まず申し上げておきますと、私としては可もなく不可もなく、普通に楽しく読めました。
ところが、この作品を本嫌いの息子(唯一東野圭吾だけは読む)に押し付けてみたところ、読了後、何かあんまおもしろくなかった、と。同じく日本語のいまいちな中一の娘(こちらも一部の東野圭吾は楽しく読めるらしい)に読ませててみたところ、これまた途中で挫折。
面白く感じたのは私だけかとAmazonで評価を見てみると、もう罵詈雑言に近い評価もちらほら。。。
そこでここでは、いまいち低評価が多めな理由について考えてみたいと思います。
ちなみにあらすじ
ある日「お父さん」が殺される。
ネット上の疑似家族「お母さん」「カズミ」「ミノル」が容疑をかけられるが。。。現実世界でそれぞれ悩みを抱える現代人が、ネットに安息を求めるが、現実の問題は解決されないまま悲劇が起こる。
前提条件が呑み込みづらい
では考えてみたいと思います。
本作は宮部氏の代表作の一つでもある「模倣犯」「クロスファイア」のキャラクタを登場させています。どうやらうちの子たちにはこのあたりに原因がありそうだと思いました。で
まず、上記で挙げた作品の登場人物についての説明や描写が少ない状態で物語を展開していったように私は感じました。ここが性急で、読者は追いつけないのではないでしょうか。え?誰この人、みたいな。
今回の主人公の武上刑事についてはデスク担当という、一般に馴染みのない裏方であったためかきちんと描写がされています。しかし、その所属の長との年齢関係、隣の係のデスクとの関係、またほかの刑事との関係(階層や年齢)については確かにいまいち分かりづらいと感じました。
登場人物が多すぎる?
加えて、上記の説明不足に次いで感じたのは、登場人物が結構多いということです。刑事だけでも、武上、石津、渕上、鳥居、葛西、佐橋、中本、神谷、秋津、徳永、下島、立川、とぱらぱら数えただけでも12人。更に事件の関係者である疑似家族の「父さん」「母さん」「ミノル」「カズミ」そして実際の家族関係者と容疑者。
個人的にはやはり刑事が多すぎて混乱させる部分があるのかなあと振り返って思いました。
おわりに
あらためて申し上げますが、個人的には楽しめたのです。可もなく不可もなく。きっと「模倣犯」「クロスファイア」を読んでいればより楽しく読めたのだと思います。逆にこれらを読んでいるかたはスピンオフ的に楽しめるのだと思います。
評価 ☆☆☆
2021/02/09