豊かに感じます。

 

おわりに

ということで、椎名氏の作品でした。

本作が現代でも読まれるとすると、ノスタルジーとともに読まれるのかもしれません。人によってはおとぎ話、みたいかも。

 

でも私は、いいなあ、と感じてしまいますね。

子どもの子どもらしさを愛おしく思いつつ読める逸品だったと思います。

 

評価 ☆☆☆

2026/07/10

被災現場の現実、悲しみ、優しさ、宗教、釜石 |『遺体』石井光太

皆さん、こんにちは。

 

家内が居所に戻り、仕事も忙しく、ブログからやや遠ざかっておりました。

これまで掃除・洗濯・料理と、当然自分がやっていたのですが、家内が肩代わりしてくれます。有難いことこの上ないですね。

ただ、今後は週に一回は私のマズ料理を作ることで合意しました。おいしくないのですが、料理は面白いと思います。いろんな意味でマネジメントだなあとつくづく感じます。

 

ということで本題に参ります。

あらすじ(裏表紙から)

あの日、3月11日。三陸の港町釜石は海の底に沈んだ。安置所に運び込まれる多くの遺体。遺された者たちは懸命に身元確認作業にのぞむ。幼い我が子が眼前で津波にのまれた母親。冷たくなった友人……。悲しみの底に引きずり込まれそうになりながらも、犠牲者を家族のもとへ帰したい一心で現実を直視し、死者の尊厳を守り抜く。知られざる震災の真実を描いた渾身のルポルタージュ。

 

遺体、喪失、気持ちと宗教

311後の釜石の様子に迫るノンフィクション。

街の民生委員、医師、歯科医師、市役所員、市長等、震災時の遺体の処理に奔走した人たちの回顧と本音が綴られます。

 

震災、なかでも遺体処理を巡るものが多いですね。

とはいえ、タイトル以上に物語は広がりがあるように感じます。昨日まで顔を合わせた人が今日はもう息をしていない事実。子どもを救えなかった親の後悔、行方不明の家族を捜し歩きようやく見つけた家族の土気色に変わった亡骸、早く火葬して安らかにしたいのに稼働しない火葬場、被災している市職員に不満をぶつける遺族等々。

 

そうした辛く、厳しい状況のなかで、葬儀屋で勤務経験のある民生委員の千葉さんが遺体安置所で果たした役割は大きいのでしょう。

遺体に寂しくないかと話しかけ、遺族が迎えに来たよと話しかける。遺族の傷はいえることはないのでしょうが、自分を責めるだけだった遺族たちの心をやわらげ、次のステップにつなげる、優しいことばの数々。

私も読みながら涙しました。

 

遺体に話しかけて何になる? 仕方なかった、残念だけど、という以外何もないのでは。

昔の自分だったらそう言っていたと感じます。

でも、喪失体験というのは論理で解消されるのではなく、感情や気持ちの整理がつくかどうか次第なのではと考えます。つまり感情は論理なんか軽々と超えてくる。だからこそ優しさや気遣いは感情に響くのだと思います。

 

同様に、宗教というのも論理ではなく、ある意味で感情に働きかけるものなのかもしれません。あるいは宗教者の優しさが前提で成り立つものなのかもしれません。

お経をあげる、供養するという行為。これは死者を弔うのと同時に、生者を(こそ)癒すことそのものなのでしょう。

 

作中で仙寿院の芝﨑氏が仏教会を組織するように動きますが、宗派とか細かい考えとかを抜きに大きな目的のために動くこと、人々の安寧の為に動けること、こうしたことこそ宗教者の素晴らしい資質であると感じました。

こういう方々の活躍を見ると、宗教は胡散臭いというのではなく、一定の果たすべき役割があるのだなあとつくづく感じます。

 

おわりに

ということで石井氏のノンフィクションでした。

生のありがたみをひしひしと感じました。そしてその生を無駄にはできないなあと思った次第です。

 

石井氏のノンフィクションは個人的にはかなり好きですね。また他の作品も読みたいと思います。

 

 評価 ☆☆☆

2026/07/05

4世代8人が繰り広げる家族騒動! |『平成大家族』中島京子

皆さん、こんにちは。

 

6月結構体を動かすことが出来ました。おかげで単月で3キロくらい体重が落ちました。上出来。

ただ、最近はメンタルが弱くなった?のか、悩み事があると夜の寝つきが良くない。

この前も仕事のことでちょっと困ったなあーということがあり、そういう思いの下で眠りにつくと、3時に目が覚める。そしてもう寝れない。

で仕方なく手に取ったのがこの本。

 

