海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

相続テクニック+相続争い回避の策 |『損しない!まるわかり相続大全』秋山清成

今年で83となった父親。

先日床屋行くと数カ月ぶりに外出し、4時間くらい徘徊して帰宅。

また、ここ数週間は急激な食欲と甘党デビュー(これまでスイーツ嫌い)に至り、食後に果物やスイーツの置き場をうろついたり、夜中おきて冷蔵庫を漁ったり…ってこれが娘がネットで調べた認知症の症状にドンピシャ。

遠からぬ将来のことを考え、さっくり分かる本を購入するに至りました。

 

はじめに

相続税についての勉強はAFP/CFPの取得時に概ね勉強したため、本作の内容は私にとっては言わば復習に位置づけられるものでした。

他方で、相続税の概要は知っていても「相続」全般についてはやはり素人。そうした意味で本作は意義があったと思います。

 

本書のよいところ

税金を軽くするという観点でAFP/CFPでの勉強でよく出てくるのは、①小規模宅地等の特例を利用し土地の評価を8割減させる、②生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)の有効活用、という二点ではないでしょうか。

 

本書の良いところは、こうしたポイントを優しく押さえつつ、国税で働かれていたという実績と知見でプラスアルファの情報を付加していることだと思います。なかでも、「相続争いを起こさないために、遺言書の草案の読み聞かせをする」(P135)を指摘したこと、二次相続を見越した相続プランを考えること(P.152)、そして「第七章 税務調査」の章で、どういう案件で税務調査が行われるか、を赤裸々に語っていたことだと思います。

 

話し合いによる心の準備

人の死によって引き起こされる相続ですが、なにぶん家族の死がトリガーであるため、そしてその財産にかかわる話であるため、話すのに非常に気まずい。話しづらい。

でも、本書でもある通り、分割内容を言いきかせる・家族で話あうということは(遺言書を残すかどうかにかかわらず)、準備としては非常に大事だと思いました。要するに心の準備と、相続人の納得感の確保です。

 

ちなみにうちの場合、父は半ボケ、母は外面がよくすぐに隠蔽する、姉は遠方に住んでいる、そして私は外国に住んでいる。これではいざというときに、事実確認と財産内容把握、その後の分割云々で仕事どころではなくなってしまいそうです。

 

私が海外を根城にする一方で、子どもたちは私の両親の家に住まい通学する現状を考えると、私自身がどうでも良いとしても、子どもたちの日常を(少なくとも学生である間は)確保してやらねばなりません。また仮に相続税を払うとして、そうした金額についても準備しないと払えませんし(学費で手元キャッシュフロー激薄)、そうした計算を概算する機会を与えてくれた点は本書に感謝です。

 

いずれにせよ、親と共に財産の処分の方針について話しておくこと、嫌だけどやはりこれが相続における重要な(ある意味税金額よりも)ポイントだと感じました。

 

そのほか

他にも節税のテクニックやどういう申告に税務調査が入るのか等々あり、嘘や不正はしないものだなあとつくづく感じました。

 

おわりに

ということで相続の本でした。

類書は多くある中で本書を手に取りましたが、なかなかわかりやすかったと思います(他は知らんけど)。

相続税は残された人が払うため、死んだ本人が気にしないというのが難しいところです。子どもに迷惑をかけないと嘯く親は多いのですが、お墓だけに限らず、財産処分についてもある程度の年齢から準備するのが良いのでしょうね。

 

あと、子ども(相続人)の配偶者というのも、相続話がもめる時の重要なファクターではないかとひっそり考えていますが、そういう下世話なことには筆者は言及されておりませんでした。

 

評価 ☆☆☆

2024/05/23

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