早く書けばいいのにダラダラしていて感想を書くのが延び延びになり、内容を忘れかけています笑。
内容ですが、東大教授による日本論です。過去500年の間に見られた政体をそれぞれ、「大日本」(豊臣型)、「小日本」(徳川型)、「国際日本」(織田型)、という三つのモデルに分け、そのモデルの特徴を手掛かりに、日本が今後どうあるべきかを占うものです。
中庸国家日本!?
筆者が唱えるのは中庸日本という、引きこもり型日本(「小日本」)でもなく、ナンバーワンを目指す「大日本」型でもなく、中庸型国家で行こうというものです。言ったら上記3タイプのハイブリッドでしょうか。
その立ち位置の不明さから国際的にプレーヤー(「国際日本」)としても認められない(そもそも軍隊もないし)のだし、だったらwell-balancedを目指してみたらというように聞こえます。
少子高齢化で問題山積みのなかで、何かの分野で世界一を目指すような活気のある国になれないのは皆が分かっている、かといって鎖国をして国内の充実を図ることなど、グローバル社会の中では許されない。
明治以降、目指すべきものとして欧米文化とそのやり方を丁寧に踏襲したつもりも、最後は侵略者として原爆を落とされて終戦。以降米国べったりも、こちらが思っているほど相手からは思われていないという現実。
結局、従来歩んできたような日本では今後もう駄目だと思いますよということみたいです。
やっぱりアジアじゃないの!?
筆者は明言していませんが、個人的にはアジアでの役割を意識したほうがいい気がします。
だって、欧州とか、憧れはありますが遠いじゃないですか。国として連携するにも共有するベースも少ないし。他方、日本の位置がカリフォルニアの西(いちおう)ということを考えると米国は連携する意義はあります。
でも、文化的にも共有するものが多く、地理的な側面でも利害関係が大いにあるんだから、西洋ばかり向いていないで、本気で地域のことを考えてもいいと思います。まあ結論は出ませんが。
おわりに
そもそも日本論というのはぼんやりしていて、結局何が言いたいのか、というものが少なくありません。本書もややそうした風味がありますが、最終章で筆者は「今後の議論のため」と明言して下さっています。つまり、本書は今後の日本を考えるための本です。
その点では、本書は政治や外交に興味のある方、会社や組織のリーダーやその候補者などに有用であると思います。個人的には「日本はこうあるべきだ!」というハードな意見を聞きたかったので、ちょっと肩透かしの気分。
因みに、本書タイトルはジョージ・オーウェル「右であれ左であれ我が祖国」のパクリとのこと。パクられた作品もまた読んでみたくなりました。
評価 ☆☆☆
2021/06/07