ホテルには数多くの人、多種多様な人たちが投宿する。そしてこれをマスカレード(仮面舞踏会)に例えた本書の舞台は、言うまでもなくホテル。
連続殺人事件の次なる舞台はホテル。執事然としてゲストに相対し、心からのサービスを提供するホテルウーマンの山岸と、警察の最前線の捜査一課で活躍する新田。
多くの人間を観察する職場は共通しているが、一方は性善説として顧客にサービスを行い、他方は性悪説として人の裏側をえぐろうとする。そんな二人が連続殺人事件の為に共に働くことになる・・・。
一言で言うと面白かった。犯人は最後に結果が分かるまで全く読めなかった笑。
本作は大部に渡るため、途中でやや展開がモタれるように感じられたこともある。しかしながら、様々な“奇妙”なゲストの描写は秀逸。まるでテレビでホテル業界の内部を見ているような感覚になった。筆者が想像で描いた部分もあるだろうが、恐らく本当にホテルには多くの奇妙なゲストが投宿するに違いないと想像した。
また刑事の新田が次第にホテルマンとして順応していく様は、ある意味自己陶冶小説として読める
そして、一番の出色は『マスカレード・イブ』とのリンク。
私は『マスカレード・イブ』をはじめに読んだが、『マスカレード・イブ』の話を伏線にして本書の内容が展開する(本書のスピンアウト版として『マスカレード・イブ』があるのかもしれないが)。そのリンケージを楽しめる点でも本作はエンタテイメント性が高い作品であると感じた。最後に映像化したら面白いのでは、と書こうとしたが、2019年にすでに映画として公開されていた(主演:木村拓哉)。納得。
評価 ☆☆☆☆
2020/03/27
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