海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

復讐の横取りは、予期せぬ結末へ。満足度の高い、流石の伊坂作品|『グラスホッパー』伊坂幸太郎

読書でストレス解消をしてみた、という話です。

まあ家でも、仕事場でも、ストレス、あるじゃないですか。人に言えない悩みとかもありますよね。言ってもわかってもらえないことはもっとあるし(うんうん)。

 

これまで色々解消法に変遷がありましたが、読書が一番生産的?かもしれない、という結論。なお、これまで試してきたその他のオルタナティブは以下の通り。

酒・・・酒税が高くて買う気にならない(ムスリムの国だから)

愚痴・・・聞いてくれる友人が周囲にいなくなった(!!)

運動・・・軽度の脳梗塞以降、嫁が心配して外に出してもらえない

ケータイ・・・アホみたいにYahoo!ニュースとかみてると余計に自信なくす

フテ寝・・・そういうときに限って目が冴える

読書・・・むしゃくしゃが忘れられる。ただしエンタメ系に限る(なんか不健全な読書?だけど)

 

実はこの前、伊坂幸太郎の古本7冊で150円くらいで売っていたんです。で、懐かしくて買ってしまったのですが、今うちの本棚に鎮座まします。

再読したら、やっぱり面白いんです。読後?そりゃあ少しは優しい気持ちに戻りましたよ笑 

 


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ひとこと

久々の再読。二度目でも実に面白い。傑作「殺し屋」小説。

 

キャラが際立つ! 殺し屋たちに不思議な親近感

本作の魅力はやはりキャラな気がします。

復讐のために、ヤクザのフロント企業的な詐欺まがいの会社で働く鈴木。人を自殺に至らしめる特技のある「鯨」。ナイフで節操なく人を殺しまくる「セミ」 。そして、謎の「押し屋」。

 

で、不思議なのが、「鈴木」以外、多くは悪人なんですが、なんか、親近感湧くんです。なんというか、みんな心の一部がすんごい素直っていうんですかね。・・・家族殺しをためらわない「蝉」ですら、やっぱり人との紐帯みたいなものをきちんと感じていたりして。完全なる「人でなし」みたいなキャラがいないところも、不思議とほっこりした読後が迎えられた要因かもしれません。

 

最後は、ツイストがバシバシかまされますが、まあハッピーな結末だと思います。フィナーレへ至る途中、鈴木の奥さんとの出会いのシーンの回想とかもありますが、お涙頂戴にならないのは、奥さんの素性が上手にセーブされて描写されていないからか。そういうところも上手ですよね。

 

最終的にすっきり楽しい、さすがの伊坂作品でありました。

 

おわりに

ということで本当に久々の再読でした。15年ぶりくらいかなあ。

殺人事件は多く出るものの、警察や探偵が出てこない、アウトサイダー側しか出てこない、でも非常に面白い作品でした。

エンタメ小説が好きな方、ハードボイルドが好きな方、犯罪もの・ヤクザ系が好きな方は楽しんで頂けるのではと思います。

 

評価   ☆☆☆☆

2023/05/13

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