海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

データを使った、正しい世の中の読み解き方!(極めてオーセンティック)―『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』著:伊東公一朗


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きっかけ

ウチの会社はどうすればよくなるか、どうすれば収益が伸びるか、どうすれば利益率が高くなるのか、何が弱いのか、どこを伸ばすべきなのか。

 

・・・なんてことを、オッサン平社員の私でも、たまには小アツく思っており、そんな折に手に取り購入に至りました。たまたま計数管理という職務に従事しており数字にまつわる業務が多いので、一人よがりでいいので何とか数字で自店のベクトルを良い方向へ持っていく絵が描けないものかと思い、ヒントを求めての購入です。

 

感想

さて感想ですが、読後(というか読中)早速悟りますが、私のような凡才には手に余るほどの手の込んだデータ分析の世界でありました。つまりフツーの社員がこれを参考に何かやってみよう、という手軽な世界ではなかったです。

 

すごくパワフルで面白い世界がそこに!

しかしながら、データ分析という豊かな世界を垣間見ることができました。これは収穫でした。RCT(Randomized Controlled Trial)、RD(Regression Discontinuity)デザイン、集積分析、パネルデータ分析、など、読んだ私がすでに内容を忘れかけている手法ですが、こうした手法でもって電気料金の値上げは電気使用の抑制になるか(RCT)、とか、70才以降の医療費自己負担1割化は医療サービスの過剰利用を助長しているのでは(RD)、とか、自動車の燃費規制により逆に一部自動車の重量化が起きているのではないか(集積分析)、とか、欧州某国での所得税減税が移民の増加を促したか(パネルデータ)、等が、鮮やかに説明されています。

 

おわりに

筆者が冒頭でも巻末でも、本作をして直観的に分かるようなものにしたいという旨が書かれており、まさにその通りの仕上がりとなっていると改めて感じました。本当に面白く読めた。また、より深く学ぶ人の為に、巻末に数式による説明(ちんぷんかんぷん)や参考文献(是非読んでみたい)が充実していました。

 

筆者の学問分野は計量経済学と呼ぶそうなのですが、こうした分野に興味のあるかた、データを使用して政策立案を行う公共政策まわりに興味のあるかた、ビックデータなどを取り扱う統計学に関連のあるかた、その他論理学やロジックに興味があるかたにもお勧めできると思います。

 

評価 ☆☆☆☆

2020/11/4

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