海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

米国版徹子の部屋、文章は下手め!?(Podcastは断然おすすめ)-『Choose Yourself!』著:James Altucher

Choose Yourself! (English Edition)

Choose Yourself! (English Edition)

 

 

私はかつて学生時代に哲学を専攻しており、小難しいやつが好きなんだよと米国人の知り合いと話していたところ勧められたのがこのJames Altucher。試しに彼が運営しているPodcastを聞いてみると、これがいわば米国版徹子の部屋的なトーク番組。有名人、特に話題の本の著者を呼んで話を聞くというもので非常に面白いのです。

 

それでは著作も面白かろう(Kindleだとなんと100円ちょい!だし)ということで購入してみました。

 

結論としては、いまいちかなあ。

 

内容はそこまで悪くもないのです。

人や社会の作る基準ではなく、自分の基準をベースにより良く生きよう。それがタイトルにもあるChoose yourselfということのようです。宮仕えに縛られることなく自分の道を選べ、つらいこともあるけど拒否られるのが普通なんだ、どんどんチャレンジしよう、とも説きます。Motivational、inspiring、そしてencouragingな内容なのです。

 

筆者は多くの間違いをして、それに気づき、そして今の考えに至ったようです。典型的な結末ではありますが、起業→成功→成金→傲慢→没落→認知というプロセスを経験しているようです。

 

英語も平易ですし、難しい単語もそこまで多くありません。

 

他方、私が一番引っ掛かってしまったのは、内容が散漫としており、筋が見えなくなること。

作中でも取り上げている通り、彼は出版社を毛嫌いしており、自費出版やダイレクトパブリッシング(以下”DP”)を非常に高く評価しています。DPは出版の間口を大きく拡大する一方、未成熟な本を多く世に出すことになると個人的に予想しますが、彼の本がまさにそれかと。彼は箇条書きが好きなのですがしばしばaからh(8つ!)もポイントがあるものを、章頭にヘッドライナーを提示しないままつらつら書き出す。こちとらこの章いつ終わるのだろうかと読んでいて少しダルくなりました。結果何を話しているのかわからなくなるのです。

 

また時として極度に下品だったりナイーブ過ぎる表現も鼻につきました。アイディアをぶつけ合って一つのよりよいアイディアを生み出すことをIdea Sexと言ってみたり(弁証法的とか言えばいいのに)、昔の自分の描写がある種病的で”死にたい”とか”消えたい”とか出てきます。まあそんな躁鬱的な人でも人生にチャンスはたくさんあるというメッセージを間接的に読み取ってもよしですが。

  

ということで纏めますと、強くはお勧めできません。ただ、Kindleで買えば100円チョイだし、英語の勉強にはなります。また内容そのものは非常にインスピレーショナルです。特に最後の2章は、七転び八起き的なメッセージでなかなか素敵。

とはいえ、自己啓発本はいくらでもあるし、貴重な時間を使って読むのなら他にもっとよいものはあるだろうと思いました。

 

そして最後に。James AltucherのPodcastは本当におすすめです。英語のリスニングや次の本探し(洋書になりますが)にも使えます。こちらは本当におすすめです。

 

評価 ☆☆☆

2019/02/26

Choose Yourself! (English Edition)

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