海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

2023年読書を振り返る(印象に残った5選)

来年もがんばってポストします。写真は本年訪れたパースの一コマ。素敵な町。

 

皆さんこんにちは。

 

本ブログも何と4年がたちました。今年も有難うございました。

たまに頂ける反応に、じんわりと支えられております。お越しいただきました皆様、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。

 

方針は変わらず、毎年百冊強の本の備忘録を世間にまき散らし、公共空間でポイ捨てをしているみたいで、いつもちょっと申し訳なく感じております。

相変わらず文章力は向上せず、語彙も増えず、これではうちの子どもたちとあんまり変わんないなあと嘆息しつつ。でも来年以降も文章力を向上させるべく、少しだけ(マジですこしね)、努力したいと思います。

 

ということで、以下、振り返ります。

 

 

2023年の読書は146冊

毎年書いていますが、私にとって読書は、自分の状況を切り開く「相棒」という位置づけです。自分のキャリア、仕事術、子供たちの教育資金、老後資金、健康維持とコンディショニング等々です。

 

とは言うものの、今年読んだ本146冊のうち、文芸関連は実に70冊強、歴史関連も30冊弱と、大風呂敷を広げて自己啓発的なことをいう割には、趣味の読書に終始した形になります笑。

 

毎月読書計画みたいなものをぼんやりとは掲げているのですが、一時帰国だったり病院通いだったり検査だったり、みたいなことがあると、いきおい小難しいものは頭の中に入ってこないというのが言い訳。

 

まあでも確実に、本の数だけ出会いがあります。今年出会ったおやじ的にムムムな本たちを5つの項目でご紹介いたします。

 

1. 底知れぬインド

今年、インドが中国を超えて人口で世界一になった旨、大きく報道されました。13億ですよ、13億。すごい数です。

経済としては、これまでも車両関係はじめ、多くの日本企業が紐帯を深めるべくインドに進出してきました。私が勤める金融機関も出先が2つほどあります。

また、バックパーカーの聖地として、人生に迷ったらインド・ガンジス川で沐浴など、若者をはじめ自分探しのメッカのような印象もあります。

 

私が上記2冊を読んで思ったのは、インドとはそんな浅薄な理解では済まない、ということでした。宗教、民族、歴史、否、そんな抽象的な言葉では表せない、もっと個人的で具体的な沢山の悲劇や経験が、歴史という名のもとにうず高く蓄積されています。

Freedon at Midnight」はイギリス植民地下のインドがインド・パキスタン(含バングラデシュ)へと独立する過程での人々のドラマを描きます。スーパー分厚い、しかも英語のみのようですが、歴史好きにはクソおすすめです。なお「Viceroy's House」名にて映画化もしているようなのでしんどい人はそちらでも。

また「The Year of Runaways」は諸事情を抱え母国インドから英国へ渡った若者たちのストーリー。違法外国人労働者への法外な取り扱い、異国での同胞への搾取等ひたすらに暗いストーリー展開。せっかく国を出たのに、異国でもカースト・民族から抜け出せない閉塞状況が描かれます。2015年英国Man Booker Prize のshort-listed作品です。

 

lifewithbooks.hateblo.jp

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2. 伊坂幸太郎の恐るべき実力

今年の途中からふとしたきっかけで過去作品を読み返し、改めて一から制覇したくなった伊坂作品。

伊坂作品というと、個性的なキャラクタ構成はもちろん、洒脱な会話、予想もしないストーリー展開と意表を突く構成、仲間との団結等、などが特徴に思います。これ、私の大好物要素。

合わない人には「どれも同じ」と感じるかもしれませんが、好きな人には水戸黄門的快感です。そして、どれもが絶妙に変化がある(当然ですが)。どの作品も、くぅーすごいなあ、と感心しながら読んでいました。

 

そんなこんなで今年読んだ伊坂作品は17作品(よくやるねえ)。

その中でも特に私のお気に入りは、ディストピア的仕上がりとなっている「モダンタイムス」と「ゴールデンスランバー」でしょうか。エンタメ的面白みのみならず、国家が個人を責め立てる恐怖が陰影のように、絶妙に描きこまれています。

 

lifewithbooks.hateblo.jp

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ご参考までに今年読んだ伊坂作品の一覧:

グラスホッパー」「アヒルと鴨のコインロッカー」「オーデュボンの祈り」「ラッシュライフ」「重力ピエロ」「終末のフール」「チルドレン」「魔王」「仙台ぐらし」「残り全部バケーション」「オー!ファーザー」「モダンタイムス」「あるキング」「バイバイ・ブラックバード」「砂漠」「 死神の精度」「ゴールデンスランバー

 

3. アメリカの格差社会

上記のインドも伊坂氏もそうですが、まあ、一言では言い尽くせない深みがあります。国でも個人でもそうです。

で、これまたアメリカという国も興味深い国じゃないでしょうか。

世界一のGDPを誇りながらも、格差社会となっている現実。老後のしがない生活をキャンピングカーで過ごす老人たちを追った「ノマド」、白人貧困底辺階級から何とか軍隊を経て大学へ進学、その階級の軛を赤裸々に語る「ヒルビリー・エレジー」、そして、アメリカという国家のアイデンティティ消失・ヒスパニック系のコミュニティ分断に警鐘をならす「分断されるアメリカ」、どれも面白く読みました。

 

良くも悪くもダイナミックに変化してゆく国、アメリカ。日本とは性格や文化、やり方が大きく異なる国ですよね。学ぶところ大、であります。

 

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4. 聖書の世界

今年は聖書を勉強しようと考えていました。

これまでも幾つか書籍を手にしておりましたが、今年は少しコミットして取り組んできました(ブログタイトル下にちょこっとね)。

今年手にした本はどの本も、取っつきづらい内容を易しく解説するというものが太宗でありました。その中でも出色も出色、異例も異例といえるのが「絵画で読む聖書」。新旧あわせて名古屋弁でストーリーを語らせるというもの。しかも下世話な解説つき。

また、アカデミックに聖書の時代を考古学的に検証する山我先生の作品も面白かったです。

 

来年は聖書「そのもの」に食いつき格闘する予定であります。

 

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5. 女性という悲哀:「サンダカン八番娼館

世界の半分が女性でありますが、まだまだ社会には、女性のテイストは反映されていない気がします。会社を覗けば圧倒的に男性が多いですし、子どもを預ける機関も足りていない。女性役員が少ないとか当たり前の話です。

 

サンダカン八番娼館」はいわゆる「からゆきさん」についてのルポルタージュ。自分を体を売るしかなかった女性たち、読み書きも習えずに売りに出されてしまった女性たち。九州地方の貧困と併せて詳述され掘り起こされる歴史。女性であるばかりに、このような状況に追い込まれる。実に胸の痛む話。

 

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おわりに

ということで2023年の5選でした。

 

改めてですが、今年もお世話になりました。来年が皆様にとって良い年であるように、そして素敵は書籍との出会いがあることを、祈念しております。

 

それでは皆様、良いお年をお迎えください。

 

 

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