自分は割と、はまると一つの分野や一人の作家に入れあげる方かもしれない。
湊氏の作品を最近好んで読んでいる。きっかけはYahoo!の記事で同氏がこれだけヒットを飛ばすのに絶妙に直木賞に引っ掛からないことをネタにした記事であった。
そんなイヤミス大家の湊氏。実は本作はイヤミスではありません。むしろすっきり爽やかな終わり方。まるで恩田睦氏を思わせる作風。
ネタばれになりそうなので、表現が難しいのですが、彼女一流の母と娘をモチーフにした物語展開。途中までは、分かりづらい展開だなと思っていたが、実はそれこそが物語を面白くしている所以であるのは読み進めていくうちにわかります(逆に物語の中盤で気づいてしまったら、その後の展開がある程度読めてしまうのは残念)。この複雑でわかりにくい部分が徐々に分かる感覚は皆さんにも味わって頂きたい。
そして、最後の加藤泉氏の解説がまたいい。タイトルにも書いた二度読みを勧めています。・・・なんて書くと解説から読む方がいらっしゃいますが、ぐっとこらえて先ずは一読頂きたい。そして解説を読み、ああなるほどと感じて頂けたら是非再読して頂きたい。きっと楽しめると思います。余り他に類を見ないエンターテイメント小説でした。内容もさることながら構成も含め私はうなってしまいました。
お勧めです。
評価 ☆☆☆☆
2020/04/11
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