こういう本を読んでいるとジジ臭い感じがしますね(ジジイに近づきつつあるので仕方がない)。30歳を過ぎて網膜剥離にかかり手術、50近くになり周囲の同年代に等しく私にも老眼が訪れつつあります。海外にいて言葉が不自由である中で病気に対応するためには先んじて学ぶ、これしかないというのが本音です。
で本作ですが、曰く評価しづらい。
いや、私は信じますし、次にかかるのならこの病院に行こうかと本気で考えています(幸い今のところ目に異常はありませんが)。
ただ全般的には筆者の華麗な経験や趣味の絵画の話(多摩美の院卒!)などが自慢気に聞こえ鼻につきそうな内容となっております。
それが気にならなければ面白く読めると思います。特に第2章は世間で受け入れられている目に関する常識に対しこれでもかと反駁しており、医者のいう事を素直に信じている方には衝撃的な内容かと思います。
一例としては、
・眼球体操は目を気づつける(私もやっていました・・・)
・日本の大学病院での眼科手術は練習台にされるだけ
・日本の大学病院の手術は遅れている
・周回遅れの処方や技術の原因は医学会と製薬業界との癒着にある
等々が書かれています。この方向でのトップランナーは私の中では内海聡医師なのですが、そのマイルドバージョンといっても良いかもしれません。その他糖尿病由来の網膜剥離に関して宗田哲男医師や江部康二医師に言及があります。両医師の著作が好きな方には楽しめる内容かと思います。
あと、モネの睡蓮について60代に書いたものと80代に書いたものとの比較が医学的所見と共に掲載されておりました(要は白内障です)。かつて原田マハさんの『ジヴェルニーの食卓』を読みましたがモネとクレマンソーの会話でモネが目の不調を訴えているシーンが脳裏に浮かびました。
おわりに
楽しく読めました。
全般的に反権威・反王道的な主張ですので、一般的にはオルタナティブ情報として取り入れるのがよろしいかと思います。私個人としては非常に有効であり、ためになる書物でした。
評価 ☆☆☆☆
2022/02/05