その本が原著であれ、日本語であれ、読者として本に求めるものは「面白さ」だと思います。
もちろん、その面白さにはスリリングさであったり、知的好奇心を促すものであったり、あるいは文章の美しさであったり、その切り口や感じ方、求めるものは人それぞれですが。
で、本作は残念ながら、どの切り口から見ても私にはピンとこず、「凡」という字しか浮かんできませんでした(同一当筆者作品比)。
内容は、超貧乏なチャーリーが、偶然も偶然、幸運も幸運、一年に一度買ってもらえるだけのチョコレートで、世界で5枚しかない当たりくじを引き、Mr.Wonkaのチョコレート工場へ招待される、という話です。映画化もされているため、タイトルや内容をうっすらとご存じの方も多いと思います。
映画ではチョコレート工場でのキテレツな様子がSFチックに描かれていましたが、本書は「Charlie and The Chocolate Factory」と「Charlie and The Great Glass Elevator」の合本となっており、映画の内容は主に前者のものです。後者は前者の続きとなっていますが、チャーリーとMr.ウォンカが宇宙にまで行ってしまいます。
子どもの様子を描くのはやはり上手!(児童文学だから当然か)
本書で面白いのはやはり前編で、貧乏なチャーリーが結局当たりくじを引く顛末です。主人公ですから、結局は当たりくじをゲットしてMr. Wonkaのところに行くのはわかっているのだけれど、なかなかいけないところが面白い笑 あと、その他の当たりくじを引いたガキどもが揃いも揃ってスポイルされている様子もDahl氏一流のユーモアであると感じました。そういうと、筆者が英国人で、登場主人公が恵まれない子どもである点は仄かに「大いなる遺産」(ディケンス)を連想させます。
ちなみに後半はほぼSFであり、私の読むスピードは後半ガクっと落ちました。
英語学習に活かす
さて、冒頭でお話しした通り私の感想では本書はイマイチであると感じました。ただ英語学習に本書を使うとすれば、ちょっと異なる事情があります。そう、映画があることです。これは本作の大いなる強みであると思います。
多読で英語に親しみたい、でも途中で心折れそう、と心配の方はNetflixでまずは映画を見ましょう。その後本書に臨むことで、心のバリアを幾分取り除いた状態で学習に臨むことができると思います。
おわりに
引き続き、娘のお下がり本の購読でした。
評価が低めで申し訳ないのですが、罵倒するためではなく、同じ筆者の作品を読むならばよりよい作品があります、と言いたいまでです(時間は有限です!)。もちろん、ファンの方ならば本作含め、舐め尽くすかのように読まれるのがよろしいかと思います笑
評価 ☆☆
2021/06/10
Roald Dahl一番のお勧めはこちら。映画化されてます(映画は勧めない)
大人も十分に楽しめる児童小説!映画版はお勧めしづらい・・・―『MATILDA』著:ROALD DAHL - 海外オヤジの読書ノート
筆者の自伝も面白かったです
英国児童文学作家の自伝。古き英国の学生生活や悲惨な第二次世界大戦の様子を描く―『BOY AND GOING SOLO』著:ROALD DAHL - 海外オヤジの読書ノート
さらにDahlの作品を読みたいのならBFG。こちらも映画化されてます
児童書を英語で楽しもう!勇敢な女の子と巨人が英国を救う!―『The BFG』著:ROALD DAHL - 海外オヤジの読書ノート