海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

私も試したいダウンシフト。実現可能そう |『減速して自由に生きる ダウンシフターズ』髙坂勝

最近よく、人材紹介会社から連絡があるんです(Linked-in経由)。

「海外での業務経験がある方を対象に、日本にご帰国された際にそのご経験をフルに生かして頂いて。。。」

と歯の浮くような言葉でお褒め頂けるという。

永住ビザ申請の結果が出るまでは今の居所を離れない予定ですが、ちょっと心が動きます。子供たちと離れて暮らすのはちょっと寂しいし、弱っていく両親を放っておくのも気が引ける。

 

まあ欧米在住経験者のようなペラペーラじゃないけど英語はできますよ。ローカルともきちんと仕事しますよ。ていうか俺がローカル採用だし。でも、スーパーマイペースで仕事をしている今(特に「俺は週一日だけ出社する」と自分が決めて周囲に了承させるあたり)、仮に日本に帰っても果たして使い物になるのかどうか不明。

家内いわく、「ムリムリムリムリ」だそうです。ムリは一回でいいじゃん。自分でも分かってるから泣。

 


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ひとこと

本作は、脱サラしてバーの店主をつとめる髙坂氏が、「もうやめちゃいな」と世に疲れた我々を、社畜人生からドロップアウトすることをそーっと誘う良書です笑

 

ダウンシフトしちゃう?

あー、会社辞めたいとか、好きなことだけして生きていけたらいいなあ、とか、そういう気持ちってありますよね。私なんかしょっちゅう笑

でも家族のことを思い出したり(忘れんなよ)、自分のプライドだったり、やっぱり収入は欲しいよねという我儘があったりして、このレッドオーシャンから抜け出せないでいると。

 

そんな時代にあって、筆者が強く主張するのは、「ダウンシフト」。誤解を恐れずに言えば、身の丈にあった生活にリサイズして(もちろん縮小方面ですよ)、そして自分の好きなことをしよう、というお話です。

 

半自給自足で食料確保

その目玉といえば、半農半Xなる筆者の造語。

つまり半分は自給自足を行い、残りの半分は自分の好きなことを生業にするということです。

筆者のいう自給自足は、耕作放棄地を非常に安価(もしくはただ)で借り受けるなどして利用し、自然に近い形で育てるものらしく、いわゆる商品として育てる農業ではない様子。コメと大豆を植えるそうですが、手をかけすぎないことで、逆に力強い味わい深い実がなるそうです。

こうした主食は、そのまま食べたり、味噌や納豆などにして、余ればよそにあげたり、逆にもらったりして、食の安全を確保しつつ費用を抑えることができるとのことです。

 

って、これだけ書くと突飛ですが、一冊通じて読めば「ありかも」って思えると思います。ちなみに筆者が借り受けた耕作放棄地は千葉県匝瑳市という所。

 

自分のライフスタイル基準金額は?

また、身分の身の丈にあった費用(ライフスタイル基準金額)を割り出し、それにあった売上を目指し、それを超えるようならよりサボるよう勧めています。あ、結構飛びますが、すでにサラリーマンを辞めた前提でお話しています。

この頑張らないという視点はとても新鮮で、しかも貴重であると感じました。

儲けるのは悪いことではないし、むしろ楽しかったりするのですが、そこに没入すると自分が何のために生きているのかを見失いがちなんですよね。かなり脱力系の髙坂氏も本作を出版後、生業としている居酒屋の客が増え、売り上げが増えてしまい、倒れたそう。そしてそれ以降、あまのじゃく的に週休三日にし、適正収入に下げたとのこと。

これによりいわゆる機会損失が発生するのですが、氏はこれを「ワークシェアリング」ととらえ、近場の競合店を潤す結果となり、それはそれでよいことだととらえます(自分に必要な売り上げはあるしね)。さらにそうした競合店が逆に、「このお客さんはおたくの方があうと思うから」と紹介してくれたりするようになったそう。

つまり、独り勝ちではなく、コニュニティでの共存という視点なのですね。

 

おわりに

ということで将来をどう生きようかと悩む、うらぶれたアラフィフにはかなり響きました。

近頃、老後2000万円問題とか色々言われますが、著者のいう半農半Xは個人的には実践可能に見え、こうした生き方をすれば、別に年金がなくても貯金もなくても生きていけそうな気がしました。

ここでは触れていませんが、悩める髙坂青年の半生が本の前半に掲載されており、それを含めて非常に示唆に富む本でした。

 

今の生き方にしっくり来ていない方、果てしない競争に疲れたかた、もっと自然に近い暮らしをしたいかた、大量生産・大量消費に疑問を感じているかた、こうした方々には大いにおすすめできる作品です。言いたいことが全然かけていませんが、私のような人にはめっちゃおすすめできる本です。お前どんなだよ、って話ですが、まあ読んでみてほしいっす。

 

評価     ☆☆☆☆☆

2023/05/21

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