海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

どんな子だって親には宝もの!少年の成長物語(英語)―『WONDER』著:R. J. PALACIO


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 上の子が中学2年の終りころ学校(海外)で課題図書になった本。

 当の本人は日本の高校へ進学すると心に決めていたようで無視を決め込み(丁度コロナで自宅学習となりましたが奴はどうやって乗り切ったのだろうか)、代わりに当時小6の妹が読み、絶賛していた作品。

 

 再三娘が勧めるので読んでみました。どうだったかというか、これが本当に面白かった!もう感動で若干涙目! ファミリーもの、日曜劇場系が好きな人には是非お勧めしたい! 英語ですが、単語は意外と簡単です。表現が現代米国英語ですが、どうしても英語にアレルギーがある方はNetflixで映画を!

 

あらすじ

 重度の先天性口蓋裂症の男の子August。形成外科でのいくつもの手術を繰り返し、家で母親が世話をしながら学習も指導していた。そんなAugustが小学5年生を迎えたとき、母は彼を学校に通わせる決心をする。もちろん、学校では多くの「摩擦」が発生するが、Augustは心の成長とともにその「摩擦」を乗り越えて行く。

 

みどころ、というか読みどころ

 まず作品の構成がちょっと変わっています。一人称の話者が入れ替わりながら徐々に物語が進んでいくところです。先ずは主人子のAugust, 次が姉のVia, そして学校でAugustの味方となるSummer, とまあこんな感じです。

 お姉ちゃんのViaのところはちょっとぐっときました。Augustに対する単純なお涙頂戴的な展開ではなく、同じ屋根の下で暮らす家族に本音を語らせるところがいい。姉は良い姉でいなくてはいけない、弟を守ってあげないといけない、だけど自分だって悲しい時も寂しい時もある、でも親には構ってもらえないという、疎外感。

 そんな気持ちは、言ったら「上の子あるある」かもしれませんが、複数の視点を描くことで主人公には見えない別のドラマが生まれるのが面白かった。

 

 あと、話中にグッときた部分。Ms. Brownという先生が毎月格言みたいなのを作るのですが、9月の格言が素敵。

”WHEN GIVEN THE CHOICE BETWEEN BEING RIHGT OR BEING KIND, CHOOSE KIND.”

 どうです?素敵じゃないですか?正しいことと親切であることを選ぶとすれば、親切であることを選びなさい。心に沁みます。

 

英語

 英語は私が想像していた以上に簡単でした。Part1のAugustの部分は本当に辞書とかあまり必要ではありませんでした。単語も文法もプレーン。

 Part2以降はちょっと単語に分からないものも散見されましたが、いわゆる英英辞典が役に立ちました。米系informalな表現が多いので英和よりも英英のほうが探している意味に早くたどり着けた感があります。最近読んでいた英系古典ではまず見ないなあと思った単語は、Jock(n) 運動バカ、Brainiac(n) 天才キャラ、Nerd (n) オタク、とかとか(日本語訳があっているかどうかよくわかりませんが)。

 

おわりに

 結局この話、少年の自己陶冶の成長物語で、最後はハッピーエンドです。水戸黄門的予定調和かもしれませんが、それでも気持ちいい。特にいいのは最後の最後。

 こども。親にとってはどんな子だって奇跡。生まれてきてくれただけで嬉しいし、かけがえのない存在。多少周りと違っていてもそうです。だからこそ、少年Augustは両親にとっての「Wonder」なのです。この題名、とても素敵だと思いました。

 

 お子さんをお持ちの方、ぜひとも読んでみてください。私も、本作を放棄した長男に、今度無理くり読ませてみたいと思います。

 

評価 ☆☆☆☆

2021/04/22

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