50を超えて眠りが浅くなりましたが、睡眠の仕組みも勉強しないといけないですね。

 

ということで本題に参ります。

あらすじ(裏表紙から)

三十路のひきこもり息子と90歳過ぎの姑と共に、静かに暮らす緋田夫婦。ある日突然、破産した長女一家と離婚した次女が戻ってきて、四世代8人の大所帯に! 物置に閉じこもる孫、離婚後に妊娠が発覚した次女、戦中の記憶と現在を混同する姑…… 平穏を愛する当主・龍太郎の思いをよそに、次から次へと騒動が押し寄せる。悩み多き一家の姿を軽妙に、時にシニカルに描く痛快家族小説。

 

ひとこと

直木賞作家中島氏の2008年の作品。

軽妙で洒脱な家族小説ですね。瀬尾まいこ作品よりも感動や深さはないのですが、気軽に楽しく読めました。エンタメ小説ですね。

 

人物造形が秀逸

いやあ、良かったです。

タイトルの通りで家族小説だろうってのは分かりましたが、予想を超えて面白かったです。

 

当主龍太郎以下、姑、妻、長女、次女、長男と、どれも性格がかなり異なり、それがきちんと個性を持って描かれていたのが良かったと思います。

長女の夫やその子、果ては姑のヘルパーさんまで出てきて、これまたそれぞれ異なった造形。

 

作品を豊かにするのは、この家族は全員が全員何とも言えない苦境に陥っているということでしょうか。

長女一家は破産、次女は離婚+元夫でない男の子を妊娠したことが発覚、長男は中学からの引きこもり、妻は細かいイライラの積み重ねに我慢の限界。

そしてこの状況にかなりの鈍感度をもって対処する当主龍太郎。そのギャップもよろしい。

 

加えて、はじめと終わりは龍太郎ですが、それ以外の章は別々の人物の一人称語りをさせることで一層造形の違いが引き立ったと思います。

 

最後はまあハッピーエンドなのでしょうね。

 

個人的にはやはり男子の言動にほろっと来るところが多かったですね。長女の夫の仕事観の独白、長男の引きこもりに対する感覚、孫の公立中学でのサバイバル方針等々。どれも本当にどこかの男子が喋っているようにリアルだったと思います。

 

おわりに

ということで久方ぶりの中島作品でした。楽しく読める一冊でした。

今後もぽつぽつと読んでいきたいです。

 

評価 ☆☆☆

2026/07/02

礼儀正しさで組織・人間関係・自己を変える |『「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』クリスティーン・ポラス 訳:夏目大

皆さん、こんにちは。

 

とうとう家内が居所に戻ってきます。たぶん今週末か来週か。

私の両親の面倒を見てもらっていますが、母親の4月の骨折後の経過が素晴らしく良いというわけでもなく、肘から手首辺りまで入れていたピンを抜くという手術はお預けになりました。経過が良ければ7月初にこれをやって、その後を少し見届けて戻ってくる予定でした。

 

とはいえ、大分母も動けるようにはなったということで、きれい好きで細かい嫁vs超大雑把の元お嬢様姑のイザコザがおきないうちに、一旦家内は居所に戻るということになりました。あとは母はリハビリだけで、診察は5週間に一度とのこと。次回の検診時は母が一人で行き、子ども達のどちらかを実家に行かせて認知症の父の様子を見ることで収まりそうです。

そして、今秋、おそらくそのピンを抜く手術に我々夫婦が再度一時帰国することになりそうです。

 

ということで本題に参ります。

概要

ビジネス書にありがちな釣り的なタイトルですが、かなりの意訳。

Think Civilityという原題はおだやかに訳せば「礼儀正しさについて考えよう」ですね。

ただ、内容としてはこの礼儀こそが組織カルチャー、その組織を構成する個々人に大切なことだ、と述べる本です。

 

無礼は不幸をもたらす

ということでタイトルはやや気に食わなかったのですが、内容は非常に素晴らしいものでした。

 

先ずもってセンセーショナルだったのは第二章。

無礼のコスト、です。同僚の健康を害する、会社に損害をもたらす、周りの思考能力・認知能力を下げる、等々です。

この無礼(不機嫌、苛立たしい態度等)の怖いところは、その様子を見ているだけの第三者にも影響が大きいとのこと。例えば金融機関の窓口で受付をしているとき、奥の平場で叱責されている様子をみると、この銀行はまずそうだ、という印象を与えるらしい。結果取引につながらない。こういうのは小売りの現場では数多くありそうですね。

