はじめに
名前がちょっと「釣り」っぽいですね。
このタイトルは、正確には「何も知らないと」「何も準備しないと」、という従属節がついて初めて意味が通るものかとは思います
内容について
章立てはシンプルで以下の通り。
序章:役所は何も言わずにあなたを見ている
第一章:役所が教えてくれない税務調査の勘所
第二章:役所が教えてくれない不動産の評価
第三章:役所が教えてくれない生前対策と相続の極意
第四章:役所が教えてくれないモメないための極意
第五章:役所が教えてくれない相続の未来
類書(「損しない!まるわかり相続大全」)も読みましたが、本書のほうがやや具体例が多かったかなという印象。
ただ、内容は概ね変わらないと思います。曰く、嘘をつくと大体見破られます(その後税務調査)、とか、相続税額減のポイントとしての不動産の精査・小規模宅地の特例や配偶者の一億六千万円の税額減の話とか。
一つこれは違うな、と感じたのは第三章にて「敢えて一次相続時に、残った片親にすべて渡すように(内心そう思わなくても)言う」というもの。
これはなるほどなあ、と思いました。
だってですよ、自分の連れ合いが亡くなったというのに、子どもが「じゃあ俺の分貰っとくから」というのはほぼ間違いなく感情を害します。うちの母親なら100%そうだわ。本書ですすめる通り「全部お母さんが取っときなよ」と嘘でも(!)いう方が確かに丸く収まりそう。
もちろん、類書でも本書でも言う通り、一次相続は特例が多く、ここで税金を払わないでおくと二次相続を含めるとより税金が多くなることが大抵だと思います。
ただ、家族というのはこれで中々ムツカシイところがあるので、もめるよりもお上にお金を取ってもらうほうが良い、と考えるのも、これもまたありだと思いました。
その他にも、タワマン節税の件、相続時精算課税制度、デジタル資産や地面師の跋扈など、今後の相続税界隈への目くばせはかなり広角で参考になりました。
おわりに
ということで相続の本でした。
そうそう、そういえば一次相続(大抵は男性の逝去)の後、二次相続(その配偶者の死)までの間は平均16.6年あるそう(P.158)。
父の不調をみて、親との同居をするかどうかと検討していますが、嫁姑の反りが合わない妻、「えー!!! 16年!? 泣泣」だそう(「同居したらお義母より私が先に死ぬわ」云々・・・)。
私の父親の面倒は見たいそうなのですが、私の母親のやり方が気に食わないそう(私もそれが嫌であったので良く分かります)。
相続もそうですが、家族という関係性が存外に難しいのですよね。なぜ皆素直になれないのか(含む私)。
評価 ☆☆☆
2024/06/17