皆さん、こんにちは。
当地では旧正月を迎えました。
激しく鳴り響く爆竹を十数分と親族との過食?とを堪能しました笑
改めて思いますが、華僑の方々は本当に家族を大事にしますよね。集まりが大好き。そして話好き。私は広東語が喋れんので、連れていかれても食事の後はソファーで読書か居眠りをするだけなのですが、お開きがいつも午前3時頃(時には更に遅く)になるのはやや閉口します。
でも逆に言葉が通じる方が大変か。「あなたのお母さん、本っ当に面倒くさい」とは家内の言。他方私から見れば義母はかわいいおばあちゃん。何しろ言っていること、分かりませんしね。
家族とは難しいですね。
ひとこと
小川さんの作品には、いつも「静謐」さを感じます。
今回もとてもしっとりした、そして味わいのある「静謐」でした。
あらすじ
話は、唇の上下が繋がって出生した少年の数奇な人生についてです。
出生の事実に呼応するかのように寡黙な少年はふとしたことからチェスにのめり込み、やがて裏チェスクラブで「リトル・アリョーヒン」として働くことになります。
優しく優雅に主人公を描く
で、何が良いかというとやはり小川さんの筆致が素敵です。
チェスにのめり込む「リトル・アリョーヒン」。デパートの屋上から降りられなくなった「インディラ」に思いを致し、自室の壁の隙間に入り込んだ「ミイラ」と会話をして、落ち着いたところで眠りに落ちる。
素人の私がさらっと書くと実につかみどころのない表現になりますが、ちょっと変わった少年を優しく、静かに、幻想的に描くのです。
周囲を彩る素敵なセリフとキャラクター達
また、それ以外の周囲のキャラクターもいいですね。
寡黙な家具職人のおじいさん、無条件の愛で少年を包むおばあさん、廃バスで少年にチェスをじっくり教えるマスター、長じておじいさんとともに家具職人となる弟、闇チェスクラブのパトロンの老婆令嬢、現実の世界に現れた少年のヒロイン的な「ミイラ」、養老院で年中白衣で仕事をする総婦長。
全員が全員、ちょっと優しすぎる気もしますが、セリフ繰りがどれも巧みで、また愛のある格言のようなセリフが随所に潜みます。
まあチェックするわりにはそのまんまですが笑
おわりに
ということで、久々の小川作品でした。相変わらず素晴らしい。
この静かで愛すべき作品、どう表現すればよいのでしょうか。雪のふる寒くて静かな日、外を眺めながら、ホッと一息お茶を飲むかのような気持ち?余計分かりませんね笑
暖かく、優しい、そしてちょっぴり悲しい作品でした。
評価 ☆☆☆☆
2024/02/08