海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

劣等感をもつ真面目な若者よ。ロジックだけでもだめ、心だけでもだめ。まっとうかつ効率的に勝負するべしー『30歳からの成長戦略』著:山本真司

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本棚を整理しており、10年以上前に買った本が出てきた。隣に座っている30歳になろうかという後輩君にあげようと思ったが、その前に再読。

 

うん、40代半ばで読んでも十分よい。あげるのが少々惜しくなるくらいよい。

 

筆者は銀行出身の、MBA出のコンサルタント。本人は本書で自身の劣等感を語っていたが、一般からしたら相当に成功しているように映る。まあ成功してますよ。私を含めた劣等社会人からしたら、もう羨むような成功だろうし、読む前から斜に構えてしまうかもしれません。

 

しかしこの筆者は私の劣等感を見透かすかのように、社会人としての目指すべき方向、方法を開示しています。これは筆者も程度の差はあれ劣等感に突き動かされ克服してきた過去があるのでしょう。その過程で研ぎ澄まされた筆者の感受性はとてつもないと思います。そして、胡散臭い言い方ですが、愛にあふれています。それは本を読めばわかります。

 

沢山響くところがありましたが、第一に響いたのは累積経験量ナンバーワンのくだりです(P.112)。誰しも自分の仕事に飽きる事ってあるじゃないですか。飽きた時って、ふらっと転職サイトに登録したり、異動願いを書いたり社内公募に応募したり、はたまた成長を望まなかったりするじゃないですか。筆者が勧めるのは、そうした同じことの繰り返しでも常に改善や改良を取り入れ、時短を行い、単位当たりのコストを下げる。そして浮いた時間で新たな挑戦や別分野への進出をするというもの。会社でいうとカシオとかインテルとかその分野での累積経験量で参入障壁を作るという戦略です。はい、明日から仕事気合い入れます。

 

次に響いたのはMBAコンプレックスです。私、失敗しました。アメリカに自費で行こうとしましたが結局落ちました。諸々併せて300万円は使ったと思います。そんな劣等感の一方、会社にはいますよ、社費で留学した偉そうなのが。筆者が秀逸なのはそのバランス感覚。MBA留学は不要としながら、その知識はお作法として必須としているのです。またそのお作法は時間をかけずに習得すべきとしてかみ砕いて書いています。コンサルの面目躍如ですね。はい、次のお休みはブックオフで参考書買ってきます。

 

最後に膝をたたいたのは、「欲」と「無欲」を併せのむ、あるいは「論理」と「感情」を併せのむという姿勢。まあ皆さん会社の見ればわかるとは思うのですが、大体片方だけのバランスの悪い人ばかりなのです。欲まみれな上司、あきらめてしまった窓際さん(私はこのタイプ)、きれいごとしか述べない論理エリート、感情どストレート型の営業畑出身役員。いるじゃないですか。でも世の中や組織はどちらか一辺倒ではうまくいかないし、組織の運営は本当に難しいと思うんです。上に立つ人にはこうした両方に精通していてほしいと思うのです。自分には無理ですが、これから来る世代にはこうしたバランス感覚は持っていてほしいなあ、と思います。

 

この本、私は本当に大好きですが、一点内容を補強できるとすれば、メンターの見つけ方についてすこし指南してほしかったです。甘えすぎかもしれませんが、基本人は流されるし、筆者が提示するような方向に向かっている人は本当に少ないと思うのです。場合によっては会社で一人も見つからないかもしれません。そんな中で、真面目で向上心もあり素直なのに、潰されてしまう若者お多いと思うのです。本は確かに力強いです。でもやはり生身の人間に意見を乞いたいし、たまには叱ってほしいと思うのです。そういうメンターなしには次世代は育たないと個人的には思いました。

 

とはいえ、この本は劣等感にまみれた成功したい若者(から中年、否どの年齢層にも)おすすめです。向上心を持っているし頑張っているのに焦燥感しか感じない方、是非読んでみてほしいと思います。

 

評価 ☆☆☆☆☆

2019/12/08

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