 

で、です。私はいま、窓際なのに男お局様的ポジションで大体不機嫌で下に当たり散らしている、そういうキャラです。年齢もあって、そして上司は大概大分年下の駐在で私のような古い人(状況を説明できる人)に頼らないと業務が遂行できない。いきおい、私のようなちょっと態度の悪い人間がのさばるという構図です。

 

私は下の人のデキなさ加減にいつも不機嫌なのですが、そういう態度が、周りにも悪影響なのですね。周囲の能率が落ち、統計的にはわざと仕事をサボるようにもなる人もでる、ということらしい。

 

・・・・部下育成で悩んでいる私。ここにきて、いい人(礼儀正しい人)になるしか道はない、とハタと気づきました。図示する、指示をだす、あるいは任せてみる、考えさせる、色々やって、本も色々読んでみて、それでもだめ。部下指導の書籍の数々には「そんな聖人君子みたいになれない」と評しました。

しかし、唯一残された道は、結局、礼儀正しく対応する、それで変化を見る、と思うに至りました。

 

思えば、そもそも大体不機嫌気味なのは、自分はもっと認められてしかるべきだという氷河期の乗り遅れ平社員のルサンチマン的怨念の情もあったわけです。

でも、そういうのも、きっと意味がない。出世は無理だろうし、地域本部も上司も動かせないけど、少なくとも自分のカバレッジと自分の部下だけはきちんとしてゆこう、と思うに至りました。

 

ちなみにですが、無礼なのに出世している人っていますよね。あれについては筆者は「そういう人は礼節を持っていればもっと楽に出世できたはずだ。大変な努力と無礼でそこまでやってきたと考えるべき」という趣旨の話をされていました。なるほどね。

 

礼節の効用

その正反対ですが、礼節をもって仕事をしていると、周囲から応援してもらえる、場合によっては昇進する、ということですね。

ああ、だから昇進していなかったのか、と今更に気づく。

 

ただ、昇進するとかしないとか関わらず、自分の無礼や不機嫌で周囲に害があるとすればやっぱり嫌ですね。それだけでも礼儀正しい人間になるモチベーションになると思います。そして自分が礼儀正しいことで他人の仕事がうまくいくとしたらそれは喜ばしいことですよね。

 

おわりに

ということで、礼節で自己を変えるという本でした。

当然ですが、これは会社だけではなく、妻・子ども、そして折り合いの悪い母親等家族にも同様のことが言えるのだと思うに至りました。こういうのがいちいち足りなかったのがこの50過ぎのオッサンが今更に気づいたことです。

 

一朝一夕には変わらないとは思いますが、これをきっかけに無礼な人間、やめたいと思います。三カ月に一遍くらい再読したいです。

 

 評価 ☆☆☆☆

2026/06/29

アーサー王亡き後のブリテン島。民族浄化、記憶の喪失、そして愛 |『忘れられた巨人』カズオ・イシグロ、訳:土屋政雄

あらすじ(裏表紙から)

遠い地で暮らす息子に会うため、長年暮らした村を後にした老夫婦。一夜の宿を求めた村で少年を託されたふたりは、若い戦士を加えた四人で旅路を行く。竜退治を唱える老騎士、高徳の修道僧……様々な人々に出会い、時には命の危機にさらされながらも、老夫婦は互いを気づかい進んでいく。アーサー王なきあとのブリテン島を舞台に、記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描くブッカー賞作家の傑作長篇。解説/江南亜美子

 

ひとこと

なんとあのカズオ・イシグロがファンタジー!?

