海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

息子「相当エロかったよ。」 オヤジ「まあ、そうかもね」―『ダイイングアイ』著:東野圭吾


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概要

バーテンダーの雨村は、ある日勤務後の深夜に何者かに襲われる。そのショックにより過去の記憶を失う。失われた記憶は、自分が起こした交通事故のことであった。その後忽然と現れた謎の女性瑠璃子に溺れつつ、雨村は自分の過去の記憶を取り戻していく。自らの記憶に秘められた事件の裏とは。

 

感想

本嫌いの中学生の息子に色々読み与えているうちに、彼は東野圭吾が気に入りました。本作はそんな息子が古本屋で選んで買ってきた作品。読後息子の感想は、「うーん。面白かったけど、相当エロい。」

そこで私も読んでみました。確かにエロい。

 

失礼ながら本作には、読後特段大きな印象が残りませんでした。

ある意味、純粋に結末の読めないスリラー小説としてエンタテイメント性の高い小説ではありました。

 

性描写がなかなか露骨。異例の東野作品か

その中でも最も印象にあるものと言えば。。。息子が言っていたように、性描写でしょうか。男性としては単純にその情景に興奮してしまうものですが、実はなかなか考える題材となる。謎の女瑠璃子はなぜ雨村とセックスするのか。それは決して相愛の末のセックスではなく、手段としてのそれである。性という人間にとって最も根源的な部分を手段にするという悲しい行為の裏に何があるのか。或いは作者はこうしたキャラクターに何を語らせようとしているのか。私には充分理解できませんでしたが、登場人物の哀しさは十分に伝わってきます。なぜ哀しいのかは是非読んで確かめて頂きたいと思います。

 

後半部の展開は圧巻

そして後半ですが、その展開とドライブ感は流石と感じました。圧巻です。

記憶を取り戻した後の雨村の様子はテンポよく描かれており、次々と場面と状況が展開していき、読んでいて非常に楽しめました。記憶を取り戻す前のもやもやした手探り感の描写も良かったのですが、記憶が戻った時の周辺の人物の意味付けが明らかになる流れが非常に鮮明に描かれています。

 

まとめ

まとめますと、エンタテイメント性の高い作品です。性描写が結構露骨なので親的には子どもに読ませるのにはちょっとためらいます笑。場面の楽しみ方としては、カクテルやバーに興味のある方、清澄白河とか江東区のあたりに土地勘のある方、マネキンや服飾に関連のある方、呪いや気持ち或いは都市伝説に興味がある方、などは読んでみると楽しめるかもしれません。意義とか意味とはを考えないでよい、ある意味肩の凝らないエンタテイメント小説です。

 

評価 ☆☆☆

2020/06/07

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