海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

親日はうれしいけど、真の融和はどうすれば可能か分からない―『親日派のための弁明』著:キム・ワンソプ 訳:荒木和弘、荒木信子

大日本帝国が20世紀初頭から第二次世界大戦までに繰り広げた蛮行に関し、メディアで報道されるたびに、その子孫の一人である私は悲しくなります。

 

学校でも習うし、きっとそんな蛮行は本当なんだろうなとは思いますが、本当に悪いことだけだったのか、という疑問も頭の片隅にはあります。

 

そうした疑問がある人には、今後の読書の参考になるような本です。

 


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作者は日本とは縁もゆかりもない韓国人の方のようで、ソウル大物理学部出身というからきっとエリートだと思います。ただ、意見は相当ドラスティックであり、韓国で禁書となるのも納得の内容でした。

 

その幾つかをかいつまんで述べれば、日本の韓国併合は合法、併合により韓国は発展した、寧ろ併合が続いていれば今頃もっと発展していた、韓国の歴史教育は世界の非常識、等々です。

 

日本による併合は避けられなかったか!?

中盤では1800年代後半からの韓国の歴史について大分細かく振り返っていますが、韓国は近代で大分混乱しているという印象です。王族と姻族の支配、反抗する新知識人や宗教団体、ないしは農民一揆。さらに開港により入ってくる日本と清、さらには北からロシアの陰が見え隠れする。

 

歴史では日本が韓国を併合したのですが、本書の記述が正しければ、日本でなくても、いずれは清かロシアが併合しようとしたでしょうし、地政学的にロシアや清に出張られたくない日本としては、当時の帝国主義的雰囲気を鑑みれば併合以外の選択はちょっと考えづらいかなと感じました。

 

加えて、筆者は日本の正当性を主張します。韓国併合にせよ、終戦後の日韓基本条約にせよ、条約として締結されたのだから、そこから派生する事象について文句を言うのもおかしい、とする。

この考えは理解はできるもの、強者の理論ともいえると思います。首根っこをつかまれた状態でそこに自由はなかった(条約締結をせざるを得なかった)ともいえると感じました。

 

このような大分ドラスティックな議論が続きます。。。

 

おわりに

私には残念ながら友人と呼べるような韓国人はいません。ですので一般の方がどんな形で日本をとらえているのかが分かりません。ただ、日本の事が悪く言われているとすればそれは悲しいことだと思います。

日本も嫌なところは色々ありますが、悪いところだけでもないし良いところもあるということは、もっと多くの韓国の方にわかってほしいなあ。

そういうのはどうすれば可能なのか。

やはりともに過ごす・理解する・学ぶという、時間や経験の共有以外には思い浮かばない・・・・。韓国人の友人、いないけど。。。

 

そんな会話や議論ができる日が私に来るのかはわかりません。
少なくとも私がやれること、それは儒教やアジアの歴史も勉強くらいかなあ。
韓国人の友人できないかなあ。

 

評価 ☆☆☆☆

2021/08/12

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