うーむ、もったいないなあと思いました。
世の中には本当に多くの健康本が溢れかえっています。ダイエット本から始まり、一つのメソッドに固執した”これだけですべて治る”的な紹介本、栄養士が書いた本、医師が書いた本、あるいはジャーナリストが書いた本。どれを読んで、何を信じればいいのかよくわからなくなります。
そんな中で、当書はまさに”これだけですべて治る”的な題名で、私にとっては眉唾的な第一印象を与えた本でした。
方向性は私個人は大好きな方面です。断食、いいじゃないですか。私はやったことがありませんが、大変興味があります。断食ではないですが私も一日2食くらいで過ごしており確かに体の調子はいいです。また、ヨガのファンですし、ケトン体っていうんですかね?食べないことで体内の糖新生を促したりとかっていうロジックと通底するところを著者の本から感じます。
また、いわゆる陰謀論的な見方が色濃く出ており、これも方向的には大好きです。1935年に小食をレポートした米国のマッケイ論文が当の米国で無視されたのは『ロックフェラー財団等による医療独占体制』(P.105)が原因であり、『”彼ら”にとってマッケイ論文は、じつに都合が悪かった。』(P.105)や、その後1977年に発表されたマクガバンリポートが黙殺されたのも同様で、『食べる量を半減すれば、売り上げも半減するからです。病人が激減すれば、医療利権も激減します』(P.124)、と述べている。
ただし、個人的にはやはり断食のロジックが明確に説明されていないところがとても引っ掛かるのです。断食によって記憶力が上がった、がんが治った、効果があった、まあ良しとしましょう。ではその仕組みはどうなのか。そこが明らかになっておらず、先人である幸田医師や阿部医師の著作からの引用で済ましている点はどうしても気になります。効果があるとすれば分子レベルで何らかの作用が起きているのでありそこが知りたいのです。
動物性たんぱく質が良くないと主張するのも良いです。ただし論拠も示せずに動物性たんぱく質は発がん性物質だ、と言われてもやはり何で?となってしまうのです。
著者は医師ではなくジャーナリストですし、医療的なデータにアクセスしづらいのかもしれません。ただ、とはいえ断食でがんも治りEDも治る・すべてハッピー、という総花的な内容で終始するよりもEDならED、がんならがんとして取り扱うトピックを絞り、分子レベルで断食がどうして効果を生むのかを説明した方がより説得力がある本になるのかなと個人的には思いました。
陰謀論として読むのなら面白く読めます。健康本として読むのであれば少し説明が足りないかなあと思います。
2019/11/28
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