皆さんこんにちは。
年末になると当地ではお休みを取る人が増えます。いわゆる有給消化です。
日本にいたとき、確か有給持越しは40日くらいできた記憶がありますが、ほとんど有給など使えず、毎年付与される有給はどぶに捨てるがごとく期限切れとなっていました。
東南アジアの果て、うちの会社では有給持越しは10日(少なっ!)。当地では、年次で与えられる有給は標準的に10日から20日程度ですかね。年末は、皆さん失効を避けるべく持越しできない部分を必死に使い切りますね。という事で職場では「有給ちゃんと使ってる?」「年末どこに行くの」みたいな話題に花が咲きます。
隣に座っているおばさんは、来週シチリア島に飛び、そこから船でチュニス(チュニジア)に行くそうです。いいなあー。気分はカルタゴのハンニバル将軍ですね。ちなみに彼女はイスラエルに行く予定も、この紛争で泣く泣く行き先変更ですって。
私もこじんまりとバンコクに行ってこようと思います。バンコクから電車でマレーシア(ペナン、クアラルンプール)へとズンズン下ってくるという一風変わった旅行を企画中です。
概要
金融機関の収益性を再考する本。
所謂ROEのみならず、バーゼル規制に基づくROE、さらには諸規制も展望する包括的な作品。
金融機関に関連する人以外はほぼ読まなくてよい本。
ということで、以下は私の備忘となります。今回は読み飛ばし下さい。
ひとこと
バーゼルIII以降の諸規制を踏まえた収益管理を提唱するのが本作です。
財務会計上のROEも横にらみしつつ、RwAを分母としたROE(税引き後利益/RwA)をも確認、さらにはLCRやNSFRはじめRAFなども包括的に目くばせ。最後はKPIを越えてBSC(バンクスコアカード)まで見ようという野心的な展開となります。
バーゼルIIIの確認にはよい
個人的には、良く分からんバーゼルIIIを再度確認するには良いかなと思いました。
とりわけ、管理会計・収益管理をしている人間として、最近聞くようになったRAF(リスクアペタイトフレームワーク)とかRwA(Risk-Weighted Asset)など、確認しておいた方がよいけどついつい後回しになっていたことを勉強出来てよかったです。頭の中がすっきりしました。
同様にLCRやNSFRなど、うちでは市営部門やリスク管理部門が管理している内容も、収益管理としてレシオの増減とROEの増減を絡めて考えている箇所は良かったと思います。
あ、あと、ROEやRoRwAをデュポンシステムを使って分数式に分解し、収益性の分析をするのも参考になりました。
大風呂敷かしら
ただ、こうしたものを最後KPIやバランススコアカードに落とし込む。加えてデーターマネジメントまで踏み込んでBIまでばっちり決めるってのはちょっと風呂敷広げ過ぎかなって思いました。
いや、アイディアはいいんです。出来たらすごいいいと思います。が、東京の本部の子なんて(というか役員もそうですが)、3-4年もするともう転勤や異動でいませんからね。筋の通った骨太なバランススコアカードとか、できませんよね。総論を東京で作成し、それに沿った地域バージョンを地域本部が作るぐらいが関の山。
するとどうなるか。
地域統括はまあ上を向いて歩いていますから、よほどのことが無い限り「平仄を合わせて」云々で、地域独自色は出しません。このあたりで数字だけが独り歩きし始め、場末の拠点の特殊性なぞは鑑みられなくなり、一律ドカンの予算・KPIが示達され、モチベーションダダ下がりとなります(我が拠点の現状)。
また、システムのことも一定の理解のある方ってそもそも多くなさそうです。
重複を避けて、データの定義とかしっかりしたシステム群に少しづつでもなればいいですよね。そしたらEUC環境もキレイになり、各拠点から収益性管理を自律的にできればベターです。実態は本部に勘定系システムについて不具合を照会しても、システム子会社に問い合わせるというだけですからね(その手間は不要じゃないかってね。直接やり取りさせてくださいと)。
ということで、バランススカカードまで落とし込む。データ・ガバナンスも併せて高度化しちゃうというのはかなりナイスアイディアです。が、小ぶりな会社でトップがキチンと勉強し、さらに実行力もあればできると思います。
おわりに
ということで、金融機関で収益管理をしている方にはかなりためになる書籍だと思います。
経営企画や企画業務に携わる方でも、関連規制の流れはもとより、リスク管理の考えや指標の中身まできちんと理解してかなければならないと思いました。
あと、引用されていた内容から、谷守正行氏を知りました。業務の更なる高度化のために今後読んでみようと思います。これは貴重な出会いでありました。
評価 ☆☆☆
2023/11/20