海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

暗い将来しか見えん | 『未来の年表』河合雅司

皆さん、こんにちは。

将来の見込み・予想。たまにしますね。まあ私の場合大概外れますが笑

 

思えば大学時代の1990年後半、私は日本に対して大幅にネガティブ予想をしていました。

二つ上の先輩が「俺も来春からは金融マンだ、はっはっは」と山一證券への内定を喜んでいた矢先、新卒の四半期もたたないくらいに当社が破綻したことが有ったからです。

私はそのときからもう日本はヤバいとうそぶき、金積み立てに走りましたよ。

 

いやあ、あれを今まで持っていたらどうなっていたかって思いますが、こらえ性がなく2000年に前後に申し訳程度の、ほんのお小遣いくらいの利益確定をして手じまいました。

 

え?何が言いたいかっていうと、将来を見通すことは難しいということです笑

で、今回はそういう将来についての書籍を読んだ次第であります。

 

 

はじめに

本作は産経新聞論説委員の河合雅司氏が執筆した人口減少する日本の予想図であります。

データに基づく日本の行く末の描写は、もはやホラー。

この先日本は一体どうするんだろう?

 

墓守どころが墓地を管理する寺が廃れる

人口というのは確かに数字としてはっきりしているので、生活や産業に与えるインパクトを割と正確に具体化しやすそうですね。

出生者数が分かるのだから、例えば2000年生まれの若者たちが2020年に何人程度いるのか、2040年に何人程度いるのかってことはおおよそ計算がつくわけです。

そうやって計算された人口予測をもとに、日本がどのように変貌するのかを、2016年~2065年まで、約50年間を年表形式で何が起きるのかを予測します。

 

本作をはじめから読んでいくと、とりあえず暗くなります。じんわりと徐々に重くなります笑 え?こんな将来暗い国に住んでいるの?ってなりますよ、きっと。

 

で、ワタシ的にじんわり響いたのは2039年

「深刻な火葬場不足に陥る  国内死亡者数が約168万人とピークを迎え、霊園不足という難題も降りかかる」

とあります。

 

2039年からザックリ85歳程度の寿命だとすると、差し引いて、1954年前後生まれ、ベビーブーマー最後の世代が亡くなる印象でしょうかね。で、筆者の見立てですと、東京という街では夫婦が田舎の片親を呼び寄せて住んでいるパターンが多いそうです。でも地価も高く老人ホームやら火葬場やらは意外と少ないと。他方人口がピークを打つのが分かるのに新たな火葬場(ハコモノ!)も作りがたく、結局待ち行列になるのでは、という予想です。

 

更には都心では墓が足りず、少子化で墓守がおらず、なんなら寺ですら跡継ぎがおらず廃寺、結果無縁仏が散乱する可能性についても指摘がありました。

 

先日子どものいなかった叔父夫婦の叔父の墓参りに、叔父の奥さんとともに行ってきたもんで…。「うちは跡継ぎはいないし、墓守も居ないからこれから死ぬ人が墓のことも考えないとダメなのよ」とおばさん。海外にいる私が墓守になるわけにもいかず、、、なんて思っていたらこの記述。東京はあと20年くらいでどれくらい荒れるんだろう?

 

解決策はまあ頷けます。問題は実行できるかどうか

本作、淡々と年を追って日本が縮んでゆくのを数字とともに具体化していますが、もちろん解決策についても提案されています。

その最たるものは「戦略的ダウンサイジング」。まっとうで正攻法ですね。私はこれを、所謂コンパクトシティ化への注力、と解しました。

 

他方、先祖代々の土地から離れたくない人についてはその自由は認めるものの、生活インフラについては受益者負担でよろしく、というものです。確かに広大な土地をあまねくカバーして社会インフラを提供する人員も資金もなければこうなります。

 

その他、抜本的な自治体合併とか、ドラスティックな教育補助、育児補助などが提案されていました。

 

問題はそういう抜本的な政策を貫ける政治家を我々が選べるのか、というのが、参政権を持たない我が家のガイジン家内の意見でした。ハイ、私は選べません泣

 

おわりに

ということで、将来の人口推移と社会情勢についての新書でした。

もっと色々な切り口があるのですが、それは擱いておきたいと思います。日本の将来は突込み所が多すぎて、まとまりませんので。

 

これだけシュリンクする予想があるとすれば相続税制も変わってくるかもしれません。税金は欲しいんでしょうが、相続しないで国を捨てる人たちが出てくる可能性が高いと思います。

 

また全国の住居の1/3が空き家になるという予想(2033年)がありましたが、年代は後づれしそうですが、住居が負の資産となる可能性は日本では今後更に高くなりそうです。

 

今後を生きる若い方、次世代に迷惑をかけたくないと思う方々は是非一読してご自身の将来図と重ねてみてはいかがでしょうか。

 

評価 ☆☆☆☆

2024/06/30

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