海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

作品の書き口と大分ギャップがある!夢想家?天然? |『とにかく散歩いたしましょう』小川洋子

読了してから一週間近く経ってしまい、印象が薄れてきています。

こういうとき、電子書籍というのはちょっと面倒ですね。読中メモは残せますが、私の端末は手書きのようにササっというわけにいかない。というのは私の持っている端末がかなり古いからですが。フリック入力とかできたらいいのに。

 

で、記憶の断片と拙いメモとを寄せ集め、自分どう思ったんだっけ?と思い返す始末。

前々日の夕飯すらはっきりと思い出せない位だから、ましてや本の内容をや、ですよね。

 

はじめに

先月小川氏の作品を久方ぶりに読み、改めてその「静けさ」を堪能しました。その後Kindleでお勧めされたのが本書。

作品の印象とはまた違った、作家さんの素?が見え隠れして実に面白かったです。小川さんの日々の生活(作家の日常、取材、家族やペットの話、本の話)が描かれています。

 

ニアミスしていたかな? んなことはないか笑

で、まず感じてしまったのは親近感。

小川さん、岡山出身なんですね。しかも関西は西宮近辺にお住まいなご様子。

かなり勝手な親近感ですが、私も人生で5年くらい関西に住んでおり、その半分強が西宮近辺でした(私は尼崎でしたが)。小川さんは取材で訪れた関西学院大学のグラウンドの広さに驚いたそうです。私は引っ越してきた当時、未だに残る自然の豊かさみたいなのに驚きました。梅田から20分程度で、駅から15分も歩くと田んぼや畑が広がり、カエルや蛇が時に出現し、農業水路にはナマズや鯉が体をくねらせる。幼稚園児だった子どもたちとパンくずをナマズにあげたり、田んぼのあぜ道を歩き小枝を田んぼに差し込み蛇を探しに行ったりしたことを思い出しました。

ああ、あの近くを小川さんも歩いたのかもしれない、と勝手に夢想した次第。

 

で、ちょうど大阪在住時、岡山へは月に一回は出張していたんです。

これまた岡山というのが何というかパンチのない明るい都会(ごめんなさい)で、地味な印象なのです。確かに良く晴れているけど。

名が売れる前の高橋大輔さんへの取材の様子が書かれていましたが、岡山の朗らかな土地で小川さんの才能が育まれたのかと勝手に感動。ちなみに岡山市の中心街はえらく一方通行が多かったことを思い出します。

 

現実と本と連想力

さてさて。本の内容で言うとですとね、作家さんですし当然ですが、連想力が半端ないです。

タイトルにもありますが、散歩の話が結構多い。散歩といえば、といって、散歩シーンの出てくる小説タイトルがポンポンと出てくる。「ノルウェイの森」とか「檸檬」とか。

散歩中に近所の中学の吹奏楽部が「ふるさと」を演奏しており自然に涙ぐんできてしまい、「ふるさと」といえば、「二十四の瞳」云々、とか。

作家さんですし、エッセーだからかもしれませんが、現実世界の驚きから、それを書籍の一シーンや場面に結び付ける連想力がすごい。

 

普段の生活ではきっと、話のオチとか流れとかとは全く離れた、ふと思って気づいてそれを喋っちゃう人なのかな、とか感じました。で、周りの人は??みたいな顔をしてしまう、みたいな笑 知らんけど。

旦那さんは、そういう性格の小川さんを暖かく見守るタイプなのかな、とか、かなり妄想じみた想像をしてしまいましたよ。

 

そのほか、ハダカデバネズミに執着したり(その社会システムに驚き、気持ちを夢想したり)、過去読んだ本の思い違いに驚いたり、ペットのラブラドールのラブの話とか、ほっこりするストーリー多めです。

 

おわりに

ということで作家小川洋子さんのエッセイでありました。

作品の書き口とは一味もふた味もちがった作家本人のエッセイでした。

天然な方?なのかもしれませんね。逆に、この書きぶりを意図して書かれたとしたらかなりな悪女さんかもしれません。こういうちょっと抜けているかも?という女性のことは男性はけっこう好きなんじゃないかなあ。

 

改めてですが、小川さんの作品が好きな方にはお勧めできると思います。作品を読むのとは違った驚きが味わえると思います。

 

評価 ☆☆☆

2024/02/11

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