竜とか鬼とか魔法とか…。それもそのはず、物語はアーサー王伝説を下敷きにしています。しかし、テーマとして底に横たわるのは記憶と愛。

個人的に記憶とは自我・アイデンティティの根本だと信じて疑いませんでした。が、本作を読んで、忘却がために平和が訪れることがあると理解しました。

見かけ以上に深いお話です。

 

老夫婦+3の物語

基本は記憶の薄れてきた老夫婦のお話。

ところがよくよく読むと、記憶が薄れるという病魔が村中で広がっているという。その中を押して、随分前に家を出て行ってしまった息子に会いに行こうと旅に出る夫婦。

 

本作、ブリテン島を平定したアーサー王伝説の二次創作的なお話でもありますね。アーサー王亡き後のブリテン島の不穏な動き(ブリトン人とサクソン人との諍い)が描写されつつ、鬼やら魔法やらが平気でポンポンとでてきます。

 

そしてアーサー王伝説をお読みになったことが有る方はご存じ、ガウェイン卿も登場。私が読んだアーサー王物語では、颯爽としていてお強い方でしたが、年老いて鎖帷子も体に重く、さらには不平不満もぶつぶつと、騎士の面影が大分消えています。ま、それはそれで味がありますが。

 

老夫婦と道中で出会った謎の戦士(メチャ強い)、またその出会いで同伴することになった少年、これら全部合わせて基本五人で物語は進行します。

 

ミステリーではないですが、当初は予想もしなかった結末でした。

 

夫婦とは

でも、この物語で一番の見どころはやはりこの老夫婦の愛でしょう。

終始仲睦まじい様子の老夫婦でしたが、中盤以降、夫婦には何やらよろしくないことが過去にあったことが示唆されます。

 

そして結末近くで、アクセル(じいさん)と船頭が話すシーン。記憶がなくなる疫病のためにうまくやってこれた夫婦であると読めたわけですが、その後アクセルはこういうのです。

「いま思うのは、何か一つのきっかけで変わったのではなくて、二人で分かち合ってきた年月の積み重ねが徐々に変えていった、ということです。結局それがすべてかもしれません。ゆっくりしか治らないが、それでも結局は治る傷のようなものでしょうか。」(P.471)

 

夫婦仲は良くないながらも、何とかやってきている方には是非読んで欲しい部分です。

 

そして、物語を通して、自分のかつての夫婦仲を思い返しました。ひどい時もありましたし、離婚を考えたことも一度や二度でもなく、子どもの前で醜態を見せ合ったこともありました。

何とかつながって、いまこうやって改めて絆を強めている今日この頃ですが、アクセル氏にもろもろ激しく同意しつつ読みました。

 

おわりに

ということでカズオ・イシグロの小説でした。

ファンタジーをベースに、民族の争いや夫婦愛を織り込んだ、胸に響く作品だったと思います。

奥さんをもっと大事にしたいと改めて思いました。

 

評価 ☆☆☆☆

2026/06/28

下町職人と独居老人のでこぼこコンビの連作短篇 |『政と源』三浦しをん

皆さん、こんにちは。

うちの会社はもうすぐボーナス。いやあ、嬉しいなあ。いくらもらえるんだろう。

悲しいかな、生活費が掛かりすぎており、ボーナス月(つまり今月)以外は大体が赤字。つまりボーナスで何とか命をつなぐ、と。

FP的には非常にunhealthyですが、子どもの学費のピークを思えばまずまずかなあと。上の子が卒業したら赤字月がもう少しへり、下の子が卒業したら多分赤字月は数カ月だけになる見込みです。

あとは私がやらかしたように留年とか大学院進学とかなければ、あと3年半。頑張って働きたいと思います。

 

それでは本題に参ります。

あらすじ(裏表紙から)

東京都墨田区Y町。
つまみ簪職人・源二郎の弟子である徹平(元ヤン)の様子がおかしい。原因は昔の不良仲間が足抜けすることを理由に強請られたためらしい。それを知った源二郎は、幼なじみの国政とともにひと肌脱ぐことにするが――。
弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。
そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚!

 

ひとこと

2013年発表の三浦しをん氏の作品。

73歳の老年コンビ国政と源二郎の繰り広げるほんわかツンデレ的ドタバタ短篇集。

一生現役のつまみ簪職人・源二郎(男やもめ)と、対照的な暇を持て余した引退老人(奥さんに出ていかれた)のでこぼこ2人組。仲がいいのか喧嘩してんのか、大人なのに子供っぽいっていうか。

下町と職人、隅田川のほとりという情景が印象的な短篇集ですね。

 

普通におもしろい

しっかり面白いし、下町の情景や職人の生活というのも面白い。

ただ、またこういうと申し訳ないですが、ひねりがない、かもしれません。

 

安心して読んでいられる下町物語で、NHKあたりで20分程度の連続ドラマにでもなりそうな雰囲気でしょうか。

 

主人公の国政と源二郎、ともに73歳とのことですが、今日び73歳はまだ若い部類ではないでしょうか。「来年の桜を見られるのか、俺たちは」という科白も、「まあ多分見られるんじゃないですか」と心の中でちくりとやりたくなります。

