脳についての多くの神話がありますね。10%程度しか使っていないとか、一部が損傷したら他が代替して活動するとか。知らんけど。
事実はどうあれ、未知のパワーを秘めている、未開発の箇所があるという言説は、私ですと『うちの子はやればできるんです』的な期待につながります。
タイトルなし、昇進なし、部下なし、でももっとイケてるおじさんになれんじゃないか? アジアの片隅にかれこれ9年も同じ仕事をしていますが、アメーバのように少しずつ伸びるカバレッジをより深く、精緻にしたいと(口では)常々言っております。
能力(脳力)として力不足を感じるときは、こうしたカバレッジの全貌を他人に伝えるとき、拠点の状況を三年ごとに変わる駐在員や地域統括の方に説明するときでしょうか。
なんてことを考えていた時にあったのが本作。
今回は高3受験生の息子の自己分析の助けにでもなるかと、再読してみた次第です。
マインドマップとは?
マインドマップ。端的に言えば、この技術は『ビジュアル化したブレインダンプ』、でしょうか。
本作は、一つのテーマやカバレッジ、事柄について整理するのに役立つマインドマップについて紹介し、使用の具体的事例を説明するものです。
具体的には?
筆者はノートへの板書と比較します。ノートが上から下、右から左に一律・定型的に書くものですね。他方、マインドマップは中心の円にコンセプトを記入し、ここからアメーバ状に関連ファクターを書いていくものです。そのファクターごと挿絵的に絵をかいたり、色付けしたり、より自由な表現を許すことで、記憶からのアウトプットもスムーズになり、またファクター同士の関連も絵的に理解できる図になるというものです。
実際にやってみた
本作の幾つかの練習をへ、読了ののち、私は趣味の英語のスピーチ(5-7分)で試してみました。
骨子について、マインドマップでラフスケッチを一回。更新版をもう一回。ここまでで大体45分程度。頭の中では喋る内容は大分まとまりました。
次にマインドマップに基づいてスピーチ原稿の書き起こしします。喋る内容がまとまっているたので60分ほどで出来上がったと思います。
喋る当日、マインドマップと原稿を見ながらしゃべる練習をし、フリップなしで時間通りに喋れるように訓練するのが60-90分。通常ですと、原稿が覚えられない、喋ってみてから原稿を練り直す、等々あり、喋る練習+推敲に120-180分程度はかかるのですが、マインドマップを作製しているからでしょうか、筋の変更は不要でしたらし、概要の記憶もスムーズにいきました。ついでに言えば本番で喋りたい内容についても概ね喋れたと思います。
結論:記憶、頭の整理という観点では威力は相当あると思います。
モノにするには時間も
但し、やはり訓練が相応に必要でしょう。
一番感じるのは絵の訓練。芸術家顔負けの描写は不要でしょうが、特徴をつかんで造形をなぞれるような訓練が必要かも。私は、人のポーズとか棒人間みたいなのしか書けないのですが、何の絵だか書いている本人が分からなくなりました。
で、絵がないと、文字ばかりで放射状にノートが書いてあるだけの、醜い板書になりさがります。これならば普通のノートが良いかなとかって思います。
実際、本書ではマインドマップの紹介?程度までの踏み込みで、悩みへの対処法(絵が上手に書けない場合はどうする? メインテーマから分岐が3,4つくらいしか出ないけどいいのか等)は少ないのでその点がちょっと難しいと感じました。
おわりに
ということで思考技術に関する書籍でした。
記憶、サマリー、網羅に関連することに興味がある方、例えば受験や資格試験を控えている方、業務内容を網羅してプレゼンをする方、何か一つのカテゴリを包括的に研究している方、等々には参考になると思います。
評価 ☆☆☆
2023/08/04