海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

中級者以上向け。歴史の流れとともに隣国同士の関係も詳述。 |『東南アジア史10講』古田元夫

先日、標準月一回のZoomミーティングを子どもたちとしました。

その中で兄(長男)から出た不満。妹(長女)が家事をしないとのことでした。

彼ら、祖父母と同居しており、二階部分を子どもたちが使っています。うち、二階のトイレの掃除、そして洗濯は子どもたちにやらせています。洗濯と物干しは兄、乾いた洗濯ものの取り込みと畳むの、そしてトイレ掃除は妹、という風に決めました。

兄は生活中心ですが、妹は家事の優先順位が低い。結果、兄ばかりが家事をし、妹は家事をすっぽかす。

兄は受験勉強があっても自分の家事タスクをこなして勉強をしていたのに、妹は附属校にいるくせに『洗濯物を畳みもせず、トイレを汚すのは大抵妹(毎朝う〇こして、しかもこびりつくやつを出す)。言ったら大学入学にリスクなんてないんだから期末試験に力を入れるなんておかしい』とおかんむり。受験勉強が終わったいま、結局いつも俺ばかりじゃないかと激怒。

 

兄は家内に似て、妹は私に似ました。親が傍にいれば家事は親の仕事ですが、離れて住まう場合、ある程度子供がやらざるをえません。妹にどう家事をやらせ、兄をどうなだめるか、思案しております。。。

 

ひとこと

面白いけど、ちょっと難しい。中上級者向けでしょうか。

 

つくり

新書というと、入門編・ビギナー向けのきらいがあるかと思います。とはいえ、例外だって往々にしてあります。

そして本作はその例外にあたるかと思います。

古代から現代に至るまで、歴史の縦糸を10の講(章)で区分します。そして同時代の東南アジア諸国の出来事や歴史を横糸でつなぎます。

 

はじめに

ということで、まずもって中上級者向け、と書いたのですが、その理由は、非常に情報が細かいからです。

ですので、よほど東南アジア史に興味のある方、あるいは基礎的な流れが頭に入っている方は楽しいのだと思います。事前にあるベースで、本書のトリビア的な蘊蓄を知ることができて。しかし、東南アジア史初心者にとっては、古代・中世のカタカナ王朝の袋小路に迷い込み、何だか良く分からん=東南アジア史詰まらん、となりかねません。

私も先日読んだばかりですが、超初心者は池上彰氏による『池上彰の世界の見方 東南アジア』で、東南アジアがフィットするかどうか確認いただくのが良いかと思います。

 

面白いところ

で、ある程度世界史も分かる方にとっては、以下のようなトリビア的な知識は、さらにあなたの東南アジアライフ(なんだそりゃ)を豊かにしてくれるかもしれません。

 

・18世紀、交易の中心は稀少性を武器にした商品(スパイスとか)から、中国や欧州での大量消費作物(米・コーヒー・紅茶)へと変化してゆく。『海の時代』から『陸の時代』へ(第四講)。

 

・そのようなオランダ東インド会社の『陸上がり』により、スパイス栽培からコーヒー栽培へとインドネシアの重点作物が変化。ジャワコーヒー(第四講)。

 

・マレーシアの現在のペルリス、ケダ、クランタン、トレンガヌの諸州は1909年まではタイ(旧シャム)であった(第五講)。

 

・タイのビーチリゾートのパタヤは、ベトナム戦争の前線ウータパオに近いことから開発された(第五講)。

 

そのほかにも、インドネシアの暴れ者っぷりや、ASEANのまとまりのなさの歴史等々についても良く書かれており、へー、の連続でした。

 

おわりに

ということで、新書ながらまったく侮れない東南アジア史の書籍でした。

個人的にはある程度東南アジア史をご存じのかたにお勧めします。そのような方は、色彩豊かな東南アジアが本書で味わえると思います。

世にEUというクリスチャン世界の統一性と比較すると、東南アジアは多様だ、なんていたりします。そんな多様性という単語では表現できない色彩豊かな東南アジアが本作にはあります。是非お楽しみください。

 

評価 ☆☆☆

2023/11/26

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村