海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

ビジネス文章のバイブルたりえる名著かと |『考える技術・書く技術』バーバラ・ミント 監修:グロービス・マネジメント・インスティテュート 訳:山﨑康司

思いを伝えることは難しい。

 

大学では文学部ではありましたが、レポートでの文章の構成等はめちゃくちゃだったし教わった覚えすらありません。世に出ても、上司に報告するとき、喋りつつ「俺はいま一体なにを喋っているんだ?」と感じつつ報告することも一度ならずともありました(走りながら考えることの良くない例)。

 

ましてや、海外で働くことになり、従業員がお互い外国語として英語でコニュニケーションをする環境にある昨今、思いを伝えるということにこれまで以上に意識的になりました。それでもすれ違いというのは往々にして発生します。

 

どうすればより自分の思いがより伝わるのかという命題は、ここ数年来の個人的テーマでありますが、問題であることを意識しつつも、放置してきた問題でありました。

 


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ひとこと感想

その中で読み通した本書は自問への回答になり得る良書でありました。本書を読み、フォーミュラを練習すればきっと文章がうまくなると思います。内容的に非常に示唆に富み、素晴らしかったと言えます。実際、様々なテクニック、実践的な内容が満載でありました。

 

文章構成における各種の基本的構成・構造を網羅

まず挙げたいのが、分かりやすい文章を構成するためのトップダウン的カスケード(いわゆる「ピラミッド構造」)、その中での一般化、複雑化、問い、答えという四つの論理的連結、また、箇条書きについても種類ごとにまとめたり粒度を整える、演繹と帰納という2タイプの論理手順、等々テクニックが書き手目線で詳述されていたことです。

 

恥ずかしながら、ビジネス文章ですと、結論をトップに持ってきて、その後理由(や方策)を大事な順に挙げ、最後にリキャップ、というこの程度のショボ文章しか作ってきませんでした。しかし、ボディの部分の理由・方策を種類や粒度で揃えるという指摘は目から鱗。読めばいちいち当然なのですが、指摘されないと気づかないようなポイントでありました。

 

わかりやすく実践的

また、内容は分かりやすいし、ほうほう、なるほど、と頷きながら読み進めることができました。その分かりやすさの要因は、説明が丁寧でロジカルであるからだと思います。

 

例えば箇条書きのブレットをカテゴリや類似項目ごとにまとめたり、粒度を整えるという点でも、時間のないクライアント(乃至上司)に最短の時間で最良の理解を得てもらうためだ、という説明。日頃義務的にメールを打つことの多い私は反省しきりでありました。

 

ちなみに、実際試しに本書読中に試しに幾つかテクニックを使って文章をつくると、ものの見事に固い文章になりました笑 というか自分の論理の飛躍にが幾つも見つかるようになりました。当然の事ながら、テクニックの習得には練習・推敲を繰り返すことが絶対的に必要になります。

 

すこーし微妙だった点

さて、いくつか残念だった点。

まず、MECEの確認法がなかった点はちょっと残念です。MECEの概念は作中で使用されており、これに沿って因果の樹形図を作ることで問題点の洗い出しやひいてはこれらの文章化に役立てるテクニックが語られておりました。しかし、MECEを担保する方策についてはどこにも書いておらず、実はMECEを勉強したくて本書に出会った私は若干悔しい思いを致しました。

 

また、これはどうでもよいことですが、H・D・ソローの文章を例文として出していたのですが「英国の作家」という枕詞を使用されていました。これはちょっと残念でした。ソローは米国出身ですよね。まあ、些末な過誤は本書の本源的な価値を損なうものではありませんが。

 

おわりに

ということでビジネス文章の書き方、考え方についての本でした。ためになるしよくわかるテクニックが多く、実際試しに使うと自分の駄目さ加減がかなりわかるようになりました(文章作るのが時間かかって仕方がない泣)。

 

本書を読了し、感覚的な振り返りを脱し、意図をもって構造に沿って振り返ることで、私だけでなくほかの読者さんの文章もよりシンプルでロジカルに、そして伝わりやすものになる、と信じております。

 

評価     ☆☆☆☆

2022/12/26

 

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