 

あと、二人はとかくぶつかるのですが、誰がどう見ても国政の口下手・説明不足・謝らないのが原因。奥さんが出ていくのも当然です。自分の非を認めない人は、読んでいるだけでちょっと苛立ちましたww

 

おわりに

ということで三浦氏の連作短編でした。

三浦氏は伝統芸能とか、本作のつまみ簪職人とか、ちょっと変わった職業に光を当てるのが上手ですよね。他の作品も渉猟して参りたいと思います。

 

評価 ☆☆☆

2026/06/22

立ち直る中年男性。アイスランド作家の作品 |『HOTEL SILENCE』 Auður Ava Ólafsdóttir

皆さん、こんにちは。

 

今更ですが、手書きの日記・メモの進捗(使用冊数)が今年は大幅に減っていることに気付きました。

例年ですと一年で2-3冊程度たまります。大体毎朝、前日の反省とその日のToDoとやり口・手順などをまとめる手筈です。まあノートの使用数が少ないというのは、悩みが少ない、あるいは日々の生活で手を抜き始めた(ナリに任せた)、あるいは反省する間もないくらい忙しい、かでしょうか。

どれも部分的にそうだなあ、というのがありますが、もうひとつ。この問わず語りで気持ちを吐き出しいてる部分もあるかもしれません。

 

本ブログは読書の備忘ではありますが、読書はもはや生活の一部です。そうした日々の気持ちも一緒に綴れたらよいなあと個人的には思っています。

 

それでは本題に参ります。

 

あらすじ(By AI)

人生に絶望した男性の再生を描いた作品。

離婚と娘が実の子供ではない事実を知り、生きる気力を失った主人公ヨーナス。彼は娘に発見されるのを避けるため、工具箱を手に戦争の傷跡が残る異国の地へ旅立ちます。寂れた「ホテル・サイレンス」で自殺を図ろうとしますが、現地の人々と触れ合い、彼らの傷を修復していく中で、自身の心も癒やされ、再び生きる希望を見出していきます。

 

ひとこと

本好きの親戚から借りたまま半年以上手元にある本。2月の旧正月の時に『まだ読んでいないの?遅い!』とちょっとキレられました。

 

で読みました。希死念慮を持つ主人公が死地へ赴き、生活しているうちに回復しちゃった!みたいな、あれれ?っていうお話。普通かな。

 

そう簡単に回復するのか?

ということで、アイスランドの作家さんの作品。

アイスランド文学賞受賞作品。すごいんだかどうだか。

 

奥さんと離縁して、その際捨て台詞的に娘はあなたの子じゃないと告知された主人公。養老院に入る母親のもとに通いつつ、自営の会社を営んでいる模様。

で、どういう経緯かははっきり書いていないけど、もうダメだと思ったんでしょうね。

昔書いていた日記と工具箱とともに紛争地帯に飛び立つ。

 

その紛争地帯では人も動物も多くの人が五体満足ではない様子。その地で道中『休暇で来た』という主人公に周囲は奇異の目を向ける。滞在先のホテルで実は手先が器用だ(工具箱もあるし)ということがバレて、ホテルの手伝い、もとい従業員みたいになった主人公は周囲の役にたつうちに何だか回復してきちゃうというお話。

 

で、この主人公の日記というのが、ティーンの時からつけているもので、一緒に寝てくれた女の子のことが綴ってあるというもの。もちろん元奥さんのパートもあり、どこで致してしまった(野外!)とかもばっちり。そういうのを自殺を望む人が持っていくんですかね。あるいはこういうものを放って死ねない、ということでしょうか。

 

ついでに言うと、最後にこの紛争地帯出身の女優さんなる人とワンナイトを決める主人公なのですが、もう最後は何だか分かりませんでした。

 

前半は暗くてよかったのですが、紛争地帯が架空の場所で現実感がなく、回復しちゃった主人公にもちょっとあっけに取られてしまいました。そのあたりの恢復のきっかけが良く分からなくて、不完全燃焼感が漂う読書でした。

 

おわりに

ということでアイスランドの作家さんの本でした。

親戚には、「途中までは結構好きだったけど、終わり方が嫌い」と伝えておこうと思います。ただ、人から本を借りるとこういう新たな出会いがあるから良いですね。

 

評価 ☆☆☆

2026/06/22

 

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