海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

異時点のストーリ構成が秀逸、ああなるほどと唸ってしまう |『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎

突然ですが、旅行でパースという所に来ています。

金がない金がないとぎゃーぎゃーいう割に、趣味は金がかかる旅行だったりします。で、日本への一時帰国や現在の居所の国内旅行を除くと、実にこれ4年ぶりの国外への旅行です。

4年ですよ。いやはや、コロナでどれくらい縮こまっていたことか。この時期、留学や旅行を計画していた若い方は本当に気の毒です。そして同時に旅行業界がどれくらいダメージを被ったのかと思いを馳せました。

私は根っからのcheapskateなので沢山は無理ですが、可能な範囲で趣味の旅行にもお金を使っていきたいと思います。言ってもLCCAirbnbばかりですが笑

 


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ひとこと

やはり面白い伊坂作品。ジャンル分類不能ですが、何でしょう、面白いしか出てきません。

 

異なる時間の流れが構成するストーリ展開、強めのキャラ設定

伊坂氏の作品、再読ですが普通に面白く読めます。忘却という老人力ですが。

このジャンルってのはなんて言ったらいいんでしょうかね。スリラーというには文学よりですし、犯罪の匂いがするものの殆ど警察も出てこない。でもツイストと驚きは次々と現れるという。

 

そんな本作を夢中に読んでいるうちに、ふと小見出しに「現在」と「2年前」というタイトルがついているの発見しました。そう、本作は二つの時代を行ったり来たりしながら物語の真相を少しづつ明らかにしていくものです。

 

メインの登場人物は「僕」とその周辺。このときは「河崎」がいい味出していますね。もう一つのラインでは「琴美」とブータン人の「ドルジ」のカップル、そして「麗子さん」がよく顔を出します。主な登場人物はこんなものか。そして「僕」が「麗子さん」に出会ったところ辺りから話は急展開していきますね。このあたりで次第に筋が見えてきてゾクゾク来ます。河崎や麗子さんにクセがあり過ぎて、これまた分かっていても引き込まれます。

 

外国人嫌悪に思う

さて、本作設定上、「僕」の友人らは外国人があまり好きではないということになっています。曰く、結局何を考えているのか分からない、と。

誠に残念であります。

私も50年近く生きていると、もうこの人合いそうだなという人とはお近づきになりますし、うわぁーこの人の雰囲気ダメだわという人は遠巻きにしつつフェードですよね。いや、何が言いたいかというと、感じとる感覚で判断してよ、って。国籍というラベルじゃあないんじゃない?という話(うちの嫁、嫌いならないで、という話!?)。

そもそも日本人だって、というより他人なんて最後は何を考えているか正確には分からんし、さらに言うと自分自身、自分のことを理解できているなんて断言できないし。

まあねえ、国籍で人を遠ざけるとしたら、あなた、外国で同じ目にあいますからね!

 

おわりに

ということで、エンタメ性たっぷりの伊坂作品でした。

異時点のストーリが一つに合わさり、次第に「ああそういうことか」と分かってくる快感。これは皆さんにも味わっていただきたいですね。

ちなみにドルジ、彼は一体この後どうなったのかなあ。ちょっと気になります。

 

 

評価   ☆☆☆☆

2023/05/20

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